2013年02月05日

役員変更の登記をしたら裁判所から過料の通知が来たのですが

こたえ (プレイグラフ2012年4月号「法務相談カルテ」にて)

 会社などの法人において登記を行う必要のある一定の事実が発生した場合には、法人の代表者は必要に応じてその事実について登記を行う義務があります。
 
 登記とは法人の戸籍のようなもので、その法人の本店所在地を管轄する法務局で一定の情報が登録されています。
 人間の戸籍の場合と同様に、商号(会社の名称)、本店所在地(本籍みたいなもの)、設立年月日(法人の生年月日)などの基本情報が管理されているほか、会社の目的や株式に関すること、役員の就任日や退任日、住所氏名等も登録されており、これらの情報は誰でも閲覧することができます。

 つまり登記された情報は世間に公表されており、これを確認することで、その法人がどのような法人なのか、ということを知ることができますから、古い情報をそのままにしておいたり、嘘の情報を登記したりすることはできません。
 よって、登記されている情報が古くなった場合には、速やかに変更登記などを行って正しい情報を登録させる必要があります。
 
 ご質問では、役員変更の登記をされたとのお話ですが、役員の就任または退任、再選任、住所氏名の変更など、役員に関する一定の事実が発生した場合は、本店の所在地においては2週間以内、支店の所在地においては3週間以内に、管轄の法務局に対して変更登記の申請をしなければなりません。

 この期間内に登記申請を行わなかった法人の代表者に対しては、100万円以下の過料の制裁が予定されています。
 過料というのは、法律に違反したときに科される制裁の一種です。
 過料は一定額の金銭を徴収する制裁で、会社法という法律に定められています。登記すべき期間に間に合わなかった場合の全てが過料の対象となるわけではなく、処分の基準があるわけでもありませんが、登記を怠っていた期間が長くなるほど、過料を受ける可能性が高くなり、また過料の額も高くなる傾向があります。

 法律上は100万円が最高額ですが、実際には数万円程度の金額となる場合がほとんどです。
 過料は、登記申請が登記期間に間に合わなかった法人があることを知った登記官から、裁判所にその事実が通知され、裁判所の判断で過料の額を決定し、裁判所から当該法人の代表者個人に対し通知されます。
 この通知は登記の申請後数ヶ月が経過する頃に届くことが多いようです。

 裁判所から通知書が届いたときは、通知書に記載されている過料の金額を会社の代表者個人が納付しなければいけません。法人ではなく代表者個人が負担すべきものですので、法人の経費として支出することはできません。

 過料のことを罰金と誤解されることが多いですが、過料は刑事罰ではなく行政罰ですので、代表者に前科はつきません。
 また、刑事罰には主なものとして、死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料などがありますが、ここで言う刑事罰の一種である「科料」と、「過料」は別のものです。読み方が同じなので、こちらも誤解されやすいです。

 科料は1000円以上1万円未満の金銭を徴収される刑事罰であり、いわゆる前科として扱われる制裁ですが、過料は刑事罰ではなく行政罰ですので、過料の制裁を受けても前科は残りませんし、一般的に刑事裁判のような手続もありません。

 刑罰を科されたわけではないので、過料の決定についてひどく心配する必要はありませんが、通知の内容や理由に不服がある場合は、その通知を受けてから1週間以内に即時抗告という裁判手続を行うことができ、一時的に執行を停止させることができます。もし過料を支払わないでいると、検察官によって差し押さえなどの強制執行を受ける恐れがあります。

 役員には法律上の任期に制限がありますので、一定期間中に必ず登記を行う必要がありますが、任期が切れていることに気がつかないで変更登記を忘れてしまうことがしばしばあります。特に役員の任期が長い場合には油断しやすいので注意していただきたいです。


のぞみ総研 総合法務担当 今村
posted by 風営法担当 at 00:00 | 法務相談カルテ