2008年09月25日

近隣商業の2号をどうするか 料理店と飲食店の違いとは

しばしば悩む問題なのですが、風俗営業の営業所の用途地域が近隣商業地域であった場合に風俗営業2号(社交飲食店)の許可が出るのでしょうか?

答えは「許可がでます」

風適法の許可基準では住居系の用途地域(たとえば住居地域など)でなければOKで、さらに学校・病院など保護対象施設が規定距離内に存在しなければよいということになっています。

なってはいますが・・・・。



建築基準法の用途制限を見ると、近隣商業地域で制限された用途の中に「キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホール等」が含まれています。

キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、いずれも風適法の1号、3号、4号の種別にあたる風俗営業なのでわかりやすいですが、「料理店」だけはひっかかります。

料理店と言ったら一般的に何を思い浮かべるでしょうか?

料理を出す店のことだから、レストラン、寿司屋さん、そしてファーストフードも料理店?

と考えてしまっても非常識ではないでしょう。

しかし建築基準法が想定している「料理店」の範囲は全くの別の意味のようです。



昭和26年当時と思われる行政の見解によると、<カフェーは料理店に含まれるが、レストランは飲食店として取り扱う。「飲食店」と「料理店」の区分については、風俗営業取締法に基く名称は、各都道府県により区々であり全国的に名称を統一できないから、名称が和洋の如何に関わらず、飲食が主か遊興が主かによって区分すること。従って通常「かっぽう料理店」「レストラン」は飲食店に含まれるが、遊興を主用途としたカフェーは料理店に含まれる。>という考え方だったそうです。



つまり最初から風営法を意識した規制になっています。

確かに風適法の2号営業の定義として「待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客に遊興又は飲食をさせる営業」(2条1項2号)とあります。

現在では「社交飲食店」という言葉が使われていますが、元々2号営業は「待合」「料理店」「カフェー」と呼ばれていたのですね。

では料理店と飲食店とはとこが違うのかと言うと、女中さんや女将さんがいて店で接待などの遊興をする店は料理店で、単純な飲食のみを提供する店が飲食店だという意味のようです。あくまでも当時の建築行政の考え方です。



女中さんという言葉は一昔前はホステスさんのことを意味していたのですね。

ちなみに「カフェー」も2号営業にあたるようですが、「カフェー」と「カフェ」では違う意味として扱われています。

つまりカフェーはホステスさんが接待する店のことで、民法の勉強の際によく出てくる「カフェー丸玉女給事件」というのも、喫茶店ではなくて、今で言うところのキャバクラのような店での出来事だったのですね。



というわけで、建築基準法用途制限の「料理店」は今で言う2号営業社交飲食店を意味するので、建築基準法としては近隣商業地域での2号営業は違法営業だということになります。

ところが冒頭述べたとおり、警察が風俗営業許可申請を手続として取り扱うのは都道府県公安委員会の委任事務、つまり行政手続として取り扱っていますから、犯罪捜査としてどうこう言うのではなく、あくまで風適法関係法令に従って処理します。よって行政としては建築基準法違反でも許可してしまうということになってしまいます。

奈良市のラブパチ条例で話題になったホールも、条例違反の不起訴決定に先駆けて風俗営業許可を取得していたと思います。



そうなると、近隣商業地域で2号営業をするのかどうか悩むところです。

もちろんこれから営業所を新設するのであれば、やめてください、という結論になりましょうが、長い間無許可でやってきた店が警察の立ち入りを受けて許可を申請しようとするケースもよくあります。こういった場合に廃業するわけにもいかず、かといって許可申請をして大丈夫だろうかということが気になります。

