2021年10月22日

「もっぱら」の意味を考えさせるニュース まんだらけ書類送検

「まんだらけ」を書類送検 禁止区域で風俗営業の疑い
https://news.yahoo.co.jp/articles/6463269f85fed20e0d133e314df24773d755747b

「まんだらけ」というのは詳しくは知りませんが、アダルト系のDVDや雑誌などを販売している店でしょうか。

それが風営法における店舗型性風俗特殊営業を禁止区域で営業した、という容疑で摘発されたそうです。

風営法2条6項の5号にあたるかな。
「店舗を設けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し、又は貸し付ける営業」

店舗型性風俗特殊営業を行うには公安委員会への届け出が義務となりますが、条例で指定された禁止区域では営業できないので、届け出しても不受理扱いとなります。

立件された店は風営法に基づく営業開始届をしないで営業していたということで、そういうアダルトショップは結構多いです。

この会社はマザーズに上場しているんですよね。なのに警視庁から何度も警告を受け、近隣住民からの苦情も出ていたとなると、経営上重大な問題がある会社だと思ってしまいましたよ。

こういった店舗は「店舗型性風俗特殊営業ではない」という前提で営業をしています。

アダルトDVDを販売していながら、なぜ風営法の規制を受けないことにできるのか。

それは「専ら(もっぱら)」という言葉がポイントです。

アダルト系商品の設置割合が「専らではない」程度であれば風営法の規制対象とならない。

これはつまり、割合の問題です。となると、最初は「ほんのちょっと」だったものが、徐々に割合が増えて、いつの間にか「専ら」になり果ててしまっている、ということはありえます。

このニュースの案件は、単純に割合の問題ではなくて、背景には取り締まりを受けてしまう(警察が摘発したくなってしまう)特殊な事情があったのだろうと、なんとなく推測してしまいます。

一方で、「もっぱら」は重要だ。という教訓ともなりそうな事例です。

最後に。

このニュース記事のタイトルの「禁止区域で風俗営業の疑い」は間違っていますね。

この営業は「風俗営業」ではなくて「店舗型性風俗特殊営業」です。
posted by 風営法担当 at 15:07 | 性風俗業界

2021年10月18日

ホール業界の問題点を再確認

パチンコ店のコロナ風評被害を、最大手マルハン社長が激白「店長全員に電話した」
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae24cca08bd3051f3f83b8acd7aad870abed0889?page=1

こんな記事が出ていたので、興味深く読みました。
ホール業界のみなさんも大変なご苦労を味わいましたが、思えばついに、ホール内でのクラスターは発生しませんでしたね。

当初は、いかにもパチンコ店が危険な場所であるかのような報道をされましたが、結果的にはそれほどのリスクはなかったということだと思います。

<結果を見てみないとわからない>ということはありますが、少なくとも、カラオケスナックとの違いは明瞭でした。

結論から考えると、飲食業に対する長期にわたる休業時短要請は、業種の範囲に関して網を広げ過ぎたのではないかと思います。

カラオケ設備と酒類提供に絞れば充分だった。
途中からそういう路線変更はできたんじゃないかな。

パチンコ店ではカラオケはないし、店内で飲酒をさせてはならないという条例の制限もありました。

また変異型なんかが出現した際に、また同じことにならなければよいですね。

ともあれ、厳しい時期をどうにか乗り切ったホール業界。
課題は山積していますが、改めてホール業界の法的問題点を思い出していただきたいです。

以下はさきほどの記事に対するコメントですが、一般の感覚を知るうえでは参考になると思います。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ae24cca08bd3051f3f83b8acd7aad870abed0889/comments
posted by 風営法担当 at 17:50 | パチンコ・ゲームセンター・遊技場

2021年10月11日

ホール業界のコンプライアンスはどうなってゆきますか?(法務相談カルテ2016年1月号)

