2012年01月06日

ダンス規制の行方について思う

新年明けましておめでとうございます。<(_ _)>
さて。

<貸しスペース>大阪・南港の年越しイベント中止 府警警告
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111226-00000038-mai-soci

年末にこんな(↑)ニュースがありまして、少々気になりました。
一時的に会場を貸している場合に、一回限りのダンスイベントなどを開催したときには風俗営業許可が必要だ。といったような話です。
これについてニュースでは、

「繁華街で未明まで営業する一部のクラブなどが騒音や犯罪の温床になっているとして、取り締まり対象になっているが、貸しスペースは音楽や飲食の設備が常設でなく、“グレーゾーン”だった。」
とあります。

「常設ではないからグレー」という発想にも一理ありますが、夜祭の射的なども短期間ではありますが7号許可を取得している事例もありますし、キャバクラのオープン初日に摘発を受けることもあるわけです。
なにより「一時的ならOK」とか「レンタルスペースならOK」という解釈を認めてしまうと、毎度のことながら「ウチは一時的だ。レンタルだ。」という偽装が流行りだす事も予想されます。

結局のところ、「実情として取締りの必要があるから」ということなのでしょう。
風営法を読む限り、この点に関する例外規定はありませんから。
とは言え、一時的な利用についても許可を取れということならば、2月近く前から許可申請をして、しかもその間に行政の検査を受けなければなりません。
検査の際には営業時の設備状況を実現していなければなりません。
こんなことはレンタルスペースでは無理でしょう。
つまり、レンタルスペースではダンスをさせるな、ということにもなりましょう。

なお、ニュースでは3号営業(ナイトクラブ等)に該当するとして取り上げていました。
3号は「ダンスをさせる」+「飲食」の組み合わせですが、4号(ダンスホール等)という種別もあって、こちらの方は「ダンスをさせる」だけで風俗営業に該当します。
つまり、設備を設けて客にダンスをさせる営業は風俗営業だということで、営業許可が必要となります。なお、「設備」というのは「実際にダンスができるスペース」という解釈で運用されていると思います。

ならばダンス教室はどうなんだ?
という話にもなりえますが、ダンス教室は政令で定める一定の能力を有する先生が教える場合に風俗営業から除外されます。
つまり、資格者がいないダンス教室は全て風俗営業だという理論があるわけです。
世間一般の印象に比べて、ダンスをさせる営業の規制は厳しいのだと言えそうです。

さて、そういうニュースがある一方で、こういう話もあります。

「武道・ダンス」授業の必修化に向けた取組について(東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/04/20l4s600.htm

「平成20年3月の中学校学習指導要領改訂により、中学校保健体育においては、平成24年度から、第3学年になるまでに全ての中学生が武道及びダンスを学習することになりました。」

つまり、中学校の義務教育でダンスをさせるわけです。
私は風営法の成り立ちからして、風俗営業の規制が及ぶダンスというのは「社交ダンス」のような男女がペアになって一定の形式で踊る行為に限定した方がよいのではないかと思っていたのですが、現実の運用はそうではなくて、客が単独で踊っていても摘発されています。
では、中学校で義務化されているダンスと風営法の規制が及ぶダンスに区別をつけるのか。

ダンスに区別をつけられないならば、たとえば学習塾が塾生にダンスを教える際には、一定の資格者を置かなければなりません。
その資格者というのは、政令を見てみると、どうも社交ダンスなど特定のダンスに限定されているように見受けられるのですが、この点はいかがでしょう。私はダンス教室の実情を深く調べておりませんのであしからず。

では、もしダンスに区別をつけるのならば、いったいどうやって? と思います。
なお、風営法関係法令及び解釈運用基準では、これについてほとんど触れていませんが、一説には、「社交」の比重の高いダンスを対象にしている、とあり、これには「社交ダンス」「ディスコダンス」があるが、その態様によってはいろいろありうる、とされていて、ゴーゴーダンスやタップダンスも風営法の規制が及ぶダンスに含まれ得るとあります。(注解風営法)

以上は全て行政方面からの解釈であり、概観すると、「社交」という要素に軸を置いているように見えて、実はそうとも言い切れないというような、あやふやな状況になっているのです。
これでは、警察からみて「あやしい」と思われれば違反だし、怪しくなければ違反ではない、という状況になってしまうでしょう。

昔、といっても鹿鳴館が合った頃のようなはるか昔ですが、男女が手をつないで踊ることは「アダルト」なことだと思われていました。
子どもに見せられないから、目隠しした営業所に押し込んでしまおうと、元々はそういう発想なのです。
そういう背景の中でダンス規制が生まれているのですが、現代におけるダンスは義務教育なので子どもがやります。
つまり、まったくアダルトではないダンスがあるわけです。

じゃあ、社交ダンスがアダルトかと言えば、人によっては怒るでしょう。
「社交ダンスは健全なスポーツだ」と、そういう時代なわけですし、私の母親もやっていますが70歳です。だったら、アダルトなダンスって、いったい何なのでしょう。
男女の区別無くグループで手をつないで踊るダンスも義務教育に含まれています。
むしろグループでやります。学校ですから。
結局、不健全なダンスと健全なダンスの線引きは非常に難しいと言うことです。

このようにダンスが多用化ししつつスポーツとして社会に定着している様子を見ると、風営法は果たしてこのままで大丈夫なんだろうかと少々不安に思います。
ダンスについて、警察の解釈次第で違法となったり合法となったりしうる現状があるということについてです。
教育周辺の方々にとって、少々居心地の悪い話だと思うのです。
風営法で規制されているようなことを義務教育で必修にしていて平気なのかどうか。
法的な側面だけを考えると、麻雀やパチンコ遊技を必修科目にしているのと同じような状態なのです。もちろん、これは教育制度の問題ではなく、風営法の制度上の問題です。
風俗規制においてダンスをひとつの要素とするのであれば、不健全なダンスとの線引きの基準がもっと明確であるべきでないかと思うところです。
しかし、線引きの難しさを考えると、ダンスを要素とする規制がある限り、多くの市民が法的なグレーゾーンにはまり込んでしまうことになるのではないかと思います。


◎風営法施行令

(法第二条第一項第四号の政令で定めるダンスの教授に関する講習)
第一条  風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 (以下「法」という。)第二条第一項第四号 の政令で定めるダンスの教授に関する講習は、社団法人全日本ダンス協会連合会(昭和六十年五月三十日に社団法人全日本ダンス協会連合会という名称で設立された法人をいう。次条において同じ。)又は財団法人日本ボールルームダンス連盟(平成四年三月二十四日に財団法人日本ボールルームダンス連盟という名称で設立された法人をいう。次条において同じ。)がダンスの教授に関する技能及び知識に関して行う講習であつて、ダンスを有償で教授する能力を有する者を養成することができるものとして国家公安委員会が指定するものとする。

(法第二条第一項第四号 の政令で定める者)
第一条の二  法第二条第一項第四号 の政令で定める者は、社団法人全日本ダンス協会連合会又は財団法人日本ボールルームダンス連盟が前条に規定する講習の課程を修了した者と同等の能力を有する者として国家公安委員会規則で定めるところにより国家公安委員会に推薦した者とする。
posted by 風営法担当 at 11:09 | 風営法一般