2011年11月15日

警察の生活安全課は何をするところですか?

こたえ (プレイグラフ2011年9月号「法務相談カルテ」にて)

 ぱちんこ屋営業は警察行政との付き合い無しには成り立たない営業ですので、パチンコ業界に関わる以上は、警察行政全般の仕組みについておおよそ理解しておきたいものです。
 パチンコ店が遊技機入替申請などの手続で訪問するのは、店舗を管轄する警察署の生活安全課です。生活安全課は警察署の中に必ず存在している部署の一つで、警察署にはこのほかに刑事課や交通課、地域課、警務課などの課があります。
 生活安全課は生活経済係(保安係)、防犯係、少年係などの係に分かれており、その中の防犯係等が風俗営業許可など風営法の諸手続の事務を担当しています。
 生活安全課は部署の名称のとおり、犯罪の発生を未然に防ぎ、国民生活の安全を確保することを本来の目的としながら、風営法などの特別法令違反の取り締まりを主に行っています。
 生活安全課は、風営法で定められた各種手続の行政窓口であるという点では、市役所などの一般の役所と変わらないのですが、同時に風営法違反を取り締る司法警察機関としての一面も併せ持っている点が特徴的であり、事業者としては注意すべき点でもあります。
 警察は原則として全ての犯罪について捜査する権限がありますので、行政手続におけるミスが直ちに風営法違反の取締りにつながってしまう恐れがあります。
 例えば、新設遊技機の入替申請中で、まだ承認が出ていないにもかかわらず誤って新台を稼働させてしまった場合には、発見されれば風営法違反として取締りを受ける可能性があります。ただし、風営法違反に対するペナルティとしては、刑事訴訟手続を経て課される刑事罰(罰金や懲役など)の他に、行政処分という方法もあります。
 行政処分は裁判手続に関与しないで進められる処分であり、「指示」や「営業停止」、そしてもっとも重い処分として「許可取消し」があります。
 「指示」は法律違反について改善等を指示する処分であり、「営業停止」は一定期間(風俗営業は最長で6ヶ月)の営業停止を命じる処分、「許可取消し」は風俗営業許可を喪失させる処分ですが、行政処分には懲役や罰金などの刑はありません。
 風営法に違反した場合には、ある程度重大で悪質な違反でなければ刑事罰が適用されることはほとんどありませんが、指示処分や営業停止処分は比較的多く見かけられます。
 行政処分を課すのは都道府県公安委員会ですが、裁判手続の代わりに聴聞や弁明という手続があり、行政処分が決定される前に違反者の意見を聞き取る仕組みになっています。
 このように警察の生活安全課は、ぱちんこ営業が法令に違反しないよう日々目を光らせており、ときにはパチンコ店の死命を制することもあります。
 風俗営業が適正に行われているかどうかを警察が判断する決め手となるのが「立入り」です。「立入り」は、風営法の執行に必要な限度で行い、行政上の指導や監督のため必要な場合に、法令の範囲内で、かつ必要最小限度で行わなくてはなりませんが、司法警察機関としてではなく、行政機関として風営法に基づいて行われるものなので、犯罪捜査の目的や他の行政目的のために行うことはできません。
 風営法に基づく「立入り」は生活安全課の生活経済係(保安係)や防犯係が主として行いますが、必要があれば少年係や刑事課の他、都道府県公安委員会から委嘱を受けた少年指導委員が行うこともあります。
 立入りする職員は必ず「立入証」を呈示して立入りを行いますが、警察官ではあっても警察手帳を呈示しての「立入り」は有り得ません。ぱちんこ店への「立入り」は風営法に基づいて行われますから、正当な理由なく拒否したり妨げたりすることは処罰の対象になりますので注意して下さい。
 「立入り」によって法律違反が認められると、多くは指示処分を受けることになりますが、重大な違反が認知されると「立入り」は終了され、その後は司法手続による捜査に移行し、事件として立件されることになります。
 事件化されると多くの場合、「営業停止処分」以上の処分を科せられますので、そうならないよう常に健全化と法令遵守を心掛けて営業して下さい。

Y.Arai
posted by 風営法担当 at 00:00 | 法務相談カルテ

2011年11月14日

警察署に身分証明書を提出することになったのですが、運転免許証のコピーでよいのでしょうか。

こたえ (プレイグラフ2011年8月号「法務相談カルテ」にて)

