2019年08月19日

三つのギョウをもう一度

夏も終わるし、そろそろ風営法の研修を始めたい。さて、どんな内容がよいのか?

普通の人の考えでは、営業に関係する風営法などの法令やルールを学ばせればいい

となります。

ルールを知れば守るだろう。

で、本当に守ってくれるのか?それでいいのか?

このことを真剣に考えないうちに、とりあえず社員にルールを教える!??

それで済むような業界ならいいですけれど、そんな業界でしたっけ。

常々伝えてきました。ルールを知るだけではダメですよと。

仮に風営法の場合であれば、<3つのギョウ>を理解しないと意味がありません。

「ルールだけ」なんて、有害でしかありません。

このことはこのブログでも何度も述べてきました。
ただし、大事なことはネットには書きにくいので、率直には述べていませんけれど。

でも、分かっている人はわかっています。わかっていないように見せて。。。。いや、見えて。

この点をよくお考えのうえで、研修計画を立てるのがよろしいかと思います。

弊社がなぜ、風営法と直接関係のないことを研修で取り上げているのか。

栄養バランスと同じで、総合的にいろいろな取り組みをしないと意味がないからです。

風営法だけを教えても、その知識は正しく吸収されないし、健康な血肉にもならないのです。

どうしても言われたら、弊社も「風営法だけの研修」をやりますけれど、効果は薄いと思いつつやっていますよ。

だって、基礎的なことを理解しないで、ひたすら細かいルールばかりに気にして、使いこなせずに勘違いしながら悪戦苦闘しても、経営上のメリットがないのですもの。

それでもご当人は、たいそう立派なことをしているつもりにはなるのです。

時間は大事ですから、やるなら覚悟を決めて意味がある方法でやった方がよいですよ。
posted by 風営法担当 at 11:17 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場

2019年08月08日

本当に注意すべきポイントは別にある

違法ガールズバー摘発、経営者と店長を風営法違反の疑いで逮捕
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3745609.html

というニュースがありましたが、酒類の提供などに関して、気になったので、少し触れます。

まず、「違法ガールズバー」とありますが、どこが違法なのかまでは記事にでていません。

以下は推測ですが、深夜酒類提供飲食店としての開業届出を怠っていたという、いわゆる「無届営業」の可能性があります。

深夜(夜0時を過ぎて)に主に酒類を提供する飲食店は、営業開始前に公安委員会に届出することが風営法で義務付けられているのです。

というのも、「今月3日の午前1時半ごろ、ガールズバーを深夜営業した疑いが持たれています。」とありますので。

しかし、刑事罰の適用がありうるとは言え、開業届を出していないだけでいきなり逮捕、という話はこれまで聞いたことがありません。

というか、そういうお店は街に行けば今日もゴロゴロしているでしょう。

よって、<他になにかある>はずなのですが、それが、
「今年4月に泥酔したこの店のアルバイト従業員(10代)が近くで保護された」
の部分から伺われます。

つまり、状況から察すると、この店では未成年者に酒を飲ませて働かせていた可能性が高く、そのせいでスタッフが泥酔後に保護され、近隣住民や警察にご迷惑をかけてしまったと推測するのですが、未成年者に酒を提供することは風営法でとくに厳しく禁止されています。

しかし、それが現認されたわけではありません。

未成年者に関わる違法行為について、警察はとてもとても厳しく対応します。
近隣に迷惑をかけたなら、なおのこと。

なぜなら、未成年者は保護されるべき、だからです。

そこで、深夜酒類提供飲食店営業の無届け、に目を付けられて逮捕されたのではないかなと。

どんな営業でも、「とりわけ強く注意すべきポイント」というものがありまして、日ごろから法令を軽視している人は、法令全体をくまなく軽視してしまうがゆえに、こういったことになりやすいなあ、と常日頃思っていました。

私の研修でもよく取り上げることです。

法律を使っているのは人間なんです。
人がどう考え動いているかを知らないで、ルールだけをわかったつもりでも、あまり意味がないのですよ。
posted by 風営法担当 at 16:51 | 風営法一般

2019年08月07日

釘曲げの通報事案について思う

「釘曲げ」

ホール業界で最大のリスクであるこの問題について、公けの場ではあまり思ったことを言いにくいのですが、言いにくいことゆえに、問題の本質を理解されづらく、特に大手チェーンにおいては、その組織が巨大であるゆえに、上にゆくほど深刻さが薄まってゆく傾向にあります。

