2011年12月06日

企業コンプライアンスは、レースをしながら交通ルールを守るようなもの

「横浜DeNAベイスターズ」が誕生したそうですが、そのニュースの一部に、「風営法に抵触する広告がモバゲーに掲載されているのではないか。」との疑問が寄せられていたという部分を見つけました。日経新聞です。
モバゲーに掲載された広告が風営法に違反するケースとはどのようなものだろうか。。。。
私はそういったゲームに興味がないのでよくわかりませんが、無届性風俗店の宣伝など、するとも思えませんし。

DeNAとGREEが業界シェアを巡って鎬(しのぎ)を削っているそうですが、ゲームコンテンツのパクリが問題となって著作権法違反などの法的紛争が生じつつあるように見えます。
著作権法の理論を当てはめるだけで不当なパクリ行為を制限できるわけではないので、不正競争防止法や特許法、独占禁止法など様々な角度から検討されているのだと思いますが、一方では企業のコンプライアンスのあり方が一つのテーマになっています。

法的に責任追及できないパクリとか、法に触れない様々な手口が、広い意味での企業コンプライアンスや企業倫理に触れていないか、というテーマです。
こういったことは「企業イメージの低下」という過程を経由して企業に様々な悪影響を与えるのではないかと想像できますが、現実にはそうでもないかもしれず、これは難しい問題です。

企業コンプライアンスを自動車の運転に例えると、レースをしながら道路交通法を守っている状態です。
競争に勝たなければならないが、交通ルールも守らなければなりません。
そうなると、企業経営者は速度制限ギリギリを追求するし、場合によっては完全に速度制限違反となってしまうこともあるでしょう。
信号無視も、完全な無視ではないにしろ、とてもギリギリで、違反かどうか判断しがたい違反行為を行ってしまいがちです。
むしろ、そういった交通法規ギリギリの運転をした方がトクではないか。と考える企業の方が、とりあえず競争としては優位に立てるわけです。業界全体がそういったムードになることは珍しくありません。
そしてイザ、警察の取締りを受けると、こう言います。
「他の車だってやってるじゃないか。」

ここから先は企業倫理の問題です。
企業側は、「ウチはレースをしてるんだ。少々の違反やギリギリの運転も仕方がないじゃないか。他でもやってるんだし。」
と思っています。
ではそれを世間に堂々と言えますか?
言えないから難しいのです。
企業として、「ウチは交通ルールを守っています。」と、当然ながら言うしかありません。
しかし、「どのように守っているか。」という点では、あまりほめられた運転ではない、ということになってしまう有名企業はたくさんあります。

そういった企業の評価は、現実には行政や司法の判断よりも、世間がどう見るかという点がカギを握っているケースが多くあります。
但し、世間の評価というものは、その都度はっきり出るものではないし、ずうっと後になって「実はアイツ気に入らなかったんだよね。」ということもありえます。
ちょっとしたキッカケでつまづいたときに、ワッと襲いかかってくることもあります。
そういう意味では、世間の印象というものは、法令よりも恐ろしい存在です。
私だって、気にくわない企業というのは、いくつもあげられます。
それは私が一市民の立場で「許せん!」と思う体験をしたからです。
万一、私がそういった企業にダメージを与えるチャンスがあったら、作為にしろ不作為にしろ「やってやろう」と思うかも知れません。私も人間ですから。
そういった人間心理の蓄積が様々の影響を及ぼすのだ、という考えを持たずに企業コンプライアンスを語ることは、ほとんど無意味です。
法令だって、運用するのは人間なのです。

自動車を運転していれば、運転マナーが悪いヤツ、というのはよく見かけますよね。
そういう光景を見た人が思い浮かべることは、「アイツ、○○してしまえばいいのに。。。」
ということでしょうし、もしそういったマナーの悪いドライバーが警官からキップを切られていたり、勝手に事故を起こして困っている様子を見たとしたら、「ざまあ見ろ」と思ったりもするでしょう。
そういう悪質ドライバーと同乗していた人たちも、「悪い仲間達」と思われるでしょう。

そういった一切のことを全て受け入れる覚悟のうえで、企業は日々コンプライアンスを形作っているはずです。
当然ながら、寿命の長い企業は、過去のたくさんのトラブルや反省の経験を持っているので、運転に対しては慎重です。
年代の若いドライバーほど乱暴な運転をするのは自然なことですが、いくつか後悔し反省して一人前のドライバーになります。
でも、それは「生き残ったドライバー」に限ったことであって、一人前になる前に、刑務所に入ったり、自分自身の生命を失う人もたくさんいるのです。企業も同様です。やはり、ソーシャルゲーム業界はまだ「若い」のであって、これからどうなるかは各企業の資質次第です。

消費者も世間も、こういった意味で冷静かつ容赦なく企業を評価するべきだし、その評価の持ち方次第で、どのような社会にもなりえます。
DeNAとGREEの対決は、日本社会が企業をどのように評価していくのかという点で興味深いテーマです。
私個人としては若い世代に対して「携帯などでゲームなどしている余裕があるなら、活字を持っと読めばいいのに。」と密かに思っているし、ゲームに没頭している若い世代を見ると、少々不安になります。
つまり、ソーシャルゲームを普及させようとしている企業を祝福する気分ではありません。
プロ野球業界の一部には、ソーシャルゲーム企業の参入に否定的な意見があるようですが、その真意はともあれ、そのような意見があることに対して多少の安心を覚えます。
別にソーシャルゲーム業界に限ったことでなく、パチンコ業界やその他の娯楽産業でも言えることですけれど。。。



posted by 風営法担当 at 11:53 | コンプライアンス総合