2013年02月27日

生活保護受給者を通報する義務〜小野市条例案について

生活保護者に適正化条例案(兵庫県小野市)

というびっくりするニュースです。

兵庫県小野市の市議会に提出された条例案の中で、生活保護受給者が不正受給をしていたり、パチンコやギャンブルなど「生活の維持、安定向上に支障が生じる状況を常習的に引き起こしている」事実を発見した場合には、市民は市に通報する義務があるなどといった内容が盛り込まれているのだとか。

ということは、もしこのような条例案が通過した場合には、ホールのお客さんが生活保護受給者であることに気がついてしまった場合には、ホールは市に通報しなければならず、通報しなかった場合は条例違反になってしまうということです。

このような条例の妥当性はさておき、こんな条例案が作られてしまうようなところまで来てしまっているのだなあと、改めて思い至った次第です。

posted by 風営担当 at 19:15 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場

2013年02月18日

怖いものと危険なもの

(法務コンシェルジュメールマガジン2012年10月3日掲載)

小学校2年生の学校の帰り道、ちょうど今頃の季節でした。
田園都市線に乗って江田駅を通り過ぎたあたりで、車窓から見える小山の向こうに一本の煙が立っていました。
帰宅した直後にテレビを見て驚きました。その煙は横浜市内の住宅地に墜落した米軍機の爆発によるものでした。

三歳と一歳の幼児2名が全身火傷により翌日死亡し、そのお母さんも火傷のため4ヵ月後に亡くなりました。そのお母さんが車椅子に座っていた様子を覚えているのは、当時私の母親も同じ病院で入院していたからです。自分の母親は助かったけれど、あのお母さんは死んでしまったのだ、という思いが当時、私の心を離れませんでした。

私にとって軍用機は「怖い」存在です。
今住んでいる場所にしても、座間基地から近いところなのでヘリコプターの離発着の様子をよく見かけます。
そう言えば最近はヘリポート付の高層マンションがあって、「かっこいい」イメージではありますが、危険だからヤメロという反対運動はあるのでしょうか。
オスプレイの配備について、「危ないから反対」という気分は当然だと思いますが、「では他のリスクにはどう向き合っているのか?」と考えてしまうと、なかなか難しい問題を含んでいます。

軍用機でなくとも航空機はたくさん飛行しています。オスプレイが消えても沖縄に限らず広く全国で墜落の危険はあるのです。「飛行」を 「通行」に置き換えるなら自動車はどうなのか。国内だけで毎年6000人以上が着実に死亡し数万人が死傷していますが、オスプレイによる事故の危険性と比較したらどうなるか。
「危険だから乗用車の配備をやめろ!」という人はいませんが、どうして法定速度を超えられる乗用車が販売されているのでしょう。

「自動車は社会にとって必要だから犠牲は無視してよい。」ということならば、国防のために配備されるオスプレイに関してはもっと無視 してよいことになるでしょう。個人や企業が娯楽や利便のために利用する自動車でさえ必要であるなら、国家が公費を投じて配備する乗り物はさらに必要性が高いはずだからです。

我々は常に様々の危険と隣りあわせで生きています。つまり危険を受け入れ、開き直って生きています。しかし、そのままでは受け入れられないリスクについては対策を立てています。リスクと「共存する」または「共存しない」という判断をしながらリスクと付き合うことをリスク管理と言います。
リスク管理においては「怖いもの」と「危険なもの」を混同しがちです。

極端な例えですが、ジェットコースターの事故による犠牲者と、遊園地へ行く途中での交通事故の犠牲者と、どちらが多かったかを比較すれば、交通事故の方が危険だということになるでしょう。でも「怖い」と感じるのはジェットコースターの方です。
オスプレイの問題は、リスク計算だけでは解明できない複雑な事情が背景にあるということです。
posted by 風営担当 at 00:00 | 歴史チャンネル

2013年02月14日

風俗営業としての営業所の範囲はどこまでですか?

こたえ (プレイグラフ2012年5月号「法務相談カルテ」にて)

A,これからパチンコ店を開業しようとするとき、営業所が保護対象施設から規程の距離内に存在している場合は風俗営業許可を受けられません。
 規程の距離は各都道府県条例で定められており、風俗営業の営業所が保護対象施設からの規程距離の範囲と少しでも重なってしまうと風俗営業が許可されないことになります。

 距離計算の結果、営業所の位置が規程距離のギリギリの位置に存在している場合には、どの地点をもって営業所であると解釈するべきなのかが重要な問題となります。警察庁解釈運用基準では次のような記載があります。

<営業所とは、客室のほか、もっぱら当該営業の用に供する調理室、クローク、廊下、洗面所、従業員の更衣室等を構成する建物その他の施設のことをいい、駐車場、庭等であっても、社会通念上当該建物と一体とみられ、もっぱら当該営業の用に供される施設であれば、「営業所」に含まれるものと解する。>

 パチンコ店を構成する廊下、洗面所、従業員更衣室、事務室、倉庫等が営業所に含まれるということは理解しやすいと思いますが、専用駐車場や、建物の外部にある植え込み、駐輪場等も、本体営業所の建物と社会通念上一体と見られる場合には営業所に含まれるものと解釈されます。
 
 一例として、駐車場がパチンコ店とは別営業の飲食店との共用である場合であっても、利用の実態としてもっぱら当該パチンコ店の用に供されているときは、当該駐車場はパチンコ店の「営業所」に含まれると解釈できますが、「もっぱら」の判別は難しく、実際のところ悩んでしまうケースがよくあります。

 なお、<営業所建物の床面積の算定の根拠となる部分>と<営業所の範囲>は別の概念ですが、よく混同されるので注意してください。つまり、許可申請時に公安委員会に提出した平面図を見ていただくと、「営業所床面積の算定根拠となる範囲」と床面積が記載されていると思いますが、そこに書かれている「範囲」が、保護対象施設などとの距離制限を判断する際に重要となる「営業所の範囲」と一致しない場合があります。

 公安委員会に提出している平面図上では、「建物の床面積」を表示しているのであって、建物の外にある駐車場、駐輪場、植え込み、屋外通路などは床面積の算定の基礎とされていないので、建物の外の敷地にまで営業所の範囲が及んでいる場合には、平面図上で示された営業所床面積と「営業所全体の範囲」は一致しないことになるのです。

 では、公安委員会で把握されている「営業所の範囲」はどのように確認すればよいかと言うと、許可申請時又は構造設備の変更承認申請の際に提出している略図を見ていただく必要があります。
 略図とは、営業所周辺の一定の範囲内を示す地図であり、営業所の範囲とともに付近の保護対象施設に関する情報が略記されているものです。

 この図面を見ていただければ営業所の範囲がどこまでであるかがわかりますが、中にはその点が不明瞭な略図も存在しています。
 保護対象施設との距離を考えるにあたっては、その営業所の範囲の一番外側で、それぞれの保護対象施設に最も近い部分を距離計算の基点にします。

 また保護対象施設についても、その施設の敷地や駐車場等を含めて考えます。
 学校の付属施設などで、本校舎から離れた飛び地などが保護対象になってしまう場合もありえます。これら以外にも注意すべきケースがたくさんありますので慎重に検討していただきたいです。

 営業所が複合施設の一部分として存在している場合には、その複合施設全体の敷地ではなく、当該営業所が所在する部分を水平面でとらえた位置を営業所の範囲として考えるのが原則です。
 「営業所の範囲」は賞品買取り問題とも関連しうる概念ですので、各店舗で常に把握しておいていただきたいです。

風営法担当
posted by 風営担当 at 00:00 | 法務相談カルテ