2012年10月28日

風営法規則改正案とダンス教室の行方

以前、風俗営業におけるダンス規制の在り方について述べたことがありました。
ダンスが中学校で必修化されましたが、風営法との兼ね合いで様々な矛盾があるのではないかということです。

風俗営業の4号は「ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業」という定義であり、ダンスを教える教室もこれに該当します。

しかし、「客にダンスを教授する場合にのみ客にダンスをさせる営業」については、そのダンス教授者が一定の条件にあてはまる者である場合には、そのダンス教室は風俗営業の「例外」、つまり<風俗営業ではない>ということになっています。

この例外規定にあてはまるための一定の条件とは、<指定講習機関から推薦を受けた者がダンスを教授している>ということです。
その推薦は、<国家公安委員会が指定した試験に合格した者>を記載した名簿を提出する方法で行われます。

現在、国家公安委員会から指定を受けた講習の課程を修了し、かつ、指定を受けた試験に合格した者が、特定講習団体(現在「全日本ダンス協会連合会」と「日本ボールルームダンス連盟」の2団体のみ)から推薦を受けて初めて、風俗営業に該当しないダンス教室を経営することが可能となっています。

言い換えれば、現行の風営法の中では、<指定講習機関が実施する試験に合格した者(又はこれと同等とみなされた者)がダンスを教授しているダンス教室>だけが例外規定にあてはまるのであって、それ以外のダンス教室、それは社交ダンスに限らず、リトミックだろうとバレエだろうと、サルサだろうと、日本舞踊だろうと、ダンス、踊りとされるあらゆる種類の踊りを客に行わせる営業が全て風俗営業だという解釈になろうかと思います。

現在では社交ダンスに限らず、クラブハウスなど社交ダンス以外のダンス関連営業についても取締りが行われていますが、風営法によるダンス規制は社交ダンスの規制を想定して始まったわけです。
そのため現行の風営法において、前述の例外の適用を受けられるのは、様々なダンスのうち社交ダンスに限定されています。

客にダンスをさせる営業は全て風俗4号営業に該当するとしながら、様々な種類のダンスの中から社交ダンスの教室だけ(条件付とは言え)が例外とされているのであれば、
「風俗営業規制におけるダンスとは、すなわち社交ダンスのことである。」
ということを裏付けているようなものでもあり、もし社交ダンス以外のダンスについても同様の規制を課すのであれば、社交ダンス以外のダンスに対して不公平ということにもなります。

そこで今回の規則改正案においては、現在指定を受けている2団体の講習以外についても誰でも指定を受けられるようにすることが主眼となっています。
裏をかえせば、指定された講習や試験を修了した人と同等とみなされない人が教えているダンス教室は、風俗営業許可がない限り全て違法ということでもあります。

これは今回の規則改正以前からすでにそうだったわけですが、私個人の見解としては、バレエだの日本舞踊だの、ヒップホップだのといったものまでが規制対象だったと解釈することには抵抗感があります。
当初の趣旨としては社交ダンスを規制の対象として想定していたわけですから、風営法の規制を受けるダンスの種類について「男女が体を密着して踊る」「深夜に踊る」といった限定をするのではないかと想像していました。ありていに言えば、クラブハウスに的をしぼった規制のかけ方になるとの予測でした。

しかし今回の改正案では、ダンス教室を含めた全てのダンス営業が原則として風営法の規制を受けているという解釈を前提としているのであって、規則改正後には、この解釈を元に社交ダンス以外のダンス教室に対しても無許可営業の取締りが行われることが予想されます。
取締りが行われないのであれば、わざわざ指定を受けた機関が馬鹿を見ることになり、制度の信頼を損なうこととなるからです。

極端ではありますが、幼児が通うバレエ教室も規制対象となりうるのであれば、これはかなりの混乱が予想されます。
すでにクラブ事業者等による風営法改正運動が活発になっていますが、規制緩和でなく規制強化の方向での規則改正ですから、今後さらに議論を呼びそうな予感がします。

経済活性化のために規制を緩和するという路線が盛り返しそうな雰囲気だったところでのこのような改正案です。
今後注目したいと思います。

改正に関するパブリックコメントの募集はすでに打ち切られていますが、改正案についてはこちからご覧になれます。


http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=120120009&OBJCD=&GROUP=

posted by 風営法担当 at 19:43 | 飲食店業界