というのも、一部の警察署で建築基準法違反を理由に許可取下げを求めたり、申請を受理しないといった話をまれに聞くからです。

警察は手続を取り扱っている場合は行政としての顔を持っていますが、犯罪捜査の場合は司法としての顔を持ちます。

つまり風俗営業許可を出しておきながら、営業開始と同時に建築基準法違反で立件することも可能なわけで、これをどのように考えるかが難しいところです。

ここ数年は警察が建築指導課や消防と共同で実査にのぞむ場合も現にありますから、許可さえ取れるならそれでよい、と割り切るには勇気が要ります。

非常に悩むところです。



hino
posted by 風営担当 at 11:09 | TrackBack(0) | 飲食店業界

2008年09月12日

公共的施設における禁煙条例案 「例外一切無し」はありえない

神奈川県知事が発表した「公共的施設における禁煙条例」の素案について、いろいろな話がとびかっています。



以前は例外ナシの禁煙規制でしたが、今回のニュースによると<学校や病院、官公庁など「第1種施設」では禁煙が義務付けられ、レストランや居酒屋、ホテルといった「第2種施設」では禁煙か分煙を選択できる>

というところまで譲歩されていました。



いずれにしても、「公共的施設」の中に夜の飲食店やパチンコ店が含まれているところが気になるところです。



分煙の方法について、どの程度の選択肢があるのかわからないのですが、受動喫煙をほとんど100%防止するとなれば、かなりのコストがかかるのだろうと思います。



パチンコ店はともかく、夜の飲食店で禁煙をするわけにはゆかないでしょうから、当然に分煙の具体的方法が問題となります。



いくらの予算でどの程度の効果があるのかということがはっきりしないうちに一律規制をしてしまうのはいかがなものかと思います。

客席数や営業時間などで区分けするのが妥当なところだと思いますが、どうもそうではないようです。



風適法の実務の面から想像しますと、小さなスナックやクラブでこのような条例をまともにあてはめたら大変なことになると思います。



客室内に分煙装置を設置したり、煙が禁煙エリアに向かわないように壁やつい立を設けたり、場合によっては禁煙室を増設にするなどが考えられますが、これは風俗営業の構造設備基準と真っ向からぶつかります。



もし装置を設置する場合、100p以上の高さのものは「客室内の見通しを妨げる」こととなり設備基準違反となります。仕切りやつい立も同様です。



もし別室を作ってしまうと、洋室の場合は各室の床面積について、風俗営業2号の場合で16.5u以上、深夜酒類提供飲食店ならば9.5u以上の広さを確保しなければなりません。よほど大きな店でなければ不可能なのです。



つまり、ほとんどの店舗で風適法違反になってしまうおそれがあります。

もし完全合法化せよと言ってみても、現実には無理でしょう。

県の職員が夜中に飲食店を見回りして指導や処分を行えるでしょうか。

おそらく全ての店が「禁煙」の看板を貼り、灰皿風の小皿をテーブルに置いて、「客が勝手に喫煙してるんです」と言い訳をして、それでおしまいです。

役人が客の前で「たばこを吸わせるな」などと言ったら、酔った客達がだまっているかどうか。

県の職員は夜の街で身分を明かせなくなるかもしれません。



つまり、このような条例を作ったところで、どうせほとんどの店は守らないし、取り締りもされないし、マジメに設備を作った店だけがバカを見ることになります。

そして誰のためにもなっていないのですから、こんなバカげた法案も珍しいです。

国民が守れないようなムダな法令をつくることは、国民が遵法精神を失う要因となります。



そもそも風俗営業店の中は18歳未満立入り禁止の大人の世界です。

家族連れや子供が入れる空間ではないのですから、このような空間も「公共的施設」と一緒にして「例外なし」と考えてしまうのは常識に欠けると言わざるを得ません。



禁煙や分煙の規制を拡大することには賛成できますが、意味の無い部分に

まで規制を広げては困ります。

私はタバコが嫌いな人間ですから、レストランや駅、ホテルなどで禁煙や分煙をしていただくのは結構なことだと思っています。

この条例案が適正に手直しされて無事施行されてほしいと思います。



hino
posted by 風営担当 at 13:57 | TrackBack(0) | 禁煙条例関係