2009年04月27日

カウンター越しでも接待 ガールズバー経営者逮捕

下着にYシャツ…ガールズバー経営者、風営法違反の疑い



ガールズバーについては過去幾度か触れてきました。



「カウンター越しなら大丈夫」という誤解がよくありまして、捜査関係の方からさえそういった解釈を聞いたことがありますが、風適法と解釈基準を見る限りは「カウンター越しなら大丈夫」と解釈できる根拠はありません。



あくまで取締り側の都合と判断で取り締まらなかったということだと私は認識しています。



接待であれば許可が必要。

「接待とは何か」を考えてみれば答えはおのずから出るはず。

そういう説明を何度しても、「でも小さければいいだろ」とか

「カウンターがあれば大丈夫だろ」とか言われますが、まあ仕方がないのです。



風適法には解釈に幅のある部分が多く、お客さんから「大丈夫?」と相談されればグレーな話をしてしまうのですが、<過去の摘発事例がない>とか<ほかの店は経営し続けている>ということと「法理論上違法かどうか」ということが、ゴチャゴチャに理解されて勝手な解釈をされてしまうことがよくあります。



<いやいや、「大丈夫」という意味ではなくて、状況次第でいろいろありえるのだから・・・>

と説明しても、その部分はすぐに忘れられ「大丈夫」の言葉だけが脳裏に深く刻み込まれたり、意味が根本的に誤解されていることがよくあります。



そういう人の中には、残念ながら「何べん説明しても理解してくれない」タイプの人もいます。

たまたま運がよいだけのことを、「自分の判断が正しいから大丈夫だった。」と思い込んでいる人がいまして、私などからすると「いつか痛い目にあうなあ」と感じるのですが、説明しても無駄なことが多く、これもいたし方のないことです。



人間誰しも、自分にとって都合のよい状況に合わせて解釈をねじまげてしまうものです。

経営の当事者ともなれば、リスクばかりを考えているわけにも行かないのでしょうから。

それでもリスクに対して厳しく見て、腹をすえて経営する人と、偏見や思い込みのまま気軽に経営する人とでは、いろいろと違いが出てくるものです。



かといって、相談にのる側からしてみると、希望的観測や期待を完全に無視したところで話をするしかありません。

いや、たまに判断の甘い同業者がいます。



気軽に「大丈夫」と言ってみたり、責任の重い調査を安い金額で請け負ってみたりするのは、たいてい経験の浅い同業者です。

10年以上この法律を専門で扱っている私でも、いまだに「コワイ」「油断のできない」と感じている分野なのです。

「99パーセント大丈夫」と言われて安心する人は多いでしょうが、私は不安になります。

リスクが1%ということは、100件に1件は事故が起こるということで、私にとっては許容できない確率です。

この1%のリスクを甘く見ているなら、それはその人がプロではないからです。

でも経営者にしてみると、「大丈夫」と言ってくれる行政書士の方が頼りになるのでしょうか。

ただ「大丈夫」の言葉がほしいだけの理由で、行政書士をチェンジする人がいるのも事実。

経験が浅くても、ネットで宣伝されるときには行政書士の善し悪しが見えません。おかげ様で、ウチの事務所のお客様の多くはご紹介の縁でおつきあいしております。



まともな行政書士なら法令を根拠にして、リスクの考え方を様々の視点からきちんと説明するはずなのですが、リスクの話を「面倒くさい」とか「わからない」ということにしてリスクを無視してしまいたいのは、心理学的にはつじつまのあう現象です。

「大丈夫か大丈夫でないか。それだけを教えてくれ」

と思っている経営者の方は、リスクの考え方を間違っています。

間違っていることを率直に「間違っている」と言う勇気があるかないか。

これはプロかどうかの基準のひとつでもあります。



<常にリスクはある>というのが現実であって、お客さんの希望にあわせた回答など、まともな者ならできるはずも無く、注意してリスクを覚悟してがんばってください。としか私には言えません。



