2013年07月28日

 社員に風営法をどのように理解させたらよいのでしょうか? 

こたえ (プレイグラフ2012年10月号「法務相談カルテ」掲載)


最近ホール業界では風営法の解釈について悩む機会が増えてきていますし、行政からも風営法についてきちんと理解するよう強く要請されています。
 法律を理解しようとする場合には、まず法令集などを開いて法令や解釈基準などを実際に読み、ホール営業を規制している制限や義務について、法的根拠がどのようになっているかを自分の目で確認することが重要です。

 法律が嫌いな人なら、法令集を開いた瞬間にやる気をなくしてしまうかもしれませんが、そこをどうにかこらえてもらう工夫が必要です。
 中学生のとき、誰でも英語の授業で辞書を引く作業をしたはずです。英語を話すことが好きな人にとっては楽しい作業ですが、嫌いな人にとっては苦痛でしかありません。つまり、法律の理解を「難しい」「面白くない」というイメージで始めてしまうとなかなか良い結果を出せませんから、楽しく、計画的にすすめる方がよいと思います。

 まずは、今最も気になっている規制や義務を一つ選び、法令集でその根拠を確認してみましょう。どうしてもわからなければ、回りの人たちの知恵を借りましょう。法律について「暗記」に頼ったり、一人で孤独に勉強したりする傾向がありますが、あまりお勧めできません。
 また、風営法の勉強を店長さんだけにさせている風景をよく見ますが、店長さんが法律について苦手意識を持っていたり、忙しくてそれどころではないと考えていたりすると、いつまで経っても風営法を理解してくれません。

 そういった場合には、店長さんの片腕になってくれそうな部下を同時に育てておいた方が、人材育成の面でも、風営法の理解促進の面でも合理的ですから、法令の勉強をさせる場合には、店長さんだけでなく、経営者や一般従業員もまじえ、なるべく多くの人が参加する方がよいと思います。

 もうひとつ重要なことは、自由に意見を交換できる雰囲気を作ることです。法律が苦手な人ほど、自分の意見を述べることが恥ずかしいので意見を言えません。例えば、英語が嫌いな人ほど流暢に話せないことを恥ずかしいと思います。逆に英語が好きな人というのは、自分が下手かどうかを気にしないでどんどん話してしまうものです。

 「間違っていても良いから今の自分の考えを述べる。」「わからないことを正直にわからないと言う。」   
 こういったことを促進させるのは経営者の手腕です。
 風営法を頭で理解しても、風営法に関して自分の意見を言えないということでは意味がありません。 
 なにしろ、管理者の義務として経営者に対しては助言を、部下に対しては指導しなければならないのですから。

 それに、「知ってるつもり」で満足してしまうことも危険です。自分の認識を日々チェックするために、法令に関する話題を職場で増やすようにして、意見交換を活発にすることが重要です。
 多くの場合、研修会で法律の解説を聞かせたらそれ終わり、ということになっていて、日々計画的に勉強したり意見を言い合うということが軽視されています。

 最近は行政の立ち入りの際に従業員に対する指導記録の内容を確認されるなど、ホールが風営法を本気で理解しようとしているかどうかということまで注意を払われるようになって来ていますが、外見だけで中身がない研修をしてしまうと、従業員にとって苦痛であるばかりでなく、まともな法令理解を阻害することにもなります。

 店長さんが風営法の専門家になる必要はありません。なるべく多くの目線で法的な諸問題を発見し、周囲の人たちの知能を結集して判断し、責任者が最終的に決定するという仕組みが確立されていることが理想的な環境です。

 これとは逆に、「知識はあるけど柔軟な判断ができない。」「誰も本音を言わない。」「誰が責任者なのかわからない。」といった状況にある職場では、研修に時間をかけても法令違反のリスクを下げるには限界があります。

 最後にもう一度。風営法を理解させるためには「法的根拠の確認」「日常の会話」。この二つを重視して風営法の理解を着実に進めていただきたいと思います。


posted by 風営法担当 at 00:00 | 法務相談カルテ