何かあってもなんとかなるさ。なぜなら、これまでなんとかなってきたから。

という感覚が普通です。

これはホール業界に限ったことではなく、風営法の規制を受けながら怖い思いを経験したことの無い人々に共通する感覚です。

「起きてから」では後が大変ですが、、起きてみないとやる気にならないのが人情というもので、仕方がないとは言え、「他山の石」ということわざの如く、すでに発生した他社の事例を分析して未来に生かすということは重要です。

まあ、教訓を生かすには大変なお覚悟もいるし、完全に防げることでもないので、対策をしないでいるのも、ある意味では高等戦略ではあります。

ですので、釘曲げで摘発を受けたらそれまでだ、という認識でリスク管理されるのもアリなのかなと。

こんな話を持ち出すのは、今年も釘関連の摘発の情報が続いているものですから、ふと思ったことを述べました。

摘発情報に「通報」というキーワードがくっついていることが多くなりました。

言い換えると、「通報がなければ起きない」という傾向もありうるわけで、このあたりが業界の現状の一端を示しているようです。

結局は「人」なのですが、「人」の扱いについて、あまり真剣ではないような気がします。
この業界のことですけれど。
posted by 風営法担当 at 16:17 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場

2019年07月29日

既得権営業者死亡後の営業継続について思う

性風俗関連特殊営業の店舗型にあたる個室マッサージ店が風営法違反で警視庁に摘発された事件が報道されていました。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3733413.html

性風俗営業では風俗営業のような営業承継の選択肢がないので、既得権保有者が個人なら、その死とともに届出した既得権は消滅するしかありあせん。

これについて私はTV局の取材を受けたのでのですが、それでも報道以上の細かい点はわからずじまいです。

既得権を持つ個人事業者が死亡して、その後も営業を続けていたことが「禁止地域営業」として違反であったとのことのようです。

こういった摘発が全国初だとのことで、取材側の思考としては、「こういったことはどうやって取り締まるのか?」ということが気になるようです。

つまり、事業者の死亡によって違法状態になるが、それでも営業を継続して、警察が気づかないまま営業されているケースがあるのではないか。ならばその対策は?

私が思うには、別に対策なんかしないだろうし、放っておいてもいずれバレるでしょ、と。
数少ない既得権店舗のうちのごく一部がしばらく営業を継続したからとしても、警察にとってはたいしたことではないような。

むしろ、事業者側の目線であれこれ思います。
既得権保有の個人事業者が突然死亡したとして。

その瞬間からその営業所は違法営業になるのですが、店舗の現場がその死亡の事実を知るまでにはそれなりに時間がかかります。

死亡直後に営業中止はさすがに無理。でも、死を知った店舗責任者はただちに営業を止めなければならない?
今、サービス中でも?待っている客がそこにいても?

法律的にはそうなります。死んだ瞬間に営業ストップ。
でも、現実にはそれは難しいことですし、警察もそこまでの期待はしていません。

じゃ、どれくらいの時間なら。。。。死亡の通知が店舗にすぐ来るとは限りません。
遺族の方々はしばらくの間、何もできないでしょうし。

仮に死の事実を知ったとして、現場の責任者としては、せめて死亡の当日中は営業したいかな。お客さんやスタッフもいるのだし。

じゃ翌日も。。。そしてその後も。さらにもうあと一日。。。
そうだ!死んだことに気がつくのが遅かったことにすればいいか。。。

と廃業を延ばしているうちにバレてしまいましたとさ。
で。この事件では、事業者が死亡してから何日間営業していたのでしょうかね。。。。
posted by 風営法担当 at 10:02 | 性風俗業界

2019年07月22日

公安委員会に提出する使用承諾書とは何ですか?

(プレイグラフ2015年3月号「法務相談カルテ」掲載)  

 風俗営業許可の申請の手続の際に添付すべき書面の一つに、「営業所の使用について権原を有することを疎明する書類(使用権限を疎明する書類)」というものがあります。「疎明する書類」とは、その内容が一応確からしいと推測できる程度の書類を意味します。
 つまり、風俗営業の許可を受けようとする者は、営業所の敷地や建物を風俗営業のために使用できる正当な権利があることを疎明する書類を、公安委員会に提出しなければならないということです。

