(プレイグラフ2013年11月号「法務相談カルテ」掲載)
管理者証は、風俗営業許可の取得の際や、管理者選任後の変更届出の際などに、都道府県公安委員会から交付されるカードです。
管理者証には、「営業所の名称」「営業所の所在地」「管理者の住所」「管理者の氏名・生年月日」などが記載され、管理者本人の顔写真も貼り付けられています。
風俗営業の管理者はおおむね3年に一度の割合で、都道府県公安委員会が主催する管理者講習を受講しなければなりませんが、講習に参加する際に、参加者自身が管理者であることを証明するために管理者証が必要です。
公安委員会は、管理者について風営法で定められた身分要件に該当していないことの調査を行ったうえで交付される証明書ですので、管理者証を持っているということは、それなりに信用できる人であると考えることもできそうですが、日常の管理者業務において管理者証が必要なわけではありません。
管理者証については、許可証の場合のような掲示義務がありませんし、管理者が携帯する義務もなく、管理方法について法令では定められていません。
つまりどのように管理するのも自由ということですが、管理者を交代して公安委員会に新しい管理者を届け出る際には、前任の管理者の管理者証を公安委員会に返納しなければなりません(風営法施行規則第21条第3項)。
よって、管理者証は紛失しないように大切に保管する必要があるということです。
よく管理者自身が財布などに入れて管理していることがありますが、財布に入れてしまうと、他の似たような形状のカードと区別が付かなくなってうっかり捨ててしまったり、財布ごと盗まれてしまったりといったことがあります。
ですので、管理者本人に管理者証を持たせないで、会社や店舗で管理者証を管理してもよいですが、管理者講習の通知があった際には、事前に本人に渡しておかなければなりません。
もし管理者証を紛失してしまった場合には、管理者講習が開催される前に新しい管理者証の交付を警察署に請求し、新たな管理者証を入手しておく必要があります。
管理者証については風俗営業許可証の場合と異なり、再交付請求という手続が法令で明記されていませんので、紛失してしまった事情を説明する理由書等を元に警察署に再交付を請求することになるでしょう。
また、管理者の交代により変更届出を行う際に、前任者の管理者証を紛失などによって提出できない場合には、返納義務を果たせなかったことについて、理由書などの書面の提出を警察署から求められることがよくあります。
管理者証が速やかに提出できない場合であっても、管理者の変更届出は新しい管理者を選任してから10日以内に行わなければなりませんので、期限に遅れないようご注意ください。
前任者の管理者証を提出せずに新しい管理者証の交付を受けた後で、古い管理者証を発見できた場合には、事情を説明して速やかに警察署に提出してください。
営業所の名称や管理者の住所氏名を変更した際にも、公安委員会へ届け出る必要がありますが、その際には管理者証の記載事項も修正が必要なので、必要に応じて管理者証を提出して、書き換え又は再発行を受ける必要があります。
管理者証には更新期限はありませんし、めったに使う機会もありませんが、管理者講習の直前になってあわてて探すことにならないよう、定期的に確認されることをおすすめします。
2016年04月10日
管理者が管理者証を無くしてしまったのですが(法務相談カルテ)
posted by 風営法担当 at 08:00
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2016年04月08日
パチンコ店は本来禁止された営業なのですか?(法務相談カルテ)
(プレイグラフ2013年10月号「法務相談カルテ」掲載)
これは行政講話などでも聞くことがある言葉ですね。「本来禁止されている」と言われると、なんだか悪いことであるかのようなイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。
これはパチンコ店だけでなく風俗営業のような許可営業全体について言えることなのですが、法制度から見ると確かに「本来禁止されている営業」であると言えます。
ただし、「禁止されているからコソコソおこなう営業」という意味ではなく、むしろ「前向きに正々堂々行う営業」という意味が込められていると考えていただきたいです。
風俗営業は許可を必要とする営業ですが、許可が必要だという場合、その前提としてその行為が禁止されているはずです。禁止されていることだから「許可」を得る必要が生まれるわけです。つまり、風俗営業に「許可が必要」だということは、「本来禁止されている」ということと表裏一体の関係にあります。
許可が必要な行為はこの世にたくさんあります。たとえば自動車の運転は本来は禁止されています。その理由は、自動車の運転を誰でも自由に行えてしまうと、きっとたくさんの自動車事故が発生して、たくさんの死傷者が出るに違いないからです。
自動車の運転は人の生命を奪う恐れが高い「危険な行為」ではありますが、この便利な現代社会を維持するうえで、自動車の運転は非常に重要な役割を持っています。
