2021年08月31日

許可条件付加のため弁明通知書が交付されたのですが(法務相談カルテ2015年9月号)

弁明通知書と聞くと、法令違反よって処分を受けてしまうのかと想像されがちです。確かに弁明通知書は、公安委員会が営業者に対して不利益な処分を行う際に、営業者に対して弁明の機会を与える目的で交付されるものですが、法令違反に関係が無い場合でも、「許可条件の付加」のような不利益な処分が行われる場合がありえます。
 「許可条件の付加」は風営法第三条第二項に基づいて行われる行政処分のことです。

風営法第三条第二項
 公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、前項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。

  公安委員会が風俗営業を許可するときに、その許可に特定の条件を付けることがあります。例えば、許可される営業所の照明設備に調光機能の一部が残存しており、それが照度に関する基準にただちに抵触してはいないものの、開業後に照度規制違反が懸念されるような場合には、「照度の基準に満たない照度に変えられる設備を設けないこと。」といった条件が付加されて営業が許可されることがあります。
 ホール営業においては、遊技機について「ハンドルを固定させた状態で客に遊技をさせてはならない。」といった趣旨の条件が付加されていることがあります。

 そして最近多くなっているのは「営業所を拡張してはならない。」という条件の付与です。これは、許可後に営業所所在地が建築基準法の用途規制を受けたり、営業所周辺に保護対象施設(学校・病院・児童福祉施設ほか)が開設されたりしたことによって、その営業所の所在地では新たに風俗営業を開業できくなった場合に、公安委員会が既存の営業所の拡張を阻止する目的で営業許可に条件を付加するものです。
 営業許可後に付加される条件は、公安委員会が必要と認めたときに公安委員会の判断で行われますが、店舗改装などにともなって行われる構造設備の変更の承認の直後に行われるケースがよくあります。これは構造設備の変更承認申請手続において提出される「営業所周辺の略図」によって、最新の用途規制や新たな保護対象施設の存在が公安委員会によって把握されることが多いからでしょう。
 「営業所を拡張してはらない。」という条件が付加されているにも関わらず、それを知らずに、又は無視して営業所を拡張してしまうと、許可条件違反として営業許可の取り消しや営業停止(量定C)などの行政処分を受けることとなりえます。

 営業許可に条件を付加されることは営業者にとっては不利益なことなので、許可に条件が付与されるにあたっては、その処分に対して意見陳述(弁明)するための機会が営業者に与えられますが、その際に交付される書面が弁明通知書です。営業者が弁明通知書を受領してから一定期間が経過したら、営業者は風俗営業許可証を公安委員会に提出し、風俗営業許可証の裏面に許可の条件に関する記載を追加されるか、又はすでにある記載を変更されることとなります。つまり、許可の条件の有無は風俗営業許可証の裏面を見ることで確認することができます。

 構造設備について変更承認申請が必要となるような変更を行おうとする場合には、用途規制や保護対象施設の状況をあらかじめ調査しておき、許可の条件が付与される可能性について検討しておきましょう。
もし許可に条件が付される可能性がある場合には、それによってどのようなデメリットが生じうるかといったことを含め、事前に対策を講じておくことをおすすめします。
posted by 風営法担当 at 09:09 | 法務相談カルテ

2021年08月23日

マンガで学べる風適法を読みましょう

業界誌プレイグラフさんで連載している「マンガで学べる風適法」については常々感心しております。

イラストのタッチや人物表現も親近感が湧いてくるし、内容の深さ、解説の細かさなども、私の感覚からすると絶妙なバランスが保たれています。

もう連載開始から111回になりました。
8月の内容は「風俗営業の種類」ですが、1号から5号までの風俗営業の内容やその歴史的な経緯にも及んでいるし、性風俗が届け出制であることと風俗営業が許可制であることの違いと意義など、私が重要と思っているポイントがわかりやすくまとまっています。

ありきたりな風営法の研修をやるくらいなら、この漫画を読む方がよほどよいと思います。
だったら私などは、どんな研修をしたらよいのか。。。

一つは、生徒さんの個性に合った方法です。
研修というよりは、マンツーマンの学習指導みたいなものです。

人によって理解度も、必要とされる知識も違いますからね。
不足しがちな栄養をサプリメントで補うように、知識や理解というものも、各人の特性や状況に応じて補うのが合理的です。

