2014年05月23日

広告規制に対する店長の間違った対応

弊社ではホール企業のみならず、ホール業界を顧客としているさまざまの企業からご相談を受けております。
そういった<ホール業界周辺企業>の方々から耳にするのです。

ホールの店長さんから、

「こういうことをやってもよいかどうか行政に確認してほしい。」

とよく頼まれるという話。

ホールの店長さんで、もしこういう発想をお持ちの方がいらしたとしたら、余計なお世話ではありますが、思考方法を切り替えたほうがよろしいと思います。
たとえば、こんな話があります。


あるホールが外部からタレントさんを招致するイベントの企画を持ち込まれました。

それについて店長さんは外部のイベント企画会社に対して「行政に確認してくれ」と催促したので、企画会社がしぶしぶ行政庁に確認しました。

その結果報告はこんな↓でした。

企画会社「ホールでこういうイベントをやったらダメですか?」

行政側 「ダメではないです。」


それで実際にイベントをやったところ指示処分を受けてしまったと言う話です。

何がいけなかったか。
まず、「質問のあやうさ」について店長は理解されていません。

イベント会社が具体的にどのような質問をし、それに対してどのような回答をいただいたのか。
このことを店長は素人であろう企画会社から聞いているだけで、質問と回答の現場を見ていません。

つまり、実際にどのようなやりとりがあったかはわからないはずなのに、報告を信じて「大丈夫」と判断しています。
質問の方法が不適切な場合がよくあるし、行政側も回答の中に「微妙な含み」を持たせていることもありますが、そんなことが店長にはわかりません。

処分を受けるのは自身なのに、なぜ他人に下駄をあずけたのか? それは責任を回避したかったこと、自分で判断できる自信がないこと、面倒くさかった、などたくさんの原因が考えられます。

もう一つは法的な誤解。
警察庁は「イベントは一切ダメ」とまでは言っていないのですが、仮にイベント自体に問題がなくとも、広告宣伝の中の表現や方法に問題点が含まれていれば風営法違反となります。

イベント=広告宣伝 ではないのです。

「合法なイベントを告知しただけだ」と建前ではいいながら、本音では客を不当に誘引しようとしていたことが活動全体から透けて見えることがあります。

行政側だって人間ですから、いやらしい方法で活動するお店があれば、何かしら違法ポイントを発見して懲らしめてやろうと思うはずです。それで処分を受けても、企画会社に過失があったとは断定できません。

イベントや広告宣伝にはデリケートな要素がたくさんあるのに、「やっても大丈夫か?」と外部の業者に質問している時点ですでに、ずいぶん危ない思考方法です。
そういうことをしていた店長が警察署から呼び出されて、キツイお説教を受けたという話もあります。

それはつまり、まともなコンプライアンスが望めない状態であり、根本的に危険な状態だと思うのです。
こういう危険なことが現場で日々起きていることを、社長さんは案外知らないものです。

なんでもかんでも行政に質問して回答をもらわないと気がすまない。
こういう発想は行政庁にとっても迷惑ですし、もう終わりにする時期に来ています。












posted by 風営法担当 at 13:45 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場

2014年05月20日

ホール営業法務Q&Aを整理しました

ホール営業のためのQ&Aを整理してまとめております。
とは言っても、まだ一部に過ぎません。

http://nozomi-soken.jp/FAQ.html

これから過去の質問内容や原稿などを整理して少しずつ追加してゆく予定です。
Q&Aの中にはアクセス制限のかかっているものもあります。

これは、回答がデリケートな内容である場合に、閲覧を弊社のお取引先に限定したいからです。
常にサポートできる状態の方でないと、WEB上の情報を間違って使われて余計なトラブルになることを懸念します。

弊社がWEBや業界紙で掲載している内容は、あくまで「一般論」であって、各方面への配慮から、ある程度に抑えているので、本音を言えない分、とても苦労しています。

本当に言いたいことは別にたくさんあって、その部分がもっとも重要なのだと思いますが、それは言えません。
法の理論がそのまま通用するケースなど、この業界ではほんの少しです。