 一般的に「身分証明書」と言えば、運転免許証や健康保険証などを思い浮かべることが多いと思いますが、警察署から身分証明書の提出を求められているとすると、それはおそらく、あなたが一定の身分要件に該当していないことを証明するために市区町村が発行する「身分証明書」のことではないでしょうか。
 パチンコ店は風俗営業の許可を受けて営業していますが、法人営業の場合はその役員全員と各営業所の管理者について、法律が定める身分上の要件を満たしていなければなりませんが、このことを証明する書面として住民票のほか、「身分証明書」と「登記されていないことの証明書」を警察署(都道府県公安委員会)に提出しなければなりません。
 役員又は管理者を変更した場合には、新任の役員又は管理者について同様の証明書を提出することになります。
 「身分証明書」の文面には「禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていない。」「後見の登記の通知を受けていない。」「破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていない。」という3つの記載があるでしょう。
 この意味について説明すると、民法の話になります。
 民法では、単独で法律行為を行えない人として未成年者、成年被後見人(精神上の障害により判断能力を欠く常況にある人)、被保佐人(判断能力が著しく不十分な人)、被補助者(判断力が不十分な人)を定めています。これらを「制限行為能力者」と言い、これらの人は法律の適用において特別な保護や制限を受けていますが、風俗営業を経営する法人の役員と管理者は、制限行為能力者であってはならないこととされています。
 法務局の成年後見登録課では、成年被後見人、被保佐人、被補助人として登録されていないことの証明書の交付を受けることができます。
 これは「登記されていないことの証明書」と言われるもので、民法改正により平成12年3月31日以降に利用されるになりましたが、この民法改正以前には、制限行為能力者のことを成年被後見人や被保佐人、被補助人とは言わず、禁治産者、準禁治産者という呼び方が使われ、これらに該当しないことを証明する書面として「身分証明書」が使われてきました。
 「身分証明書」も「登記されていないことの証明書」も、その役割はほとんど同じですが、身分証明書は<民法改正前の時点で禁治産者又は準禁治産者では無い>、ということを本籍地の市区町村が証明するのに対して、登記されていないことの証明書は<民法改正後の制度において登記されていない>ことを証明します。
 身分証明書には「破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていない。」という証明も含まれていますが、これらの情報も本籍地の市区町村で管理されており、やはり取引や許可などの際に関係者の身分の要件に関係してくることが多いので、一緒に証明されているのです。
 以上のとおり、市区町村が発行する「身分証明書」は一般的な身分証明書のイメージとはかなり異なるもので、運転免許証のコピーでは代用できないのです。
 あなたの本籍地を管轄する市区町村の戸籍担当窓口で交付してもらえますが、もし本籍地が遠方のため直接出向くことができない場合には、日数はかかりますが郵便のやりとりで取得することが可能です。
 また、風営法に関係して公安委員会に提出する場合に、関係する役員又は管理者が外国籍である場合には、身分証明書の代わりに外国人登録証の裏表両面のコピーを提出します。
 併せて住民票も提出することになると思いますが、住民票を取得する際には「本籍地に記載があるもの」を窓口で請求するよう注意してください。
 詳しくは担当の行政窓口にお尋ねください。

T.Hirai
posted by 風営法担当 at 00:00 | 法務相談カルテ

2011年11月13日

来店ポイントの規制のゆくえ

 広告宣伝規制が強化されて、いや、もともと規制されていたものを再確認したのだという行政側のご意見はごもっともですので、指導が強化されて、と表現した方が適切かと思いますが、以前のような広告宣伝をしなくなったホールさんでは、また様々なアイデアを練っておられるところも多いかと思います。

 最近のご相談では、「来店ポイントサービスはやってもよいのか」という話がよくあります。
 これは最近発効した業界のガイドラインの内容とも関連するのですが、発効済みのガイドライン(五団体の)を見たところ、奇妙なことに「来店ポイント」という文字が見あたりません。
 ガイドライン全体の勢いからすると、来店ポイントは当然禁止という意味だろうと私は思いますが、ならば具体的に書いておけばよいのに、とも思います。

 私は日頃、法令の解釈についてあれこれ考えるのが仕事ですが、法令には国民の代表者たる議員の(実際には担当行政庁の)意図を通じた国民の意思が反映されているはずですから、社会や法の世界における常識みたいなものを念頭に置いて解釈するのが当然だと無意識に考えているわけですが、五団体のガイドラインを見て感じるのは、どうも社会全般の常識といった背景ではなく、業界内部の特殊な事情といったものであって、来店ポイントについても、具体的に触れられない事情のようなものがあるものかしらと想像してしまいます。

 要するに、現在のところははっきり禁止しているという意思がガイドラインからは伺えないのであって、だから禁止はしていないのだ、という解釈もあるかに聞いています。
 これは普通の法令についての解釈ならば、絶対オカシイ解釈だと思いますが、業界のガイドラインだから業界の特殊性というものをかなり考慮に入れたときに、来店ポイントはOKなのだ、という発想もでてくるものかなあと思います。

 かといって、今後来店ポイントが規制を受けないまま過ごしていられるのかどうかはわかりません。
 そう遠くないうちに、規制対象になるべきかどうかが議論される時がくるかもしれないです。
 そのときは、ポイント残高の精算をどうするかなど、いろいろな課題をクリアする必要が生じるかもしれません。
 つまり、今のところなんとも言い難いところだと思うのです。

 
posted by 風営法担当 at 10:00 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場