先日、あるテレビ番組を見ていて驚いたんですけれど。。。
「1000円ガチャ」という自動販売機があるんですね。
1000円の現金を販売機に投入したら、物品が出てきます。
1000円よりも高額な物品と、低額の物品があって、つまり、「あたり」「はずれ」があるのです。
「あれ!? これは賭博だな」
と思ったのですが、パチンコ業界の方ならわかりますよね。
刑法の賭博罪(185条)では、公営賭博以外に合法賭博がありえます。
刑法第百八十五条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
私が見慣れて来た「ガチャガチャ」は、100円を投入したら100円相当の物品がでてくるから、普通の自動販売機であり、この場合の法律行為は「売買」です。
たとえどんな種類の物品がでてくるかわからないにしても、福袋と同じく、価値は購入額と同額。
ところが、番組で取り上げていた「1000円ガチャ」なるものは違いまして、「あたり」と「はずれ」があるから賭博でしょう。
ただし、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」に該当するのであれば、賭博ではあっても、賭博罪は成立しません。
ならばあれは合法なのか。。。
ここで風営法が気になるのです。
風営法第二条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
四 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
もし「1000円ガチャ」が上記の「4号風俗営業」に該当するのなら、あの機械を設置している事業者は風俗営業の許可が必要ということです。
ですが、射幸心はそそるにしても、「遊技」をさせているのかどうか。どうでしょう。
自動販売機であって、「遊技」はさせていないのだから4号営業ではない。
それなら法的に問題はないと思えます。
しかしですね、
技術介入性がゼロの場合 → 風営法の規制を受けず自由に営業できる
「遊技」の要素がわずかでもあった場合 → 風営法の規制を受ける → 事実上営業不可
これはいかがなものでしょう。
ならば、技術介入性がゼロでスロット機みたいな演出機能のある自動販売機を設置したら。。。
パチンコ業界の方々にとってこれは、スロット機の置かれた今の情勢では特に、重大なテーマだと思います。
詳しくはこの次のブログで述べます。
2020年07月28日
1000円ガチャは問題ありだと思う
posted by 風営法担当 at 19:45
| パチンコ・ゲームセンター・遊技場
2020年07月21日
正直言って、この国は・・・
感染対策は法の対象外 夜の街への警察投入、要請止まりに
https://www.sankei.com/life/news/200720/lif2007200050-n1.html
昨日のブログで書きましたが、風営法の立ち入り権を使って警察がコロナ対策の改善指導はできないはず、という話をしました。
誤報であってほしいとも思いましたが、どうやら官邸が警察庁幹部の意見を聞かずに記者会見で話してしまったのではないかと。
で、これについて警察幹部から否定的な声が漏れてきている。という冒頭のニュースが産経で出ていました。
「たとえ、感染拡大防止対策の不備を見つけたとしても改善をお願いする程度になる」
「警察はトラブル警戒の補完的な立場だ」
読んでみて「そりゃそうだわ」と思いました。
警察としては法を守る立場である以上、そう言うしかないですよ。
これじゃ、立ち入ってもやりにくいでしょうね、現場は。
そして、ごめんなさい。私は
「正直言って・・・」
という言葉をなるべく使わない主義ですが、こういうときには使っていいですよね。
正直言って、
「この国の政治のトップの能力は<この程度>なんだな」
と残念に思いました。国民が選挙で選んだ人達ですけどね。
立法府に所属する議員さんが法制度を無視して権力乱用を行政に働きかけ、それに対して行政の現場がブレーキをかけようとしている。
これって、議院内閣制が想定する構図と逆になっていると思うのです。
結局、この国の法の支配は行政官僚に頼らないと、まともに運営できないのですかね。
米国の連邦議会の議員さん達と比較したら、どうなんでしょうね。
あちらでは議員さんの多くが弁護士出身だそうですから、こういうことにはならないでしょうに。
そして、行政と官邸との間で適切な意思疎通ができていないとも思えます。
これでは有事の際にオカシナことが起きますよ。
そうなると、問題のGOTOキャンペーンとか、検察庁法改正とか、森友学園とかの件も胡散臭く思えてきます。
