2013年06月14日

契約書に押印は必要? 認印と実印、社印はどう違うのですか?

答え こたえ (プレイグラフ2012年9月号「法務相談カルテ」掲載)

 契約書は、どのような契約が存在したかを証明するものです。印鑑が押されていない契約書であっても、契約をした当事者の意思が契約書の中で確認できればよいのです。ですから、契約書に印鑑を押されていないからといって、その契約を無視してよいということにはなりません。

 しかし、もし契約の相手から「そんな契約をした覚えはない、そっちが勝手につくった契約書だろう。」と言われてしまったらどうでしょう。
 契約書に署名も押印もないということなら、その相手に契約を締結する意思があったことを確認できませんので反論のしようがありませんし、裁判の中で契約の存在を立証することは、かなり困難になります。
 民事訴訟法第228条第4項には、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」とあり、署名又は押印のある書類は、その署名又は押印をした人が真正に合意した有効なものであると「推定される」ことになります。

 「あなたは署名したのだから、その契約を締結する意思があったのだ。」と考えられるわけです。
 一般的に、日常取り交わされる契約書の多くは、認印を押すことで充分に成立しています。
 本人が押印している限り、100円程度で簡単に購入できるいわゆる三文判(認印)の押印であっても、役所で登録している実印あっても、「本人の意思表示」としての効力は同じだからです。ですから、実印ではない三文判だからといって、書類をよく読まないまま気軽に押印することは禁物なのです。

しかし、三文判は機械で大量に製造されていて同じ印影の印がたくさんあり、他人でも似たような印鑑を簡単に購入できてしまうので、「知らないうちに勝手に押印された」と相手から主張されてしまうと、本人が確かに押印したということの証明は困難なものになります。

ですから、三文判で押印してもらう場合には、押印させるだけではなく、氏名を自筆で署名してもらうなどの配慮も重要になってきます。
 不動産の購入や金銭の貸借など重要な契約の場合には、ほとんどの場合、実印を押印することになります。実印と三文判の大きな違いは、実印なら官公署から「印鑑証明」が発行されるので、その押印に使用された印鑑の持ち主が証明されるということです。ですから、単に実印で押印すればよいということではなく、実印で押印する場合には有効期限内の(発行から三ヶ月以内)の「印鑑証明」の原本とセットにしておくとよいでしょう。そうすることで、意思表示をめぐるトラブルの多くを防ぐことができます。

 法人の取引の場合には、会社にとって重要な契約や正式な文書を発行するような場合には、いわゆる「社印」といわれる法人代表者印が使われます。法人代表者印は、法人の設立登記がされると必ず法務局に登録されることになっていて、法務局から印鑑証明の発行を受けることもできますから、法人にとっての実印という意味合いがあります。代表者ごとに登録されますので、法人の代表者が変わった場合にもその都度登録されます。

 たまにこの法人代表社印が社長の机にカギもかけずに入っていて、誰でも押印できるようになっている会社がありますが、法人としての意思決定に関わる印鑑ですから、代表取締役以外の人が押印することがないように金庫に保管するなど厳重に管理しておくことが重要です。
領収書や請求書など会社の中で行われる日常の取引の場合には、代表者が自ら決済するのではなく、それぞれの会社において決済をする権限のある方が押印しているケースが多いのではないかと思います。

これについても、その契約について法人としての意思を代表し、それぞれの決裁権限に基づいて契約書の押印がなされ、そのことが社内で明確にされているのであれば、その印鑑が例えば「○○事業部長の印」であっても大丈夫とお考えになってよいと思います。

のぞみ総研 今村正典
posted by 風営法担当 at 00:00 | 法務相談カルテ