都道府県によって、管轄によって、時代によって、人によって、解釈や発言内容はバラつきがあります。
「一年前は一昔、隣の所轄はよその国」
結局は、人とその組織をどう分析し、どうリスク判断するか、というところにつきます。

なので、WEBで探しても答えが見つからない問題はたくさんあります。
全国共通の答えは、皆さんがお探しの問題についてはほとんど存在しません。

その瞬間、その場所で起きた現象について、具体的に分析することになります。
一般の方々にとっては、あいまいな回答ほど無意味な回答はないので一般公開できませんが、私の周辺にとっては意味があります。

ある場合では、単にあきらめるしかない、というときもあります。
そのことに気がつくことは簡単なことではありません。

法務の判断は知識だけではできません。天気予報のように確率計算で判断することの方が多いのです。
当然、予想がはずれることがありますし、はずれた場合を覚悟しておきます。

その予想を一人孤独に行うのは、かなりつらいものです。
ですので、弊社は中小ホール経営企業の悩みを分かち合う仕事なんだ、と思うときがあります。

経営者、管理職、店長、現場のスタッフ、とさまざまな部署からご相談を受け、その職階に対応して状況を想像しながらお話を伺います。法務だけでなく、経営や人事のこともご相談いただいています。

明快な回答ができず気休めに終わってしまうこともよくあるのですが、それでも一人で悩んでいるわけではない、ということでご納得いただく場合もあります。

Q&Aには、「こんな問題もあるのか」とか、「このあたりが限界なんだな」と気がついていただく意味もありますし、弊社で蓄積している情報を整理して活用しやすくする意味もあります。

そのようなわけで、皆様からのご質問を今後も徐々に、このQ&Aコーナーに蓄積してゆきます。
パスワードは不定期配信メールマガジンの法務情報の末尾に掲載しております。

どうぞよろしくお願いします。 <(_ _)>





posted by 風営法担当 at 15:19 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場

2014年05月16日

書類の差し替えの誤解について思う

手続に関する話ですが、ちょっとデリケートな内容です。
行政庁に許可申請や変更承認申請をした際に、その書類を差し替えることができるのか。

もちろん差し替えないで済むなら結構な話で、私たちも差し替えないで済むよう日々がんばっておりますが、ヘマな私のことですから、書類の一部に書き間違えを発見したり、または手続上の審査で発見されたりして、書類の差し替えにいたる場面がしばしばあります。特に行政庁の皆様へは、いつもご迷惑をかけており大変申し訳なく思っております。<(_ _)>

つまり書類の差し替えはよく起こることなのですが、だからといって、申請前から差し替えるつもりで、本来不要なはずの書類を提出することはNGとなります。これは虚偽申請と言われる可能性があります。

風営法では虚偽の申請について厳しい罰則を定めています。悪質な場合には許可取り消しもありえます。

ですから、お客さんから「書類を差し替えできるか?」というお問い合わせをいただいた際には、申請前の時点の場合は「できません。」と回答しますし、申請後のタイミングであれば「状況によってはできるかも。」と回答することが多いです。

もし「できる。」と回答したら、その後どうなるか。

「差し替えできるんでしょ。いつもやってるじゃん。」と誤解されるのが怖いです。
現に、そういった誤解はよくあるので、気がついたときにはしつこく打ち消します。

申請内容の錯誤に後で気がついて仕方なく書類を差し替えるのと、申請前から差し替える予定で差し替えるのとでは、意味がちがうということをご理解いただければよいのですが、その点をスッとばされる予感がある場合は、私は「一切ダメ」と答えざるをえません。

よく「行政庁の回答は厳しすぎる」といったご意見を耳しますが、こういう事情があるので、行政サイドにしてみれば「うかつに甘いセリフは言えない」と考えて当然です。

同じ差し替え問題で、遊技機関係の書類のことで悩ましい場面があります。
これはさらにデリケートな話なので、ここではあまり触れられませんが、できれば法制度的になんとかしてもらえたらとも思います。

この続きはいずれ書くかもしれません。






posted by 風営法担当 at 17:38 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場
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