国の政策のトップにいる政治家がテレビの一般視聴者レベルの法的素養しかなく、その自覚もなしに官僚をすっ飛ばしてペラペラ発言するということなら、かなり問題だと思いますが、いかがでしょう。
https://www.sankei.com/life/news/200720/lif2007200050-n1.html
昨日のブログで書きましたが、風営法の立ち入り権を使って警察がコロナ対策の改善指導はできないはず、という話をしました。
誤報であってほしいとも思いましたが、どうやら官邸が警察庁幹部の意見を聞かずに記者会見で話してしまったのではないかと。
で、これについて警察幹部から否定的な声が漏れてきている。という冒頭のニュースが産経で出ていました。
「たとえ、感染拡大防止対策の不備を見つけたとしても改善をお願いする程度になる」
「警察はトラブル警戒の補完的な立場だ」
読んでみて「そりゃそうだわ」と思いました。
警察としては法を守る立場である以上、そう言うしかないですよ。
これじゃ、立ち入ってもやりにくいでしょうね、現場は。
そして、ごめんなさい。私は
「正直言って・・・」
という言葉をなるべく使わない主義ですが、こういうときには使っていいですよね。
正直言って、
「この国の政治のトップの能力は<この程度>なんだな」
と残念に思いました。国民が選挙で選んだ人達ですけどね。
立法府に所属する議員さんが法制度を無視して権力乱用を行政に働きかけ、それに対して行政の現場がブレーキをかけようとしている。
これって、議院内閣制が想定する構図と逆になっていると思うのです。
結局、この国の法の支配は行政官僚に頼らないと、まともに運営できないのですかね。
米国の連邦議会の議員さん達と比較したら、どうなんでしょうね。
あちらでは議員さんの多くが弁護士出身だそうですから、こういうことにはならないでしょうに。
そして、行政と官邸との間で適切な意思疎通ができていないとも思えます。
これでは有事の際にオカシナことが起きますよ。
そうなると、問題のGOTOキャンペーンとか、検察庁法改正とか、森友学園とかの件も胡散臭く思えてきます。
国の政策のトップにいる政治家がテレビの一般視聴者レベルの法的素養しかなく、その自覚もなしに官僚をすっ飛ばしてペラペラ発言するということなら、かなり問題だと思いますが、いかがでしょう。
posted by 風営法担当 at 17:47
| 風営法一般
2020年07月20日
風営法の立ち入り権をコロナ対策で?
風俗店や劇場、立ち入り時に感染対策チェック 政府、風営法や食品衛生法活用検討
https://mainichi.jp/articles/20200719/k00/00m/010/133000c
こんなニュースがありまして↑
風営法にもとづく「立ち入り」について確認してみます。
以下は風営法から抜粋です。
(報告及び立入り)
第三十七条 公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、風俗営業者、性風俗関連特殊営業を営む者、特定遊興飲食店営業者、第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者、深夜において飲食店営業(酒類提供飲食店営業を除く。)を営む者又は接客業務受託営業を営む者に対し、その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 警察職員は、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。ただし、第一号、第二号又は第四号から第七号までに掲げる営業所に設けられている個室その他これに類する施設で客が在室するものについては、この限りでない。
一 風俗営業の営業所
二 店舗型性風俗特殊営業の営業所
三 第二条第七項第一号の営業の事務所、受付所又は待機所
四 店舗型電話異性紹介営業の営業所
五 特定遊興飲食店営業の営業所
六 第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業の営業所
七 前各号に掲げるもののほか、設備を設けて客に飲食をさせる営業の営業所(深夜において営業しているものに限る。)
3 前項の規定により警察職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
抜粋おわり
第二項で、「この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。」
とあります。
これはつまり、風営法に関係がない理由で立ち入ることはできない、ということですが、政府が
「コロナ対策として風営法を使う方針だ」
と明言して大丈夫?