 許可を受けようとする事業者がその営業所の建物を所有しているのであれば、その事業者がその建物の所有者であることを証明する登記事項証明書を提出すればよいでしょう。もし建物の敷地だけでなく駐車場や駐輪場など建物周辺の敷地についても風俗営業のために使用される予定であれば、それらの敷地についても使用権限を疎明する書類を求められることがありえます。

 許可を受けようとする事業者が営業所を他人から借りて営業する場合には、その営業所の所有者が風俗営業としての使用について承諾していることを示す書面が必要です。事業のために建物や土地を賃貸する際には、通常賃貸借契約書を作成していることが多いでしょうから、その写しを提出することができます。但し、疎明されるべき使用権限は風俗営業の種別のどの営業であるかが特定できる内容でなくてはなりません。
 
 たとえば、パチンコ店の営業許可であれば、パチンコ店営業のために使用することが承諾されていることを確認できる賃貸借契約書であることが望ましく、賃貸借契約書における使用用途が明記されていない、又は、用途がパチンコ店営業であるかどうかが明確でない賃貸借契約書は、「使用権限を疎明する書類」として好ましくないとされる恐れがあります。
 かといって、許可申請のために賃貸借契約書を作り直すわけにも行かないので、その代わりとして使用承諾書という書面を作成して提出することがよくあります。

 使用承諾書には、承諾を受ける事業者の名称、承諾をする所有者の住所氏名、使用される営業所の所在地とその構造、使用期間など一定の事項が記載され、承諾者が署名又は捺印しているものでおおむね通用しているようです。使用承諾書は法令で定められた書式ではありませんが、全国で類似した書式が使用されています。
さらには、その使用を承諾した者がその営業所の所有者であることを示す登記事項証明書も必要となります。
使用権限の疎明には、ときに面倒な手配が必要となる場合があります。

 たとえば、営業所を所有者から直接借りるのではなく、所有者から管理や使用を認められた第三者から風俗営業者が借り受ける場合があります。この場合は、その第三者が風俗営業のために転貸する権限があることを疎明できる書類(賃貸借契約書や管理委託契約書の写し等)を用意し、なおかつその第三者から風俗営業のための使用を承諾されたことを疎明できる賃貸借契約書や使用承諾書等が必要となります。

 所有者が複数存在している場合には、その所有者全員又はその過半数以上の持分を有する者から使用を承諾されたことを示す書面の提出を求められることがありますし、所有者が住所を移転していて、その移転の事実がまだ登記されていない場合には、その住所移転の事実を示す証明書の提出を求められることもあります。
所有者が死亡していてまだ相続登記が完了していない場合には、相続関係を示す戸籍謄本など、誰が現在の所有者であるかを示す資料が必要となることがありえます。

 使用権限を疎明する書類は、営業所を拡張した場合にも、その拡張部分の使用の権限についても提出を求められることがあるようです。これらの書類を用意するために長い日数がかかってしまうことがありえますから、使用権限の疎明はなるべく早い段階で準備にとりかかる、必要に応じて行政庁に相談することをおすすめします。
以上
posted by 風営法担当 at 14:32 | 法務相談カルテ

2019年07月08日

ハラスメントのアンケートを行っていない?

ホール業界では受動喫煙対策がよく話題にあがります。
来年4月から施行の改正法の話ですから、当然と言えば当然ですが。

弊社としては、受動喫煙対策もよりも、ハラスメント対策の方がよく話題になります。
ホール業界は特に遅れていますが、風営法違反リスクと直結しています。

あまり表に出ていませんが、摘発の背景には様々な人間模様があるものです。
あまり触れることができませんけどね。

ハラスメント対策について話題になっても、多くのホール企業さんの場合、

「ウチは大丈夫」

となります。

そうおっしゃるのは幹部の方々ですね。
部下の皆さんの本音もそうであればよいのですが。。。。

そうではなさそうだから問題なんですね。
大丈夫ならば、定期的にアンケート分析くらいはしていないと、信ぴょう性がありません。

ハラスメントの加害者のほとんどは「自覚がない」のですから、「ウチは大丈夫」の根拠が「なんとなく」なのか、「アンケートの結果」なのかは、大きな違いです。

で、ハラスメントのアンケートを実施していないのだとしたら、<とりあえず危ない>と考えておくのがよろしいかと思いますよ。

弊社はハラスメントの相談も、研修もやっていますので、お気軽にお問合せください。
ホール業界以外の一般企業向けの対策も、総合コンプライアンスの一環として取り組んでいます。
posted by 風営法担当 at 11:14 | コンプライアンス総合

