2021年03月15日

行政処分の量定とは何ですか?

(月刊プレイグラフ 2015年6月号掲載)
都道府県公安委員会は、風俗営業に関して法令違反があったときのほか、風営法に基づく処分や許可条件に対する違反行為があった場合には、その風俗営業の「許可の取り消し」、「営業の停止」、「指示」といった処分を行うことできます(風営法第26条第1項)。

具体的にどのような処分を下すかは都道府県公安委員会の裁量に委ねられていますが、どのような行為に対してどの程度の重さの不利益処分を科すべきかを判断する際の基準の一つとなるものが行政処分の量定です。

警察庁では「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく営業停止命令等の基準」を策定し、その中で、許可の取り消し又は営業停止処分を行う際の基準として、処分の理由となる各種の法令違反等の行為をAからHまでの8種類の量定に分類し、量定ごとに科される処分の内容について次のように定めています。

A 取消し。
B 40日以上6月以下の営業停止命令。  基準期間は、 3月
C 20日以上6月以下の営業停止命令。  基準期間は、40日
D 10日以上80日以下の営業停止命令。 基準期間は、20日
           遊技機変更届出義務違反にあっては 1月
E 5日以上40日以下の営業停止命令。   基準期間は、14日
F 5日以上20日以下の営業停止命令。   基準期間は、 7日
G 営業停止命令を行わないもの(指示処分に限り、当該指示処分に違反した場合に当該指示処分違反を処分事由として営業停止命令を行う。)
H 5日以上80日以下の営業停止命令。 基準期間は、20日

量定の「A」は「許可取り消し」となっていますので、もっとも重い処分に相当しますが、「A」に該当する場合としては、構造設備及び遊技機の無承認変更、名義貸し違反、年少者接客従事禁止違反、営業停止命令違反、遊技機に関する承認の不正取得、一定の刑法犯、その他重大な法令違反があげられています。

量定の「B」は、広告宣伝規制違反に対する指示処分違反、遊技機規制違反、年少者の立ち入らせ、未成年者への酒類たばこの提供などがあり、「C」から「G」へと量定が移るにつれ徐々に処分内容が軽くなってゆきます。最後の「H」は、「A」から「G」に分類されていない法令違反に対するもので、風営法施行条例の違反は「H」に該当します。なお、平成27年4月1日から「現金等提供禁止違反」と「賞品買取り禁止違反」が「C」から「B」へ変更されました。

しかし、法令違反等の行為に対する全ての処分が上記の量定に従って科されるわけではありません。都道府県公安委員会は法令違反等があった場合には風俗営業者に対し「指示」という処分を行うことができるとされており(風営法第25条)、通常は最初に指示処分を行い、当該指示処分に違反した場合に許可取り消しや営業停止命令を行うこととされています。

ただし、風営法に基づく処分、又は風営法もとづいて付された許可条件に違反した場合のほか、次のような場合は指示処分を行わずに直ちに許可を取消し、又は営業停止命令を行っても差し支えないものとされています。
(1) 同種の処分事由に当たる法令違反行為であって悪質なもの(風営法に掲げる罪に当たる違法な行為及び制令で定める重大な不正行為を含む。)を短期間に繰り返し又は指導や警告を無視する等、指示処分によっては自主的に法令を遵守する見込みがないと認められる場合。
(2) 指示処分の期間中に、当該指示処分には違反していないが、当該指示処分の処分事由に係る法令違反行為と同種の法令違反行為を行った場合
(3) 罰則の適用がある法令違反行為によって検挙された場合(起訴相当として送致した場合に限る。)
(4) 短期20日以上の量定に相当する処分事由(法に基づく条例の違反に係る処分事由であって各県において短期20日以上の量定が定められているものを含む。)に当たる法令違反行為が行われた場合
(5) 上記(1)から(4)までに掲げる場合のほか、法令違反行為の態様が悪質で、善良な風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがある重大な結果が生じた場合
以上

警察庁が定めたこの基準では、これらのほかにも様々の判断基準が示されており、それらを総合的に勘案して判断することとなりますから、ここで紹介した内容だけで判断されるわけではありません。警察庁のホームページでダウンロードできますので、ぜひ一度目を通しておかれるとよいでしょう。

posted by 風営法担当 at 23:53 | 法務相談カルテ