2016年04月08日

パチンコ店は本来禁止された営業なのですか?(法務相談カルテ)

(プレイグラフ2013年10月号「法務相談カルテ」掲載)


これは行政講話などでも聞くことがある言葉ですね。「本来禁止されている」と言われると、なんだか悪いことであるかのようなイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。
 これはパチンコ店だけでなく風俗営業のような許可営業全体について言えることなのですが、法制度から見ると確かに「本来禁止されている営業」であると言えます。

 ただし、「禁止されているからコソコソおこなう営業」という意味ではなく、むしろ「前向きに正々堂々行う営業」という意味が込められていると考えていただきたいです。
 風俗営業は許可を必要とする営業ですが、許可が必要だという場合、その前提としてその行為が禁止されているはずです。禁止されていることだから「許可」を得る必要が生まれるわけです。つまり、風俗営業に「許可が必要」だということは、「本来禁止されている」ということと表裏一体の関係にあります。

 許可が必要な行為はこの世にたくさんあります。たとえば自動車の運転は本来は禁止されています。その理由は、自動車の運転を誰でも自由に行えてしまうと、きっとたくさんの自動車事故が発生して、たくさんの死傷者が出るに違いないからです。

 自動車の運転は人の生命を奪う恐れが高い「危険な行為」ではありますが、この便利な現代社会を維持するうえで、自動車の運転は非常に重要な役割を持っています。
 そこで、「安全運転」を期待できそうな人に対してのみ、公安委員会が自動車運転の許可を与える制度となっています。自動車の運転が悪いことなのではなく、自動車事故を誘発しそうな「危険な運転」が悪いことなのです。

 パチンコ店営業の場合も、誰でも自由にできるようにしてしまえば、きっと賭博営業のような不健全な営業を誘発してしまうでしょう。パチンコ店営業が悪いのではなく、不健全な営業が悪いことなのです。つまり不健全な営業を予防するためにパチンコ営業を禁止しています。禁止したうえで、健全な営業ができると期待できそうな人に限って風俗(ぱちんこ屋)営業を許可するのです。

 要するに許可を得て営業する人は、その期待に答えて健全な営業を行わなければなりません。しかし、多くのドライバーが目的地に早く着きたいと願うように、パチンコ店経営者も他店よりもお客様に喜んでもらって売上を伸ばしたいと願うでしょう。

 どんな運転が「危険」なのか、どんな営業が「不健全」なのか、ということをある程度はっきりさせておかないと、人は少しずつ「あるべき姿」、つまり「安全運転」や「健全営業」を見失ってしまうものです。
 そこで、道路交通ルールや風営法のルールを法令で定めておき、監督官庁である公安委員会が法令違反者を取り締まったり、指導したりする制度になっています。

 このように考えてみると、「本来禁止されている営業」を許可されて行っていると言うことは、社会から期待された重い責任を背負っていると言うことであり、関係法令をよく理解して健全営業を実現する努力をしなければならないということです。それは決してうしろめたいことではなく、堂々と旨を張って行えば良いことだと思います。

 しばしば、風営法のルールの運用について「基準が明確でない」といったご意見を耳にしますが、ルールの細かい解釈にこだわる前に、その営業行為が「健全であるかどうか」を考えてみてはいかがでしょうか。
 ドライバーにとって「ルールを守ること」も重要ですが、「安全に運転をすること」の方がより重要でしょう。ルールを守るために危険な運転をしてしまったら本末転倒ですし、ドライバーとしては失格となります。
 パチンコ店営業の場合も、風俗環境や少年の健全育成に配慮して営業することが第一であり、ルールや行政指導をかいくぐって不健全な営業を行うのであれば、パチンコ営業者としての本来の姿を見失っている、つまり営業者として失格であるということになります。

 ぱちんこ屋営業が「本来禁止されている」ことの意味をよくご理解いただき、社会的責任をしっかり果たして、堂々と営業していただきたいと思います。

posted by 風営法担当 at 08:00 | 法務相談カルテ