2009年11月20日

景品交換所が府条例の制限区域内にあった!?

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091120/trl0911201349003-n1.htm



<市は中止命令、大阪府は許可…パチンコ出店で住民が府を提訴へ>

2009.11.20



というニュースです。



公安委員会から許可が出ているパチンコ店の出店について、市区町村が出店規制条例を根拠に中止命令を出すケースはすでにいくつかの事例で話題になっていましたが、今回の件のポイントは「景品交換所」の設置場所が対象となっているという点です。



「景品交換所」なる言葉は風適法の法律実務上は「あってはならないもの」であって、それはパチンコ業界においては暗黙の了解というか、そういうことには触れないで話を進めるのが当たり前のことになっていますから、「景品交換所はパチンコ店とは関係が無い」と言ってしまえば「そうだよね。」で済んでしまいます。



しかし近隣住民が景品交換所を見た場合には(少なくとも多くのケースで)「景品交換所はパチンコ店営業の一部ではないか」と思うのは当然のことでしょうし、地元住民に対して「三店方式」なる解釈を解説したところで、一般市民感覚として受け入れられるものでしょうか。



「そうか。三店方式という考えがあるんだ。なるほどね、じゃあ我慢することにするよ。」



というわけには行かないでしょう。



この業界の「当たり前」を「本当の当たり前」と勘違いしてしまう傾向は業界にも行政にもあります。

たとえば、金地金が有価証券ではないからと言って平然と流通させているという話も共通性があると思います。



パチンコ店の出店を阻止する法的効果としては、条例そのものは力不足ではあります。

このニュースの事例では、おそらく出店中止は実現しないだろうと想像しますが、このような問題がニュースになること自体が一パチンコ店の問題にとどまらず、業界全体に対して大きな影響を与える可能性があります。

どんなに理屈をこねて弱点を隠したつもりでも、「おかしいものはおかしい」という市民感覚の前ではごまかしとおすことは難しいしょう。



つまり、今回のニュースの問題点は「条例の有効性」ということではなく、換金所というウィークポイントが、風適法を知らない一般市民の目線で注目され、ニュースとして世間の目に触れてしまっていると言う点だと思います。



一時しのぎの方便でしかないことなのに、それがまるで永遠に通用するかのような錯覚を持ち油断してしまうことが、実は避けられたであろうリスクを招きよせる結果になることがあります。



パチンコ店はこのような様々の弱点を意識しながら最善の配慮をしつつ営業するしか方法がないということが、実際にはあまり意識されていないのではないかと日頃思っていたので、このニュースを取り上げてみました。





hino

2009年11月19日

ネットカフェ犯罪で有識者懇 本人確認義務付け提言

警視庁が主催する有識者懇談会で、ネットカフェ来店者の本人確認の義務付けなどを提言する報告書がまとめられたというニュースがありました。



ネットカフェが犯罪の温床となっているという理由から、営業を届出制にすべきとの意見も出ているようです。



警視庁での話ですので、青少年保護育成条例の中に盛り込む可能性が高いと思います。

同条例ではすでに「設備を設けて客に主に図書類の閲覧若しくは観覧又は電気通信設備によるインターネットの利用を行わせる施設」として、ネットカフェに青少年の立ち入らせ規制や標識の掲示義務などを負わせており、警察官の立入り権も確保されています。



ネットカフェ規制で気になるのは風適法との兼ね合いです。

個室など、一定の面積に満たない狭い客室空間を持つ飲食店は風俗営業の許可が必要なのですが、風俗営業に該当してしまうと夜12時(地域によっては1時)を過ぎて営業できないし、18歳未満の立入りができないので敬遠するしかありません。



しかし、高さ100センチを超える設備で区画された空間は個室と同様に扱うのが風俗行政の考え方ですので、完全な個室(床から天井までそびえる壁によって囲まれた個室)ではなくとも個室あつかいとなってしまう以上、客室内でいかにして見通しを確保するかが難しいところです。



ネットカフェで発生しやすい犯罪は、インターネットを利用した詐欺や賭博など多岐にわたっているので、性風俗規制の視点だけでは規制として物足りないかもしれません。



すでに出会い系喫茶の法規制が実現しそうな状況ですし、ネットカフェをはじめ次から次へと新しい営業形態が生まれ、それにあわせて様々の規制が作られますが、これらを全てひっくるめて営業判断をすることはなかなか難しいことです。