そこで、「安全運転」を期待できそうな人に対してのみ、公安委員会が自動車運転の許可を与える制度となっています。自動車の運転が悪いことなのではなく、自動車事故を誘発しそうな「危険な運転」が悪いことなのです。
パチンコ店営業の場合も、誰でも自由にできるようにしてしまえば、きっと賭博営業のような不健全な営業を誘発してしまうでしょう。パチンコ店営業が悪いのではなく、不健全な営業が悪いことなのです。つまり不健全な営業を予防するためにパチンコ営業を禁止しています。禁止したうえで、健全な営業ができると期待できそうな人に限って風俗(ぱちんこ屋)営業を許可するのです。
要するに許可を得て営業する人は、その期待に答えて健全な営業を行わなければなりません。しかし、多くのドライバーが目的地に早く着きたいと願うように、パチンコ店経営者も他店よりもお客様に喜んでもらって売上を伸ばしたいと願うでしょう。
どんな運転が「危険」なのか、どんな営業が「不健全」なのか、ということをある程度はっきりさせておかないと、人は少しずつ「あるべき姿」、つまり「安全運転」や「健全営業」を見失ってしまうものです。
そこで、道路交通ルールや風営法のルールを法令で定めておき、監督官庁である公安委員会が法令違反者を取り締まったり、指導したりする制度になっています。
このように考えてみると、「本来禁止されている営業」を許可されて行っていると言うことは、社会から期待された重い責任を背負っていると言うことであり、関係法令をよく理解して健全営業を実現する努力をしなければならないということです。それは決してうしろめたいことではなく、堂々と旨を張って行えば良いことだと思います。
しばしば、風営法のルールの運用について「基準が明確でない」といったご意見を耳にしますが、ルールの細かい解釈にこだわる前に、その営業行為が「健全であるかどうか」を考えてみてはいかがでしょうか。
ドライバーにとって「ルールを守ること」も重要ですが、「安全に運転をすること」の方がより重要でしょう。ルールを守るために危険な運転をしてしまったら本末転倒ですし、ドライバーとしては失格となります。
パチンコ店営業の場合も、風俗環境や少年の健全育成に配慮して営業することが第一であり、ルールや行政指導をかいくぐって不健全な営業を行うのであれば、パチンコ営業者としての本来の姿を見失っている、つまり営業者として失格であるということになります。
ぱちんこ屋営業が「本来禁止されている」ことの意味をよくご理解いただき、社会的責任をしっかり果たして、堂々と営業していただきたいと思います。
これは行政講話などでも聞くことがある言葉ですね。「本来禁止されている」と言われると、なんだか悪いことであるかのようなイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。
これはパチンコ店だけでなく風俗営業のような許可営業全体について言えることなのですが、法制度から見ると確かに「本来禁止されている営業」であると言えます。
ただし、「禁止されているからコソコソおこなう営業」という意味ではなく、むしろ「前向きに正々堂々行う営業」という意味が込められていると考えていただきたいです。
風俗営業は許可を必要とする営業ですが、許可が必要だという場合、その前提としてその行為が禁止されているはずです。禁止されていることだから「許可」を得る必要が生まれるわけです。つまり、風俗営業に「許可が必要」だということは、「本来禁止されている」ということと表裏一体の関係にあります。
許可が必要な行為はこの世にたくさんあります。たとえば自動車の運転は本来は禁止されています。その理由は、自動車の運転を誰でも自由に行えてしまうと、きっとたくさんの自動車事故が発生して、たくさんの死傷者が出るに違いないからです。
自動車の運転は人の生命を奪う恐れが高い「危険な行為」ではありますが、この便利な現代社会を維持するうえで、自動車の運転は非常に重要な役割を持っています。
そこで、「安全運転」を期待できそうな人に対してのみ、公安委員会が自動車運転の許可を与える制度となっています。自動車の運転が悪いことなのではなく、自動車事故を誘発しそうな「危険な運転」が悪いことなのです。
パチンコ店営業の場合も、誰でも自由にできるようにしてしまえば、きっと賭博営業のような不健全な営業を誘発してしまうでしょう。パチンコ店営業が悪いのではなく、不健全な営業が悪いことなのです。つまり不健全な営業を予防するためにパチンコ営業を禁止しています。禁止したうえで、健全な営業ができると期待できそうな人に限って風俗(ぱちんこ屋)営業を許可するのです。
要するに許可を得て営業する人は、その期待に答えて健全な営業を行わなければなりません。しかし、多くのドライバーが目的地に早く着きたいと願うように、パチンコ店経営者も他店よりもお客様に喜んでもらって売上を伸ばしたいと願うでしょう。
どんな運転が「危険」なのか、どんな営業が「不健全」なのか、ということをある程度はっきりさせておかないと、人は少しずつ「あるべき姿」、つまり「安全運転」や「健全営業」を見失ってしまうものです。
