2009年06月17日

賞品を陳列するための設備の高さ

客室内の見通しについては、以前よりもやかましくなってきたと思いますが、賞品を陳列する設備の高さについて思うところがあって、頭の整理を兼ねて書いてみようと思います。



パチンコ店の構造設備基準の中で、賞品陳列に関係しそうな部分を上げますと、



@客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。



A営業所内の客の見やすい場所に賞品を提供する設備を設けること。



の2点があります。



Aについてはあまり問題にならないと思いますが、@の「見通し」の問題について。



解釈運用基準第11-8(1)をみると、



「見通しを妨げる設備」とは、仕切り、ついたて、カーテン、背の高いいす(おおむね高さが1メートル以上のもの)等をいう。



とあります。



これは風俗営業の実務に関わる者にとっては常識の部分なのですが、この解釈基準の文章をもとにして、「100p以上の高さのものをいっさい客室内に置いてはならない」という解釈が一般的になっています。



上記解釈基準を読む限りは、「1メートル以上のもの」という語句は「背の高いいす」の部分にかかっていて、仕切り、ついたて、カーテンにはかかっていません。



これは、カーテンに「高さ」というものを念頭に置く必要が無いことからも明らかだろうと思います。ただし、この文章をもって、「<見通し>とは高さ100p以上の部分のことである」という「隠れた意図」を読み取ることは充分可能です。



<仕切り、ついたて、カーテン等は見通しを妨げる、そして「背の高いいす」については1メートル以上のものが見通しを妨げる設備にあたる>



という意味にもとれます。



行政では、少なくとも現場では、「原則として100p以上のものは全てダメ」という解釈が常識的になっています。

ですので、「島設備の高さは100pを超えるじゃないか」という点については「特別に例外として認める」ということになっています。

遊技をするためにはやむをえないのだから、「100pを超えるのは仕方がないのだ」と。



しかし「1メートル以上」という概念はあくまで「解釈基準」であって法律ではなく、規則でもなく、警察庁が考えている「見通しを妨げる設備」についての「解釈の基準」にすぎません。

「解釈の基準」ですから、当然ながら前提として「柔軟に解釈する努力」が念頭に置かれています。



たとえば「解釈基準にこう書いてあるから絶対にこうでなければならない」という発想は、自身で解釈しようとする意思が欠けているという点においては矛盾となります。あくまで「解釈」をする際の「基準」なのですから。



以上の点をふまえて、平成18年12月20日に警察庁から警視庁生活安全部長宛てにだされた通達をみてみます。



「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの更なる充実に向けたぱちんこ営業者に対する指導及び取締りについて」というタイトルですが、この中で賞品陳列のための設備について触れています。



以下抜粋

「賞品を陳列するための設備(棚、ワゴン、ケース等をいい、壁に付設したものを除く。)については、高さがおおむね1.5メートル以下のものであれば、客室のうち主として遊技機が設置されている場所に設置されるなど殊更に客室の見通しを妨げるおそれが高い位置にない限り、必ずしも客室の内部の「見通しを妨げる設備」(施行規則第8条の表「法第2条第1項第7号に掲げる営業」の項第1号)に該当するとは考えられないことから、高さがおおむね1.5メートル以下の当該設備については、上記のような位置にない限り、原則として「見通しを妨げる設備」に該当しない取扱いとすること。」



この通達の意図には、パチンコ業界における換金問題が背景にあって、なるべく多くの種類の賞品を取り揃えさせることによってパチンコ営業の健全性を回復しようという試みの一部でもあります。



そしてこの考え方の中では、設備の設置される場所が<遊技機が設置されている場所>であるかどうかに着目しており、「見通し」の「目線」については遊技機設置場所における「目線」を重視しています。



そして、遊技をしない場所においては高さ150pの設備であっても、殊更に客室の見通しを妨げるおそれが高い位置にない限りは、「見通しを妨げる設備」に該当するとは限らないのだ、という解釈となっています。

これこそ風適法の趣旨を念頭に置いた「柔軟な解釈」にあたるものだろうと思います。



つまり構造設備基準における「客室内の見通し」について厳しく固定的に解釈しすぎてしまうと賞品の取り揃えが進展しにくいであろうと推測し、現場行政が不当に厳しい解釈で取締りをしないようにと、このような通達を出したのだと私は勝手に解釈しています。

行政の現場で「100p以上のものはいっさいダメ」という常識がまかりとおっている点について憂慮したものだという想像です。

そうでなければ、わざわざ通達をだした意図はどこにあったのか。



冒頭の解釈基準を見てもわかるとおり、<全ての設備が100p以上であってはならない」とは書いていないのであって、その点をふまえたうえで上記通達が出されていると思われますが、その辺の意図が行政の現場において留意されていない現象を垣間見ることがあります。



たとえば通達の宛名となっている警視庁の某管内では、「高さ100pを超える設備(島をのぞく)等をいっさい置いてはならない」旨の指導をしているケースがあります。

通達を見てくださいとお願いしていても、結局このような指導になってしまうことがありますが、残念なことです。



「当該義務の履行に関する指導及び取締りについては下記のとおりとするので、都道府県警察にあっては内容徹底の上、事務処理上遺漏のないようにされたい。」と通達にありますが、内容は徹底していません。



このような現象は例をあげるとキリがないし、珍しくもありませんが、「客室内の見通し」はまじめに考えると微妙な判断を求められるケースが多いので、ためしに事例としてあげてみました。



上記通達の詳細は以下のURLでPDFファイルで見ることができます。

http://www.npa.go.jp/pdc/notification/seian/seikan/seikan20061220.pdf



hino