風適法だけでもすでに複雑なのですが、

・インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律

・青少年保護育成条例

・デートクラブ営業の規制に関する条例

なども組み合わせ、さらにパチンコ営業を特別法として分離すべきだという意見も出始めていることを考えると、風俗規制は今後どんどん複雑になって、わけのわからないことになってゆくのではないかという気がします。



hino
posted by 風営担当 at 20:32 | TrackBack(0) | 飲食店業界

2009年11月11日

風営法の成り立ち

現在の風営法は、昭和23年に施行されたものであり、既に還暦を迎えた法でその間十数度の改正は、時代に翻弄されて生きる法と理解している。

風営法をよく見ると、その時々の風俗環境の変遷が彷彿としてくる。

昭和23年以前に風俗営業はどのような法で、どのように取り締まられてい たのか興味津々で本を紐解いて見たら、注解風営法の序説にこんな風に書かれていたので紹介する。



1 戦前における風俗警察等

風俗営業の規制等については、明治以来、長い歴史がある。

これを組織法からみると、明治7年には、東京警視庁職制章程並諸規則  が制定されたところ、この第2章第2条第3には「放蕩淫逸ヲ制止シテ風俗ヲ正シフスル事」と規定していた。

また翌明治8年、東京府を除く各府県について制定された行政警察規則(明治8年太政官達第29号)の第1章第3条第3も「放蕩淫逸ヲ制止シフスル事」と規定していた。

行政警察の分野の一として「風俗警察」が観念されるようになったのは、これら規則の存在を契機とすると解されている。

また、明治18年に内務省警保局が編集した「警務要書」は、「風俗警察 ハ浪遊、醜猥、妄誕等凡ソ風俗ヲ壊乱シ人身ヲ誑惑シ生業ヲ荒廃スルモノ ヲ監査防御スルニ在リ」と述べていた。

同「警務要書」は、当該風俗警察の対象を十の分野に分けている。

すなわち、

 演藝遊観劇場及遊藝人(技芸を見せたり、物品を展示したりする)

 遊戯場(遊技をさせる)

遊憩場(酒肴その他の物を飲食させる)

貸座敷引手茶屋及密賣淫(情交をさせる)

徴章(身分を表象するシンボルを用いる)

祭典及葬儀

賣ト符呪(占い又は祈祷をする)

賭博

富籤

 乞丐及浮浪(乞食又は浮浪をする)

の各分野である。

これらに加え、やがて映画、レコード等の取締りも風俗警察の作用とされるなど、戦前においては、現在の概念とは質的、量的に異なる風俗警察概念が維持されていた。

その広義な「風俗」に関する営業の取締りは、内務省の所掌事務であり、それに係る具体的な規範は警視庁令及び府県令がこれを定めていた。

例えば、その警視庁令には、

宿屋営業取締規則(明治28年警視庁令第2号)

遊技場取締規則(明治37年警視庁令第44号)

芸妓取締規則(明治38年警視庁令 第21号)号

  浴場及浴場営業取締規則(大正9年警視庁令第24号)

舞踏場取締規則(昭和3年警視庁令第46号)

舞踏教授所及舞踏教師取締規則(昭和8年警視庁令第6号)

料理屋、飲食店営業取締規則(昭和14年警視庁令第27号)

待合、芸妓屋営業取締規則(昭和14年警視庁令第28号)

がある。

気付きの点としては、往時いわゆる公娼制度が存在していたことから、 これら府県令等による取締りの対象として、必然的に娼妓に係るものがあ ったことが挙げられる。

また内務省は、現在の概念でいう「衛生」上の見地から、広く風俗に関す る営業について、規制を行っていたことも特徴的である。



2 終戦後の風俗警察等

旧警察法(昭和22年法律第196号)により組織としての警察の責務  に「犯罪の捜査」が加えられた頃から、風俗警察は、ほぼ「風俗犯罪の捜 査に関すること」と同義に考えられるようになったと解されている。

風俗警察の概念には、戦前と戦後で大きな断絶があるわけである。

風俗警察の作用に係る府県令等も、終戦に伴い、「日本国憲法施行の際  現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」(昭和22年法律第 72号)により、昭和22年12月31日を限りに失効することとされた。

さらに、いわゆる旧警察法は、警察の責務の限定、所掌事務の整理等を理念とするものであったから、広く風俗関する営業の規制にあっても、警察 の所管法令によるものではなく、食品衛生法(昭和22年法律第233号)、旅館業法(昭和23年法律第138号)、公衆浴場法(昭和23年法律第139号)等により、衛生上の見地から、行われることとされた。

