2012年11月15日

保全対象施設とは何ですか?

こたえ (プレイグラフ2012年3月号「法務相談カルテ」にて)

 保全対象施設とは、風俗営業から有害な影響を受けないよう風営法によって一定の保護を受ける施設のことです。
 風俗営業者が風俗営業許可を受ける際には、その営業所の敷地が許可を受けられる場所であるかどうかについて公安委員会によって審査されます。営業許可を受けられない場所を営業制限地域と言います。
 風俗営業を開業する際には、その準備として営業制限地域について調査することがとても重要です。
 営業制限地域は風営法に基づいて各都道府県が条例で定めていますが、その制限の方法には、用途地域による制限と、一定の施設からの距離による制限があります。
 多くの場合、住居地域や住居専用地域など、風俗営業を行うことがふさわしくない用途地域では風俗営業を行うことができません。用途地域については市区町村の都市計画課などに電話で問い合わせて確認することができますし、行政機関のホームページ上で閲覧できる場合もあります。
 一方で、条例が定める特定の施設から一定の距離内の地域ついても営業制限地域となります。このような、一定の距離内での風俗営業を制限する根拠となる施設が「保全対象施設」です。
 保全対象施設となる施設は都道府県ごとに異なっており、その種類も様々です。学校、図書館、病院、診療所、児童福祉施設などが一般的ですが、都道府県によっては特別養護老人ホームや博物館が保護対象となっている場合もあります。
 保全対象施設からの距離制限も、100メートル以下の範囲で都道府県ごとに異なっており、商業地域における営業制限の距離制限は比較的小さく、それ以外の用途地域では比較的長く、つまり広く制限を受けています。
 保全対象施設の中で風俗営業許可の支障となるケースが特に多いのは、診療所と保育所です。
 保全対象施設となる診療所は患者を収容する施設(いわゆるベッドのこと)がある診療所に限られますが、それでも設置件数はかなりの数となります。診療所には患者を収容する施設がある場合と無い場合がありますが、患者収容施設があったとしても19人以下の規模であり、それよりも大きな施設は病院と呼ばれます。診療所の認可の有無や患者収容施設の状況を知りたい場合には、管轄の保健所等に問い合わせるとよいでしょう。
 保育所は児童福祉施設の一種として保護対象施設となりますが、待機児童の問題等もあって最近は増加の傾向にありますから注意が必要です。保育所には認可のあるものと無いものがありますが、これも担当の行政庁に問い合わせるなどして確認することができます。
 また最近は大学のサテライト教室や通信制高校の付属施設などが、駅から近い場所に新設されるケースがありますが、これらも学校の一種として保護対象施設となることがあります。
 さらに注意が必要な点は、保全対象施設は現在存在している施設だけでなく、将来保全対象施設の敷地として利用されることが決定した土地も含むこととなっていることです。つまり、今現在は存在していなくとも、将来そこに保全対象施設が設置される計画があるだけでも保全対象施設としての扱いを受けてしまう場合があるということです。(詳しくは風営法施行令第6条第2項を参照。)
 保全対象施設であるかどうか判断に悩むケースは近年増えてきており、これを事前に発見することも難しくなってきています。
 営業制限地域の問題は、風俗営業許可を取得するときだけでなく、営業所の拡張の際にも関係する問題ですから、営業所の近隣の営業制限地域がどのようになっているか、どこに保全対象施設があるか、ということは、日頃からある程度把握しておくとよいでしょう。
posted by 風営法担当 at 15:10 | 法務相談カルテ