2011年11月14日

警察署に身分証明書を提出することになったのですが、運転免許証のコピーでよいのでしょうか。

こたえ (プレイグラフ2011年8月号「法務相談カルテ」にて)

 一般的に「身分証明書」と言えば、運転免許証や健康保険証などを思い浮かべることが多いと思いますが、警察署から身分証明書の提出を求められているとすると、それはおそらく、あなたが一定の身分要件に該当していないことを証明するために市区町村が発行する「身分証明書」のことではないでしょうか。
 パチンコ店は風俗営業の許可を受けて営業していますが、法人営業の場合はその役員全員と各営業所の管理者について、法律が定める身分上の要件を満たしていなければなりませんが、このことを証明する書面として住民票のほか、「身分証明書」と「登記されていないことの証明書」を警察署(都道府県公安委員会)に提出しなければなりません。
 役員又は管理者を変更した場合には、新任の役員又は管理者について同様の証明書を提出することになります。
 「身分証明書」の文面には「禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていない。」「後見の登記の通知を受けていない。」「破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていない。」という3つの記載があるでしょう。
 この意味について説明すると、民法の話になります。
 民法では、単独で法律行為を行えない人として未成年者、成年被後見人(精神上の障害により判断能力を欠く常況にある人)、被保佐人(判断能力が著しく不十分な人)、被補助者(判断力が不十分な人)を定めています。これらを「制限行為能力者」と言い、これらの人は法律の適用において特別な保護や制限を受けていますが、風俗営業を経営する法人の役員と管理者は、制限行為能力者であってはならないこととされています。
 法務局の成年後見登録課では、成年被後見人、被保佐人、被補助人として登録されていないことの証明書の交付を受けることができます。
 これは「登記されていないことの証明書」と言われるもので、民法改正により平成12年3月31日以降に利用されるになりましたが、この民法改正以前には、制限行為能力者のことを成年被後見人や被保佐人、被補助人とは言わず、禁治産者、準禁治産者という呼び方が使われ、これらに該当しないことを証明する書面として「身分証明書」が使われてきました。
 「身分証明書」も「登記されていないことの証明書」も、その役割はほとんど同じですが、身分証明書は<民法改正前の時点で禁治産者又は準禁治産者では無い>、ということを本籍地の市区町村が証明するのに対して、登記されていないことの証明書は<民法改正後の制度において登記されていない>ことを証明します。
 身分証明書には「破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていない。」という証明も含まれていますが、これらの情報も本籍地の市区町村で管理されており、やはり取引や許可などの際に関係者の身分の要件に関係してくることが多いので、一緒に証明されているのです。
 以上のとおり、市区町村が発行する「身分証明書」は一般的な身分証明書のイメージとはかなり異なるもので、運転免許証のコピーでは代用できないのです。
 あなたの本籍地を管轄する市区町村の戸籍担当窓口で交付してもらえますが、もし本籍地が遠方のため直接出向くことができない場合には、日数はかかりますが郵便のやりとりで取得することが可能です。
 また、風営法に関係して公安委員会に提出する場合に、関係する役員又は管理者が外国籍である場合には、身分証明書の代わりに外国人登録証の裏表両面のコピーを提出します。
 併せて住民票も提出することになると思いますが、住民票を取得する際には「本籍地に記載があるもの」を窓口で請求するよう注意してください。
 詳しくは担当の行政窓口にお尋ねください。

T.Hirai
posted by 風営法担当 at 00:00 | 法務相談カルテ