2019年07月01日

受動喫煙対策と風営法の注意点

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先週は、「受動喫煙対策と風営法上の注意点」という内容で、日遊協さんで講演させていただきまして、思いのほかたくさんのご参加があり、皆様の関心が高かったにも関わらず、私の持ち時間は30分足らずでした。

それは私が「30分もあれば充分でしょ」と事前に提案していたからでして、昨年中に基本的なことを全国で講演してしまったことから、今回は補充的な説明で充分であろうと思ってしまったのです。

今思えば、あと30分多くてもよかったかもしれません。
一部の方々から、鋭いツッコミがありました。

3月に出た「軽微な変更とする取り扱い」の法的意味合いについて。
私は「特例的措置」と言ったりしましたが、あれは「特例」??

そこに思い至る方は、なかなか実務に精通しておられる。
そして、答えは。。。。

いや、業界にとってメリットがないことをブログでは書きたくありません。
大事なことは、現実の諸問題を有利に活用することです。

むしろ、私が今回一番伝えたかったことは、例の「特例的措置」を無理に活用しない方がいいですよ。
ということです。

そのことはこのブログでもすでに触れているとおりです。
もらったものは使わないと損。みたいな発想は捨てていただいて、冷静に考えていただきたいと思います。

そして、やはり特例風俗営業者はこういうときに有利だな。と思います。
今回の講演でモデルケースとなったあるホールは、マルユウを保有していましたから、手続き上の負担がとても少なかったです。

喫煙専用室は客室から除外するのが自然ですからね。

今からでも、特例風俗営業者の認定を取れるホールさんは、取得を検討されるとよいですよ。
ただし、いくつかの注意点を忘れませんよう。

昨年の日遊協の講演で配布した資料には注意点を記載しておきました。
セミナーに参加された会員様には、私の配布した資料等についてご不明の点がありましたら、お気軽にお問合せください。
posted by 風営法担当 at 11:46 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場

2019年06月17日

釘曲げ摘発のニュースで思う

大手マスコミの記事で取り上げられるのも稀なので、一応ここで取り上げておきます。

https://www.asahi.com/articles/ASM6563H8M65UHNB013.html

最悪の場合は、無承認変更で法人起訴⇒罰金刑確定⇒欠格事由該当⇒許可取消⇒他の店舗も取消し

といった流れですが、そんなことになっていたら業界に激震が走っていたところです。

あやうくかろうじて踏みとどまったものと思いますが、その陰ではたくさんの努力があったに違いありません。

つまり、悪くすると、そういうこともありえたのだと思います。

そういうヒヤッとする体験を経験した人と、そうでない人。

その違いがあまりに大きいので、いつも初対面ではその点を密かにチェックして、その結果に合わせてアドバイスします。

要するに、「未経験者」に対してはリスクをクドクド説明する。

経験者に対してはホドホドに説明する。

ということですが、さて。

広告宣伝を企画立案している皆さんは、企業全体における風営法リスクを念頭に置いていますか?

置いていませんね。。。。

ホール経営にとって、これほど重要なことはないはずなのに、よく平気でいられるものだと常々思っています。

おりこうさんになっているだけで、果たして商売になるんでしょうか。
かといってリスク対策も大事ですよね。

もっと、きちんとした考え方と知識を身につければいいのに。
と思います。
posted by 風営法担当 at 15:43 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場

2019年05月24日

一般人の激アツ予想サイトについて思う

ホールさんが知らないうちに、そのホールのイベント日が一般の誰かによって<予想>としてネット上で告知されてしまっている、という話がちらほらでてきています。

その告知内容が、もしホールによるものであれば広告宣伝規制違反に該当するような、いわば業界人から見ると過激な表現であったりもするそうで、これを行政側が見たら、「ケシカラン」と思われるのは当然のことですが、そう言われても、その情報発信にホールが関わっていないとなると、ホールとしてはその情報発信者に「オネガイ」という形式で情報削除を依頼する程度のことしかできません。

あるホールの出玉状況を予想して、その予想を一般人がネット上で公表しても、それが違法というわけではないし、営業妨害とも言いにくいところです。

というわけで、こういったことが流行ってきてしまうと、今後いろいろな展開が予想されるわけで、これを前向きに受け取るホールさんがいないとも限りませんが、業界にとっては、また新しい問題に対応しなければならない、ということになるでしょう。