しかしながら、その時点においても既に終戦に伴う社会制度の混乱、経 済生活の急変等により、我が国の一般的な風潮・風俗は極めて頽廃的にな っており、これを放置すれば、風俗の紊乱が国民一般の健全な生活を阻害し、やがて売春事犯、賭博事犯等悪質な風俗事犯の温床ともなると考えら れるに至っていた。

そこで、それら衛生立法とは別個に、善良の風俗を保持するなどの観点  に特化して、また、それを徹底するために、新たに「風俗営業取締法」(昭和23年法律第122号)が昭和23年7月10日公布され、同年9月1 日から施行されてものである。



 終戦による動乱期を向かえた我が国は、社会制度の混乱と貧困、人身の頽 廃等により遊興、淫隈、賭博に耽り勤労意欲の低下傾向が強くなり、放置す れば国民一般の健全な生活が阻害され悪質な風俗事犯の温床になることが懸念されたことから、善良の風俗を保持するため、従来の衛生立法とは別にそ れら風俗事犯を取り締まる「風俗営業取締法」があらたに立法されたのだと思う。





風俗営業取締法の制定経緯

(昭和23.7.27刑発防第40号)



今般第2回国会に於いて風俗営業取締法(法律第122号7月10日公布)が制定せら れ、9月1日から施行されることになったが、これは従来の庁府県令に代わって、主 として各都道府県の条例によって風俗営業の制限を規定するものである。

 終戦以来の社会制度及び経済生活の急変に因って最近の一般風潮は頗る頽廃的になり、道徳観念の混乱をましているが風俗の紊乱は健全なる社会生活を害し、ひいては 悪質な犯罪の温床ともなるものであって警察としては風俗犯罪に対する取締を徹底して、社会生活における善良な風俗の保持を図り、以て国民の健康にして文化的な生活 の確立に寄与せねばならない。  その一環として本法が制定せられて次第であるからそ の趣旨を諒承されるとともに 下記の点については国会における要望もあったので特に 御留意の上運用上遺憾なき を期せられたい。

 記

1 警察制度の変革に伴い従来の所謂行政警察事務は逐次整理せられ警察は本来執行機関たるべしの原則が確立されたが本法の実施によって警察機関が営業免許その他の行政権限を行うことになるのであるが、本法の趣旨は、警察機関が犯罪の予防の目的のために必要なる最小限度の行政権限を行わんとするものであり、それ以外の目的に出るものではないのであって、もとより本法によって警察の責務が拡張されたのではなく、本法の権限は警察法の規定する警察の責務に含まれるものである。

 従って本法は、従来のように営業警察として、営業自体の全面的な行政取締を行わんとするのではないからこの点を顧みて必要以上の権限行使或いは権限の濫用のないようにされたい。

2 本法の営業免許権はもとより、各公安委員会の裁量処分であり、公安委員会は各種の事情を判断して営業の許否を決定するものであって、風俗取締上許可することが不適当な場合は許可を拒むべきであるが、併し正当な理由のない営業許可の拒否は許されないものであって、風俗取締上の見地から支障がなければ必ず営業の許可をすることを要するものである。

 ややもすると営業免許等をめぐって問題が起こり勝ちであるが、これらの運用についてはあくまで厳正公平を期すべきである。          3 第4条の行政処分の権限を行使するについては不当に営業権を侵害することのないように注意さるべきである。                第5条に規定する聴聞は、公安委員会の行政処分の権限が公正に行使され、国民の権限が不当に侵害せられるようなことのないために設けられた条項である。 聴聞の運営については、未だ殆ど前例がなく又その手続の細目も定められていないが本条の設けられた趣旨に鑑み民主的にして権威ある運営に留意することが必要である。                     4 本法の第6条の規定によって、警察官吏又は吏員が風俗営業の営業所に立ち入る  場合には、本法の目的を達するに必要なる限度において行われるべきであって、この場合には予め警察署長又は所属長の承認を受けせしめる等十分慎重を期し、みだりに関係者の正当の業務を妨害することのないよう留意すべきである。

5 これらの営業を環って警察機関又は警察官吏吏員が綱紀の腐敗を来し、種々の弊害を生じ世人の指弾を招くようなことがあれば、法令の公正なる執行に支障を来すのみならず警察の威信を損する結果に陥るものであるから、かような弊を惹起せしめないよう厳に戒めなければならない。



以上

TOM
posted by 風営担当 at 17:39 | TrackBack(0) | 風営法一般