そこで、道路交通ルールや風営法のルールを法令で定めておき、監督官庁である公安委員会が法令違反者を取り締まったり、指導したりする制度になっています。
このように考えてみると、「本来禁止されている営業」を許可されて行っていると言うことは、社会から期待された重い責任を背負っていると言うことであり、関係法令をよく理解して健全営業を実現する努力をしなければならないということです。それは決してうしろめたいことではなく、堂々と旨を張って行えば良いことだと思います。
しばしば、風営法のルールの運用について「基準が明確でない」といったご意見を耳にしますが、ルールの細かい解釈にこだわる前に、その営業行為が「健全であるかどうか」を考えてみてはいかがでしょうか。
ドライバーにとって「ルールを守ること」も重要ですが、「安全に運転をすること」の方がより重要でしょう。ルールを守るために危険な運転をしてしまったら本末転倒ですし、ドライバーとしては失格となります。
パチンコ店営業の場合も、風俗環境や少年の健全育成に配慮して営業することが第一であり、ルールや行政指導をかいくぐって不健全な営業を行うのであれば、パチンコ営業者としての本来の姿を見失っている、つまり営業者として失格であるということになります。
ぱちんこ屋営業が「本来禁止されている」ことの意味をよくご理解いただき、社会的責任をしっかり果たして、堂々と営業していただきたいと思います。
posted by 風営法担当 at 08:00
| 法務相談カルテ
2016年04月07日
風営法初級テキスト改訂(新風営法対応)
先日、とある研修の実施にあたって「風営法初級テキスト」を改訂しました。
そうだ! その研修で出張した際にスマートボールのお店を発見して、感動ひとしおだったのですが、それについて以下のサイトに載せてしまいました。
http://nozomi-soken.blogspot.jp/2016/03/blog-post_29.html
さて、テキスト改訂の話ですが、「新風営法対応」と言いましても、今回の改正はホール業の皆様にとっては、たいした変化ではありません。
いや、考えようによっては大きな変化でしょうか。
これまで「7号」だった種別が「4号」になります。
それだけではありますが、今年平成28年の6月23日からは、変更承認申請や変更届出で使用する書式に若干の変更が必要になります。
営業種別の変更に対応して、弊社で提供している「風営法初級テキスト」の内容を一部修正しました。
基本的な内容は全く変わらないのですが、初級セミナーでは「風俗営業制度」についてじっくり解説することになるので、一応重要なのであります。
ですので、弊社テキストを日頃ご利用の皆様には、そろそろこの改訂版に切り替えていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
http://nozomi-soken.jp/benri.html
余談ですが、この初級テキストでは、「広告宣伝規制」をあえてはずしております。
広告規制については、一度語る以上はたくさんの情報をのせるはめになってしまい、初級テキストにふさわしくなくなってしまうという懸念がありました。
広告だけでセミナー1回分くらいの中身なってしまいます。
なお、初級テキストは「ホール営業初級テスト(新人用)」とセットでご利用いただける内容になっています。
そうだ! その研修で出張した際にスマートボールのお店を発見して、感動ひとしおだったのですが、それについて以下のサイトに載せてしまいました。
http://nozomi-soken.blogspot.jp/2016/03/blog-post_29.html
さて、テキスト改訂の話ですが、「新風営法対応」と言いましても、今回の改正はホール業の皆様にとっては、たいした変化ではありません。
いや、考えようによっては大きな変化でしょうか。
これまで「7号」だった種別が「4号」になります。
それだけではありますが、今年平成28年の6月23日からは、変更承認申請や変更届出で使用する書式に若干の変更が必要になります。
営業種別の変更に対応して、弊社で提供している「風営法初級テキスト」の内容を一部修正しました。
基本的な内容は全く変わらないのですが、初級セミナーでは「風俗営業制度」についてじっくり解説することになるので、一応重要なのであります。
ですので、弊社テキストを日頃ご利用の皆様には、そろそろこの改訂版に切り替えていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
http://nozomi-soken.jp/benri.html
余談ですが、この初級テキストでは、「広告宣伝規制」をあえてはずしております。
広告規制については、一度語る以上はたくさんの情報をのせるはめになってしまい、初級テキストにふさわしくなくなってしまうという懸念がありました。
広告だけでセミナー1回分くらいの中身なってしまいます。
なお、初級テキストは「ホール営業初級テスト(新人用)」とセットでご利用いただける内容になっています。
posted by 風営法担当 at 18:20
| パチンコ・ゲームセンター・遊技場