ガールズバーのことでも、「大丈夫なんでしょ」とか「だってみんなやってるじゃん」的な発想で質問されることがよくありました。



「無許可営業だからリスクあります。」と説明しても、

「でも実際には大丈夫だろ。コイツはわかってない行政書士だ。」

なんて思われたりもします。



でも、警察は業界の状況に合わせて常に変化しているのです。

その予測しがたい変化の様子を私は見てきました。

だから「1年前は一昔、となりの所轄はよその国」

変化に対して柔軟に対応し、適切なリスク判断のできる人でなければやっていけない業界なのです。

その現実に目を背ければ、いつか報いを受けるときが来るでしょう。
posted by 風営担当 at 11:36 | TrackBack(0) | 飲食店業界

2009年04月24日

射的場営業周辺に潜む風適法運用の問題点

秋田の射的場の話の続きですが、この射的場のケースは風適法を考える上で意外と重要な問題点を含んでいます。



ニュースでは、

「秋田県警などによると、射的は射幸心をあおる恐れのある遊技として、パチンコやマージャンとともに風俗営業に分類されている。」

とあります。

つまり射的場は風俗営業のうちの7号にあたる営業として解釈されています。



露天の射的が7号風俗営業なのだとすると、許可をとる話はさておき、<子どもが遊んでもよいのか?>という疑問が出てこなければおかしなことになります。



「せっかく標的を落としても、その景品はもらえないとあって、客の楽しみは半減したよう。家族で遊びに来ていた小6の男子(12)は「景品をもらえないならやりたくない」と残念がった。」

とニュースでは書かれています。



また驚かれるかもしれませんが、もし7号風俗営業であれば、子どもに射的をさせると違法営業になります。

ゲームセンター以外の風俗営業の営業者には、18歳未満の者を客として立ち入らせてはならない義務が課せられているからです。



これは風適法の取り扱い上は、けっこう重い違反行為にあたり、もし行政処分が出るならば量定D、たしか10日以上80日以下の営業停止処分に相当することになります。(露天の営業停止処分には意味が無いかもしれませんが)

しかし、子どもが遊んではならない射的場というのは、現代の社会通念としては理解しがたいのではないでしょうか。



つまり、仮に7号営業許可がでていたとしても、やっぱり違法は違法、ということになっていたかもしれないのですが、「ちょっとそれはおかしいんじゃないの!?」と思うのが常識的な感覚でしょう。



こうなってしまったのは、射的場がもともと大人の遊びだったという経緯があるからです。

つまり昔は、酒を飲んだ後に芸者さんと肩を組んで射的場で遊ぶ、というような風景があったのだと想像しますが、大人の遊びが進化した現代では<射的は子どもの遊び>になってしまったと思うのです。

しかしニュースでのコメントでもあったとおり、風適法が昔のままだし、法令でも、射的が7号営業に該当するような表現になっているので、実態と合わなくなってきているという見方もありえます。

しかし、話はここで終わりません。



ゲームセンターに行くと、ユーフォーキャッチャーなどのような、クレーンゲームと呼ばれるゲーム機が置いてあります。

クレーンゲーム機の中には景品があって、遊技結果に応じて景品が出てきます。



このような営業はゲームセンター(8号)の風俗営業許可を取得することで営業できるのですが、ゲームセンター営業ならば子どもに遊ばせても違法ではありません。(時間の制限はありますけれど)



ですので、射的場も風俗営業許可を取得するなら、パチンコと同類の7号許可ではなく、ゲームセンター扱いとなる8号許可の方が適切かもしれないと思うのです。



しかし、ここで注意が必要なのは、クレーンゲームの場合は、プレイヤーが狙って吊り上げた対象物が、そのまま景品としてプレイヤーの手に入る、という遊び方でなければならず、しかも警察庁の解釈基準によれば、その方法で提供される景品の価格は800円を超えてはならないことになっています。