と余計な心配をしてしまいます。
風営法を改正して運用するならまだしも、現行法のまま風営法の立ち入り権を活用するのなら、一切公言せずに粛々とやればいいことなのに、記者会見で公表するなんて。
条例で許容される営業時間以外で営業していれば、公安委員会は風営法違反として行政指導も違反処分も行えます。
歌舞伎町でも夜1時過ぎに社交飲食店に立ち入れば、風営法違反でそれなりのことができます。
新型コロナで騒然としているこの時期に、時間外営業という違反営業が行われているとしたら、監督官庁が立ち入り権をより頻繁に行使しようとするのは当然のこと。
しかし、国が、「感染防止策を点検する」のための手段として「立ち入り権」の活用を検討する、なんてことをわざわざ記者会見で言うものでしょうか。
これでは現場の警察職員の方々にとって、とても迷惑なことだと思うのです。
違反があれば適正に対処するだけのこと。
この論理はコロナ騒ぎの前後で変わることではないのです。
世間へのご機嫌取りを気にして、結果的には余計なことをしてしまったのではないかな。
政策の中枢でどんなふうに判断が行われているのかを想像しながらこの記事を読みましたが、この記事に書いてあることが間違いだといいですね。
https://mainichi.jp/articles/20200719/k00/00m/010/133000c
こんなニュースがありまして↑
風営法にもとづく「立ち入り」について確認してみます。
以下は風営法から抜粋です。
(報告及び立入り)
第三十七条 公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、風俗営業者、性風俗関連特殊営業を営む者、特定遊興飲食店営業者、第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者、深夜において飲食店営業(酒類提供飲食店営業を除く。)を営む者又は接客業務受託営業を営む者に対し、その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 警察職員は、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。ただし、第一号、第二号又は第四号から第七号までに掲げる営業所に設けられている個室その他これに類する施設で客が在室するものについては、この限りでない。
一 風俗営業の営業所
二 店舗型性風俗特殊営業の営業所
三 第二条第七項第一号の営業の事務所、受付所又は待機所
四 店舗型電話異性紹介営業の営業所
五 特定遊興飲食店営業の営業所
六 第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業の営業所
七 前各号に掲げるもののほか、設備を設けて客に飲食をさせる営業の営業所(深夜において営業しているものに限る。)
3 前項の規定により警察職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
抜粋おわり
第二項で、「この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。」
とあります。
これはつまり、風営法に関係がない理由で立ち入ることはできない、ということですが、政府が
「コロナ対策として風営法を使う方針だ」
と明言して大丈夫?
と余計な心配をしてしまいます。
風営法を改正して運用するならまだしも、現行法のまま風営法の立ち入り権を活用するのなら、一切公言せずに粛々とやればいいことなのに、記者会見で公表するなんて。
条例で許容される営業時間以外で営業していれば、公安委員会は風営法違反として行政指導も違反処分も行えます。
歌舞伎町でも夜1時過ぎに社交飲食店に立ち入れば、風営法違反でそれなりのことができます。
新型コロナで騒然としているこの時期に、時間外営業という違反営業が行われているとしたら、監督官庁が立ち入り権をより頻繁に行使しようとするのは当然のこと。
しかし、国が、「感染防止策を点検する」のための手段として「立ち入り権」の活用を検討する、なんてことをわざわざ記者会見で言うものでしょうか。
これでは現場の警察職員の方々にとって、とても迷惑なことだと思うのです。
違反があれば適正に対処するだけのこと。
この論理はコロナ騒ぎの前後で変わることではないのです。
世間へのご機嫌取りを気にして、結果的には余計なことをしてしまったのではないかな。
政策の中枢でどんなふうに判断が行われているのかを想像しながらこの記事を読みましたが、この記事に書いてあることが間違いだといいですね。
posted by 風営法担当 at 17:16
| 風営法一般

