2012年06月20日

ダンス規制撤廃について思う 〜 ダンス規制は完全撤廃が妥当?

http://www.cinra.net/news/2012/06/14/122821.php

最近、風営法関係の話題が増えているように感じます。
たとえばダンス規制に関する話。
風営法の規制対象からダンスを外してほしいと言う請願活動が行われていると言うニュースがありました。

ダンス規制については私もこのブログ上で時折触れてきました。
ダンス規制という面で風営法を見ると、確かに「果たしてこのままで良いのかな。」と思う点がありました。

ダンスを楽しんでいる方々がダンス規制を無くすべきだと考えるのは、ごく自然なことでありますし、このように多くの皆さんが風営法について関心を持ち、議論することは社会にとって、とても良いことだと思います。

私がこれまで見てきた風営法というのは、「普通の人は知らないでいい法律」というイメージでした。
「日が当たらない法律」という言葉を、コンプライアンスのセミナーでも使ってきました。
そう、法律には日陰(ひかげ)と日向(ひなた)があります。
社会が無視すれば、法律は誰か特定の人たちにとって都合のよい運用をされてしまうものです。

とは言いつつも、風俗営業の枠からダンス営業を無くしてしまうべきかと問われると、現時点では「う〜ん。」と考え込んでしまいます。
風俗営業は、「この世から無くなってほしい営業」ではなくて、「必要だけど注意してやってほしい営業」なのですね。

風俗営業として規制を受けるということは、「ダンス営業をするな」ということでなく、「ダンス営業をするなら許可を取ってルールを守りながらやってください。」という意味になります。
自動車の運転も同様です。
「自動車は社会にとって必要だけど、危険だから、運転するなら免許を取りルールを守って運転してね。」
という制度です。

ダンス営業を免許制から無免許制に変えてしまったらどうなるのか。
ダンス営業をしているお店の多くは飲食店です。
飲食店では深夜に遊興させることが風営法で規制されています。
遊興と言うのは、簡単に言うと「大勢で騒ぐような遊び方」とでも言いましょうか。

音楽を演奏することも「遊興」に当たるので、たとえ風俗営業でなくとも、飲食店であれば深夜のダンス営業は相変わらず禁止です。
法改正で深夜に営業できるようにするなら、「ダンス営業だけは深夜に騒いでいてもOK」という了解を社会から得ておく必要があるでしょうが、それは容易ではないでしょう。

しかし、「風俗営業者特有の規制」を受けないで済むとなれば、客室面積やダンスフロアの面積制限がなくなり、年少者の立ち入り規制も緩和されますし、店内の構造設備基準も一部緩和されます。
管理者講習はなくなるし、従業者名簿の管理も一部不要になり、風営法関係の手続も基本的に不要です。
場所の要件や営業者の身分要件も無くなり、警察の立ち入りも今よりは難しくなるでしょう。
事業者にとっての実益としてはそのくらいでしょうか。。。?

ただ私の想像では、場所の要件や経営者の人的要件は重要だと思いますし、従業者名簿の管理や一部の構造設備基準、年少者の立ち入らせなどの一定の義務付けは必要だと思います。
確かにダンスは今や「不健全」から「健全」なるものへ、イメージも実態も変わってきたと思います。
でも、小学校の隣のクラブハウスで小学生が夜10時頃に踊っている状況を私は想像できませんし、その営業所を暴力団や児童買春の常習者などが経営できるといったことを社会的に容認できるものかどうか。
従業者の年齢制限や在留資格の確認なども、青少年の健全育成や治安対策の必要性から察すると不要とは言いにくいところです。

「ダンス規制を一切なくせ」「風俗営業から外せ」という路線だけで本当によいのかどうかが悩ましいのです。
風営法の中で実情にそぐわない点を修正しつつ、ある程度は風俗営業の枠組みの中で規制を受け入れてゆくという方向性の方が現実的ではないかと思うのです。
「規制の現状維持か、撤廃か。」ではなく、「適度な規制」を模索することが重要ではないでしょうか。

風俗営業の1号、3号、4号を見直す時期には来ていると思いますが、完全撤廃された場合の悪影響については検討されているのでしょうか。
後で、「やっぱり規制しておくべきだった。」と世間に思わせてしまうような事件や現象が多発したりしたら、それこそダンス営業の未来に悪影響を及ぼすかもしれません。
それと、もうひとつ。

風俗営業という言葉のイメージが非常に良くないような気がしますが、そんなに風俗営業であることがいけないことなのか、ということも、考えてもらえたらと思います。
風俗営業は融資を受けられないという話をよく聞きます。
「じゃあ、ビジネスホテルが実態としてラブホテルだったらどうなんですか?」
「融資を受けれます。」

こういう具合で、「風俗営業」という言葉が「フーゾク」などのわいせつなイメージとゴチャマゼで受け取られていたり、風俗営業だからという理由で実態も見極めずに差別されてしまうという現象もあり、ある種の偏見や無理解が風俗営業を不当におとしめているような気もします。

風俗営業の許可があるということは、公安委員会、つまり警察のお墨付きがあるということです。
住基カードや運転免許証より、風俗営業の許可証や管理者証の方が、よほど信頼を高めるアイテムだと私は思います。
公安委員会(警察)が過去5年間の犯罪歴や身分要件(暴力団との関係や薬物中毒なども含め)を調査した結果として交付されるものが風俗営業許可証や管理者証なのですから。

このテーマはデリケートな分野なので、あまりブログで触れたくはないですし、そもそも性風俗がどうなのかということも難しい問題ですが、この業界で必死に働いている人たちの姿を日頃見ている私としては、世間の反応について、時に悲しくなることがあります。

風俗営業であることが、そんなにイヤなことなのか。
それは要するに、風俗営業に対するある種の「感覚」の裏返しだったりしないでしょうか。
風俗規制をよくご理解いただくということは、風俗営業がなんたるかということもご理解いただくということであって、風俗営業に対する不当な偏見を払拭していただくことも、私にとっては無視できないことです。

無意味な規制はなくした方がよいです。
でも規制が必要な部分があれば必要に応じて規制をするべきです。
この点は、はずせない部分だと思うのです。


posted by 風営法担当 at 21:26 | 風営法一般