800円を超えてしまうと、射幸心をそそるおそれがあるので、もはや子どもの遊びの範囲を超え、7号営業許可の対象となる、という意味だと私は思います。



となると、射的場についても、客が打ち落とした景品をそのまま客に渡す方式にして、しかもその景品の価格が800円以下であれば、ゲームセンターとして扱う方が適切ではないかと思うのです。



それ以前に、射的という営業方法が8号営業の対象となるのかどうかも、私には疑問が残ります。

もし8号営業の対象でないのだとしたら、そもそも風俗営業許可を取る必要がない、ということになりえるのです。

つまり、県警が<風俗営業として>不許可にしたことは間違っていませんが、射的の営業方法次第では規制の対象からはずれる可能性があるのではないだろうか?と、そんな疑問を持ったのですが確信は持っておりません。

少なくとも、<射的=7号><クレーンゲーム=8号>という図式は絶対ではない、と思います。

これは法律の矛盾ということではなくて、運用のあり方の話です。



私は、このニュースの露天商の営業方法を詳しく知らないので、実際にどうあるべきかはまったくわかりませんが、このニュースをきっかけにして風適法の考え方として思うところを述べました。



もし間違いがあればご指摘いただきたいし、情報提供もいただけばありがたいと思います。



射的場に関しては、以前にこのブログの別項で書きました。↓

「射的場とパチンコと」でサイト内検索してください。



hino

桜まつり会場で、やっぱり「射的ダメ」となった秋田県警

http://www.kahoku.co.jp/news/2009/04/20090423t43018.htm(河北新報H21.4.23)

こんな(↑)ニュースがありました。



射的が、しかも露天の射的が、風俗営業だったというのは驚かれるかもしれません。



10年近く風俗営業の手続をやっている私でも、一般店舗の射的場許可ならともかく、露天の射的場許可申請というのは扱った経験が無いのですが、たしかにそのような手続は存在しています。



一日の出店でも、風俗営業であることには違いないので、手数料を払って許可申請をして許可を取得しなければ営業できません。



このニュースでは、禁止区域だったことに気がつかないで過去に許可が出されていたけれど・・・、という点が珍しく、いまさら気がついて「やっぱり不許可です」となってしまったので、業者さん側は驚いたことでしょう。



風俗営業許可には場所の制限があり、その制限は用途地域の制限と、保護対象施設からの距離制限とがあります。

このケースでは、「第一種低層住居専用地域」だったらしいので、そうなると許可はでません。



風適法の世界では「一年前は一昔」と常々申しておりますが、ちょっと前まで大丈夫だったことが「やっぱりダメ」となることは残念ながら珍しくありません。



なお、ニュースでは露天商側の対応策として、「くじ引きで景品を渡す苦肉の策で店を開いている」とありました。



風俗営業としての射的場の定義は、

「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業(風適法2条1項7号)」

となっています。



「射幸心をそそる」と言うのは、「景品が欲しいからがんばろう」という気持をそそることです。

つまり<遊技の結果>と<景品>に関係性があると、「射幸心をそそる」おそれがある、ということですが、<くじ引き>のように<遊技結果>と<景品>との関係性が無ければ風俗営業にはあたらない、ということになるのです。



ところで。

テレビの報道の中で、番組のコメンテーターさん達は

「射的場のどこか射幸心をそそるのか・・・」

とか

「風適法は昔の規制をそのまま残している・・・」

といったご意見を出されていました。



露天の射的にのめりこんでいる大人はいるかもしれませんが、パチンコの場合のように、消費者金融から借金してまでプレイするようなことにはなりませんね。

現実には、露天の射的を規制する必要性はほとんと無いと私も思います。



しかし、この話には風適法の問題として、さらに難しい部分が潜んでいます。

その話はこちらで。。。↓

射的場営業周辺に潜む風適法運用の問題点