これまでは、無関係の第三者を装った違法な広告がたびたび問題視されてきましたが、真実の第三者による情報発信を業界として規制することは、たとえある程度やれたとしても、焼け石に水、ということになってしまうのではないか。

では、自店について知らぬ間に過激な予想を掲載されてしまったホールとしてはどう考えるか。
集客ができてうれしい。

これは現場レベルではそうかもしれません。ですが、行政側がそれで済ますとは思えないのです。
実態として何らかの違反がうかがえれば、そこは厳正に対処しないわけにはゆかないと。

広告事業者の自主規制とか、そういったこれまでの議論や課題を根底から覆す展開もありえるので、当面この問題に注目したいと思います。
posted by 風営法担当 at 00:00 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場

2019年05月20日

退職した従業員の顔写真を店内で掲示していてもよいですか?

(プレイグラフ2015年2月号「法務相談カルテ」掲載)  

A 従業員の顔や姿の写真を人の目に触れる状態にするのであれば、その被写体である従業員から了解を得ておく必要があります。
 その被写体が誰であるかを特定できるような写真が多くの人の目に触れることは、その被写体となった人のプライバシーに影響を及ぼす恐れがあるからです。
 たとえ本人から撮影の承諾を得て撮影された写真であっても、その「承諾」が「店内で掲示されること」までを含んでいるのかどうかが定かではないとすれば、本人にその写真の利用方法について説明し、事前に了解を得ておくのがよいでしょう。
 法律的には肖像権と言われる権利があるとされています。肖像権は個人のプライバシーを守る権利の一種であり、法律でその権利が明確になっているわけではありませんが、誰もが自分の肖像(顔や姿)をみだりに利用されない権利を持っていることが過去の判例において明らかになっています。
 つまり、顔や肖像を勝手に使われて自分のプライバシーが侵害されたと本人が感じれば、それは肖像権の侵害だと言えるわけです。
 肖像権を侵害することは、民法で言うところの「不法行為」にあたり、侵害された人は損害賠償や侵害行為の差し止めなどを請求できると考えられています。
 その写真利用について、たとえ業務上の必要性があったとしても、その社員がモデルとして採用されているならともかく、一般的な事務員や接客スタッフとして働いているのであれば、その従業員の同意がない限りは、会社の一方的な都合で写真を利用してよいということにはならないでしょう。
では、従業員が納得したうえで顔写真をすでに店内で掲示していた場合に、その従業員が退職した後も写真を掲示しつづけてよいのでしょうか。
 退職後も掲示し続けてよいという本人の意思が明らかならばよいのですが、自分が退職した後になってもまだその会社の従業員であるかのように扱われることは、一般的には納得しにくい場合の方が多いと思いますし、会社に対して何らかの不満を持って退職した場合であれば、なおさら否定的に受け止められるでしょう。
 人にはいろいろな価値観や事情があって、他人には推し量れない部分もあります。つまり、原則として本人の意思を確認しておくことが必要だということです。
 その写真の被写体が誰であるかが特定できないほど不鮮明である場合や、被写体が背景の一部に溶け込んでいるためプライバシーの侵害にあたる恐れがない、といった場合であれば、無断で写真を使用することはあってもよいと思いますが、そのような判断には法的に明確な基準がなく、被写体となった本人が迷惑な行為であると感じてしまえば、法的なトラブルに発展する恐れがないとは言えません。
 最近ではテレビ番組の中で、背景となった人物の肖像だけでなく、民家の表札や車両のナンバープレートにまでモザイクなどを使って不鮮明にした映像を放送していることが多くなりました。かつてはそこまでの配慮はされていませんでしたから、人々のプライバシーに関するこだわりや配慮が徐々に強くなってきているということです。
 顔や肖像だけでなく、住所、本籍、電話番号などもプライバシーに関係する個人情報にあたり、本人の意思に反して利用されないよう会社として細心の注意を払わなければなりません。
 逆に考えれば、本人がそのような肖像の利用について納得していればよいわけですから、必要に応じて了解を得ておけばよいし、それが面倒であれば写真の利用を止める、又は、その従業員の肖像を不鮮明にするなどしましょう。
 なお、写真の利用については著作権の問題も生じうることについてご注意ください。
 原則としては、その写真を撮影した人物が著作権を保有していると考えられるので、著作権を保有する人物から、その写真の利用についてあらかじめ許諾を得ておくべき場合があります。
posted by 風営法担当 at 14:58 | 法務相談カルテ