2017年11月27日

18歳未満の従業員を雇用することはできますか?(法務相談カルテ)

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(プレイグラフ2014年11月号「法務相談カルテ」掲載)

 パチンコ業界では、営業所内に18歳未満の人間を一切入れてはならないと考えている人もいるようですが、それは風営法の次の規定を誤解されているからだと思います。

風営法第22条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
五 十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(第二条第一項第八号の営業に係る営業所にあっては、午後十時(同号の営業に係る営業所に関し、都道府県の条例で、十八歳以下の条例で定める年齢に満たない者につき、午後十時前の時を定めたときは、その者についてはその時)から翌日の日出時までの時間において客として立ち入らせること。)。

 この規定では、18歳未満の者を「客として」立ち入らせることが禁止されていますが、「客として」でなければ立ち入らせてよいということでもあります。ゲームセンター(8号)の場合であれば、たとえ18歳未満の客であっても一定の時間帯であれば入店させてよいことも明記されています。
 つまり、客ではない18歳未満の人間がパチンコ店の中にいたとしても問題にはなりません。しかし風営法第22条では従業者の雇用に関する禁止行為として次の規定もあります。

四  営業所で午後十時から翌日の日出時までの時間において十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。

 つまり、風俗営業では夜10時から翌朝の日の出までの時間帯においては18歳未満の者に接客業務をさせてはならないのです。
 接客とは客に接する業務のことですから、料理人や事務員など客と接しない業務は接客にあたりません。風営法だけを見るならば、18歳未満の従業者であっても、夜10時以降に接客をさせなければ労働させてもよいということになります。
 しかし、労働基準法においては深夜の労働について次のような規定があります。

第六十一条  使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によって使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。

 つまり、労働基準法では原則として夜10時から朝5時までの時間帯は18歳未満の者に労働させることができないので、この点については風営法よりも労働基準法の方がより厳しい規制をしていることになります。交替制がこの規定の例外とされていますが、その場合には行政官庁の許可が必要となりますし、許可を受けられたとしても労働させられる時間が30分延長するだけです。

 言い換えれば、夜10時までの時間帯であれば、パチンコ店において18歳未満の従業員に労働させることが可能です。 しかし、年齢を証明する書面として従業員の住民票記載事項証明書等を事業所に備え付けなければなりませんし、児童(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者)を使用することは禁止されています。
 これら関連するポイントに配慮して従業員を管理できるのであれば、18歳未満の者を雇用することは可能だということになります。
 万一、労働基準法に違反して18歳未満の者を夜10時以降に労働させてしまうと、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処されることとなりえますし、風営法に違反して夜10時以降に接客させてしまうと、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金となります。  
これらの違反は、営業停止処分であれば量定A、つまり営業許可取り消しもありえる重大な違反となります。
もし18歳未満の者を採用するのであれば、夜10時以降に絶対に労働させることがないよう徹底した対策が必要ですので、慎重にご検討いただきたいと思います。

posted by 風営法担当 at 12:56 | 法務相談カルテ
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