2011年11月23日

まるで獣を罠にかけるようなものだ

最近、コンプライアンスのあり方について考える時間が長くなりました。
コンプライアンスのセミナーなどを担当するようになって、いつしか10年が過ぎました。
私のセミナーは実務家のためでなく、普通の人のためのセミナーなので、内部統制とか会社法とかの話ではなくて、「そもそも完璧な法令遵守は無理ですよ」という話からスタートします。

つまり、だからといって、「法を守らなくて良い」という意味ではないのです。
「法の奴隷にならないでください。」と言いたいのです。
「だってここに書いてあるだろ」とかいう理由で他人に強制しない方がよいですよ。
法の趣旨を考えて柔軟に解釈しましょう。あなたにもできますよ。
おおよそ、そういうことを言いたいのです。

鎌倉時代の執権に北条泰時という人がいて、武士の所領問題などを解決するための基準として「貞永式目(御成敗式目)」を定めました。
奈良時代に作られた律令(いわゆる法令)が当時の基準なのですが、武士社会の実情に当てはめにくい部分が多く、条文の意味もわかりにくいので、貴族にばかり有利に取り扱われ、武士にとってはありがたくないのが当時の律令の姿だったようです。
その打開策として制定された貞永式目の目的について、北条泰時は次のようなことを言ったそうです。

「田舎では律令の法に通じている者など万人に一人もいないのが実情である。それなのに律令の規定を適用して処罰するのは、まるで獣を罠にかけるようなものだ。」

今のどこかの業界にも通じるような気もします。
確かに、法令は複雑だし、監督官庁の役人やその分野の専門家でなければ意味がわからない法令はよくあります。
「これはムダだな」と思う規制や手続もあります。
もう少し、読む側の立場になって作ったらよいのにとも思います。

しかし。
だからといって、法令がわからなくてよいという時代ではありません。
行政だって、たしかに読みにくいところはあるけれど何度も通達を出しているし、事前に指導もしています。
学校では法律をほとんど教えていませんし、ちょっと法律を読んでみてもまぶたが重くなるでしょう。でも、理解しようと努力して理解できないものだとも思えません。

「まるで獣を罠にかけるようなものだ。」
たしかに、市民をひっかけるために法令をねじまげて解釈したり、一方的で不当な解釈で運用されていることもあります。おかしな法律もあるでしょう。
なるほど、ワナにかかった獣のような状態に陥っている人も、たまに見かけます。

しかし、律令の時代ほどには、現代の法律はわかりにくくはないでしょう。
さすがに現代ですから。
法律に文句を言いたい気持ちもわかりますけれど、全般的な傾向として、もう少し努力してから言っていただきたいなあと、結局最後はそんな話になってしまいました。
「難しいことをわかりやすく」が私のモットーなので、もっとー活用していただきたいです。

それと。
確かに風営法にはオカシな点があると思います。
もう少しスリムにならないと、運用の厳格化が進行しているなか、行政側も業界側も、負担がムダに大きくなっていく傾向を感じます。
いずれ、そういったことも話題になってくるのかもしれません。
posted by 風営法担当 at 19:49 | コンプライアンス総合