もちろん、マンガだけでは理解できない部分はあります。
いや正確に言えば、業界誌ではいろいろな意味で表現しにくいグレーな部分。

そういった部分も、しっかりと認識していただかないと。
そこは我々の担当範囲になりますね。

あ。その次のページの連載「法務相談カルテ」は弊社が担当しておりますよ。
posted by 風営法担当 at 12:01 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場

2021年08月02日

店長として他エリアに異動した際に注意すべきことを教えてください(法務相談カルテ2015年8月号)

 他の都道府県からの人事異動によって店長に就任した場合には、管理者の変更について公安委員会へ届出をしなければなりませんので、管理者として選任されてから10日以内に管轄の警察署へ変更届を提出してください。その際には、転入先の市区町村で交付された「住民票の写し(本籍地の記載があるもの)」と「身分証明書」、ご自分の証明写真、身分の欠格事由に該当しないことについての誓約書、前店長の管理者証等が必要となります。

 次に、赴任先の都道府県の風営法施行条例の内容を確認しましょう。都道府県によって規制内容に若干の相違がありますから、早々に目を通しておくべきです。
 次には、風俗営業許可に付された条件の有無を確認してください。風俗営業許可証の裏側を見て、もし何らかの記載があれば、それが「許可に付された条件」であるかもしれません。「許可に付された条件」があるならば、その条件に違反しないよう注意してください。許可の条件に違反してしまうと、最悪の場合は営業許可の取消しなどの重い処分を受ける恐れがあります。

 もし、「営業所を拡張してはならない。」という許可条件が存在していた場合には、その営業所の範囲がどこまでであるかを理解しておく必要がありますが、そのためには、営業所の許可当時から現在にいたるまでにどのような手続がなされてきたか、現在はどのような設備状況で公安委員会から承認を受けており、どのような経緯で条件が付されたか、といったことなども把握しておきましょう。
 それらのことは、許可申請書や構造設備の変更承認申請書に添付されている図面等で確認することができます。ついでに「客室の範囲」についても確認しておきましょう。客室の範囲に影響するような構造設備の変更が行なわれたり、客室の内部に高さ100pを越える設備が設置されたりすることによって、風営法違反となってしまう恐れがあるからです。
 営業所周辺の略図も見ておきましょう。営業所の付近に保護対象施設があったり、買取り関与の疑いを受けやすい状況であったりすれば、リスクとして把握しておく必要があります。

 次に、赴任先の営業所で過去にどのような違反処分や行政指導を受けたかを確認しましょう。もし指示処分や行政指導を受けていた場合には、その指示や指導がきちんと遵守されていることを確認し、違反行為を繰り返さないよう注意して営業を行いましょう。
 つい最近に法令違反に関して行政処分を受けていた場合には、違反行為を繰り返してしまうと営業停止など重い処分を受ける可能性が高くなりますし、営業所が特例風俗営業者としての認定を受けることができるか、又は、あとどれくらいの期間が経過したら認定を受けられるのか、といったことも確認しておくとよいでしょう。
 そして、前任者から引き継いだ情報を元に、その営業所に特有のリスクを把握し、リスク回避のために注意すべき点や、リスク発生時の対処法などを検討しましょう。
 管理者の業務についても確認しておきましょう。従業者名簿の管理や構造設備の点検等が計画的に行われ、記録が適切に整備されているかどうかを把握してください。もし問題点や不安な要素があれば前任者に確認する必要があります。また、その地域に特有の自主規制や法令違反の傾向、近隣店舗の動向などについても注意が必要です。

 最後になりますが、これらのことは、前任者が適切に業務を管理し、引き継ぎのための準備や配慮を行っているからこそ可能なことです。ご自分がこれから去ろうとする店舗においても、新任者が適切に業務を引き継ぎできるよう必要な措置を取っておくことが大切でしょう。
posted by 風営法担当 at 18:29 | 法務相談カルテ
top_banner_soudan.png ホール営業のための
風営法電話相談
banner coconara.png