2014年10月01日

従業者名簿からの本籍削除 施行後はどうすべきか


まだ正式決定ではありませんが、従業者名簿上の本籍の記載義務を削除する改正内閣府令がいずれ施行される見込みです。
これについて改正後の問題点について述べます。

問題点の要点は二つ。


<本籍情報を削除するのか>

すでに従業者名簿に掲載されている本籍情報をどうするかということです。

顧客の個人情報保護の重要性については今年(平成26年)8月に日遊協を通じて警察庁が適切な管理を要請しているので、従業者の個人情報保護についても無視できないはずです。

内閣府令改正後は名簿に本籍情報を記載しておくべき法的義務が無くなるので、従業者のプライバシーを保護するうえでは<本籍情報をただちに抹消すべき>という見解も出てくるものと思われます。

本籍情報をいざ抹消するにしても、その手間はかなりのものですので、実際に削除するかどうかは悩ましいところです。



<その後も証明書の提出を求めるのか>

もう一つの問題は、今後従業者に「住民票の写し」等の提出を求めるかどうかです。

これまでは<従業者名簿に正確な情報を記載するため>という大義名分で、本籍が記載された「住民票の写し」等の提出を求めていた店舗が多かったと思いますが、確認書類の提出(店舗での保存)は元々法的な義務によるものではなく、ホール事業者が名簿記載情報について正確を期すため自発的に住民票の写し等の提出を求めてきたものです。(ホール側は多くの場合そのつもりが無かったでしょう。)

つまり風営法では元々から、パチンコ店営業者が従業者の「住民票の写し」など、<名簿記載事項を確認するための書類>を保存する義務が無かったのですが、内閣府令改正後は、少なくとも本籍情報については、その本籍が正確かどうかを確認することさえも意味がなくなります。

ならば「住民票の写し」を提出させる必要はないという話になりますが、ここで問題となるのが、<従業者が日本人であることの確認をどうするか>という点です。

外国人を日本人であると間違って雇用しないためには、仮に従業者が日本人であれば、その本籍の存在によって日本人であることを確認することができます。
よって、本籍が記載された「住民票の写し」を見れば日本人であることを確認できますが、かといって本籍情報の全てを記載されたものまでは必要なく、たとえば都道府県のみまでが記載された住民票があれば、本籍がある以上は日本人に違いないので、少なくともその従業者が日本人であることが確認できます。

ですので、ホール企業によっては<本籍の都道府県のみが記載された住民票の写し>の提出を求めるケースが出てくるかもしれません。
この方法は今回の改正案でも、遊技場以外の風俗営業では義務化されることになっています。

しかしながらこれを実際に行ってみたときには、おそらくかなり多くの従業者が、そのような証明書の取得ができなくて困惑するのではないかと予想します。

なぜなら、<本籍の都道府県のみが記載された住民票の写し>は住民基本台帳法の制度においては存在しない証明書だからです。

もしそのような趣旨の証明書を求めるのであれば「住民票の写し」ではなく「住民票記載事項証明書」として請求しなければならず、単に「住民票をください。本籍の都道府県だけが記載されているもので。」と市区町村の窓口で請求してみても、不親切な窓口であれば「そんな証明はできません。」と言われてしまい、従業者が結果としてそのような証明書の取得を断念したり、又は、本籍の全てが記載された「住民票の写し」を取得したり、といったことになってしまう可能性が少なくありません。

日本人であることを確認するだけのために、そのような面倒をしてまで証明書を求める必要があるのかと言うと、一般企業の状況を見れば「そこまでする必要はない。」という選択もありえます。

風営法としては従業者が<18歳以上であること>を確認する必要は一応あります。
風営法では、18歳未満の従業者に夜10時以降の接客をさせてはならないからです。

なお、労働基準法では接客の有無に関わらず夜10時以降に18歳未満の従業者に労働させてはならないことになっています。つまりこの点では実質上、一般企業と同じ規制を受けているわけですが、もし違反した場合には風営法での処分がありえるという違いに過ぎません。それをふまえて年齢確認のために住民票を提出させるというなら、それも選択肢の一つです。

社会保険など人事労務の必要から住民票を提供させることは、このテーマとは別の話となります。
実際にどうすればよいかは各社の状況にあわせて柔軟に判断してください。

posted by 風営法担当 at 10:46 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場