 日本社会は完璧な法令遵守に向かって着実に変化してきました。その流れは変わらないので、今後もよりいっそう法令順守が徹底されることになりますが、ホール業界もその流れに逆らうことは出来ません。

 どこの業界でも、完璧なコンプライアンスを実現することは難しいことですが、完璧な状態に向かって常に変化しています。業界としてのコンプライアンスには波があり、その業界が置かれた環境の変化や、ちょっとしたきっかけによって、コンプライアンスの状況も劇的に変化することがあるものです。

たとえば建設業界であれば、2005年に建物の耐震強度構造計算書の偽装が発覚して、耐久性に問題のある建物の存在や、建築確認制度の形骸化等が社会問題となり、建築基準法の改正などの影響もあって建設着工戸数が減少し、倒産する企業が増加しました。

 ホール業界においても、昨年は法的に問題のある遊技機の存在や、遊技機の性能に関連する諸制度の形骸化が懸念される事態となり、業界全体で混乱が見られました。
 これらは全て、業界が「本来あるべき姿」に改善されてゆく過程で起きていることであって、改善が進めばいずれ安定に向かいますが、もし不完全な、又は形だけで意味の薄い改善で終わらせてしまえば、時間が経過するにつれて矛盾が表面化し、再び「本来あるべき姿」に近づくための混乱が生まれることになります。

 建設業界では昨年(2015年)に杭打ちデータの改ざんが発覚し、傾斜するおそれのあるマンション等の実態が懸念される事態となりました。問題を根本から改善しないで、見せ掛けだけの改善で終わらせても、「見せ掛け」のコストばかりが膨らんだ上、根本的な解決策を見出せなくなって消費者から信頼を失ってしまい、さらに大きな負担を重ねる結果となります。

 ホール業界はこれまで法令順守に向かって着実に成果を積み重ねて来ましたが、今はとても大きな課題の解決に取り組んでいるところであり、当然ながらその変化の影響を受けて、企業経営上の混乱が避けがたい状況となっていますが、これらの問題を積極的に解決してゆくことは、業界の発展のために意味があることであり、これを乗り切れば安定した営業を行える状況が待っているものと思います。

 ホール営業を規制している風営法は、ぱちんこ営業が社会にとって存在価値のある営業として存続してゆくうえで必要なルールを定めています。もし風営法が無くなれば、ぱちんこ業界は無秩序となって、社会からの期待を無視して利益を追求するだけの無価値な業界へと変貌し、やがて社会の支持と理解を失って存続できなくなります。

 ホール業界に所属している皆さんは、風営法の存在意義をよく理解しておかなければなりません。そして、法令や通達をよく確認し、規制の趣旨やその背景にある世論の動向にも配慮することが重要です。
法令には必ず、その法令が達成しようとする目的があります。業界の健全化や合理性の面で、法令が現実にそぐわない部分があれば、その目的を効率よく達成できるよう法令改正の提言を行うことも重要です。利益を追求するだけで、社会から納得を得るための工夫をしないような業界になってしまえば、ぱちんこ業界の存続は難しいと思います。

パチンコ営業は射幸心をそそる営業ですが、その「そそる」ということの程度が社会にとって適度で許容できる範囲であることが絶対に維持されなければなりません。
 そのための諸制度が形骸化し、規制が充分に守られないような状況となれば、法に基づいて処罰を受けたり、法規制が強化されたりすることによって、営業が困難になってしまうのもやむをえないことです。
そのようなことにならないよう今も努力が重ねられており、今後の変化に期待したいところですが、その結果がどうであれ、影響はホール営業の現場に及びます。

 皆さんには、今起きている様々の変化を前向きに捉えて、遅れを取らないようにしていただきたいです。
娯楽は人間にとって必要不可欠なものです。今年は、社会に本当の楽しみを与える娯楽産業となる道筋を模索する一年になってほしいと期待しています。
posted by 風営法担当 at 14:02 | 法務相談カルテ