2013年05月10日

法律と規則はどう違うのでしょうか?

こたえ (プレイグラフ2012年8月号「法務相談カルテ」にて)


「営業の基本となる法律や通達をきちんと確認しない慣習」を改善せよという行政からの声も聞こえてきていますから、法令や通達という存在がどういったものであるかを理解し、規制の根拠をご自身で確認することはとても重要だと思います。

 まず皆さんは、法令や通達を作ったり修正したりできるのは誰であるか、ということをご存知でしょうか。

 風営法と言えば法律ですから、国会での議決を経て作られたルールです。国会が作ったルールなので、このルールを変更することができるのは国会だけです。
 しかし、風営法はその内容の詳細について行政庁に判断を委ねている部分があります。

 細かいことまで全て国会で議決することにしてしまうと、時間がかかりすぎるため社会情勢に対応した柔軟なルールの見直しができなくなるからです。

 法律の委任を受けて定められる場合としては、政令や府令(省令)、規則といったものがあります。政令は内閣が定めるもので、風営法関連の政令としては「風営法施行令」があります。府令は内閣府が定めるもので、「風営法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令」があります。規則は一般的に国家公安委員会などの行政委員会が定めるもので、「風営法施行規則」があります(いずれも正式名称が長文のため略記しています。)。

 たとえば、賞品の等価交換に関する規定は風営法には書いてありません。風営法第19条の「遊技料金等の規制」という条項の中で、「風俗営業者は、国家公安委員会規則で定める・・・賞品の提供方法・・・に関する基準に従い、その営業を営まなければならない。(一部抜粋省略)」とあります。
 賞品の提供方法の基準については国家公安委員会が定めた規則の方を見てください、ということなのです。

 国家公安委員会は内閣総理大臣から国務大臣として任命された国家公安委員長を中心として構成され、全国的な警察制度を管理運営する委員会です。その国家公安委員会が風営法によって任されて作った規則をまとめたものが「風営法施行規則」です。

 その第35条第2項で、賞品の等価交換に関する定めがあります。

法第十九条 の国家公安委員会規則で定める賞品の提供方法に関する基準は、次のとおりとする。
一  次に掲げる営業の種類に応じ、それぞれ次に定める物品を賞品として提供すること。
イ ぱちんこ屋及び令第七条 に規定する営業で遊技球等の数量により遊技の結果を表示する遊技機を設置して客に遊技をさせるもの
 当該遊技の結果として表示された遊技球等の数量に対応する金額と等価の物品

 このように、賞品の等価交換に関する規定は風営法ではなく風営法施行規則に定められています。この規則は国家公安委員会が作った規則なので、国家公安委員会が改正することができます。その国家公安委員会の事務を執り行い補佐するのが警察庁の役割です。

 警察庁の仕事は、都道府県警察が行うような一般的な警察のイメージと比べてかなり地味ではありますが、警察庁と警視庁とで名称が似ているのでよく誤解されます。
 警察庁の中の5つの部局のひとつに生活安全局があり、その中には風営法の制度運営の分野を担当している保安課があります。

 風営法に関して、警察庁から都道府県警察本部等に対し事務上の取り扱いに関する命令や法令解釈を示すことがあり、これらを通達と言うことがあります。また、警察庁や都道府県警察本部の関係部署から業界団体等に対し法令遵守の徹底を求めたり、営業上の配慮や改善などを要請することがありますが、このような場合には「通知」という言葉が使われることがあります。

 法律、政令、府令、規則。これに各都道府県の条例を含めたものを広い意味での「法令」と言います。これら各種の法令のほか、通達、通知、業界団体が自主的に取り決めたガイドライン、これら各々の違いを意識しながら、日々の判断を行っていただきたいと思います。
 
posted by 風営法担当 at 00:00 | 法務相談カルテ