2012年03月22日

普通の飲食店にも風営法は関係する という話

最近、ホール業界向けの活動ばかりだったので、ブログの内容も自然とそちらに偏っていましたが、たまには飲食店営業にも触れてみたいと思います。
こんなニュースがありました。

<ガールズバー>大阪府警が数百店の実態調査へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120322-00000060-mai-soci

ガールズバーの取締りの話題は珍しくもありませんが、行政においては確かにここ1、2年、ガールズバーへの対策が強まっているようです。
深夜酒類提供飲食店の開業届出を提出する際には、所轄署から営業実態を詳しく質問されたり、使用権限や飲食メニューに関する資料の提出を求められたりすることが増えています。
風俗営業許可を取らないで接待営業をしようとしている事業者に対して、実態を把握したり、無許可営業にならないよう釘を刺して置きたいという事情があるのでしょう。
なお、ニュースではカウンター越しなら許可が要らないと受け取れそうな表現がありますが、接待飲食店であるかどうかの判別はカウンターなどの設備の有無で決まるわけではなく、接待行為のあるなしによります。

ニュースでは
「飲食店の許可で営業しているが、実態は風俗営業の許可が必要な形態の店も多く、府警は無許可営業の違法店舗を積極的に取り締まる方針だ。」
とありますが、無許可営業だけでなく、風営法違反の全てが取り締まりの対象となってゆくのだろうと推測します。
現状では2号社交飲食店と深夜酒類提供飲食店との間で、取り締まりや指導の方法に温度差があるところ、今後はこのような格差が徐々に無くなってゆくかもしれません。

法的には、風俗営業や深夜酒類提供飲食店だけでなく一般の飲食店でも、深夜に営業していれば従業者名簿の備え付け義務や、構造設備基準の維持義務など様々の義務が課せられているわけですが、これらの規制を受けているはずの飲食店の経営者や店長のうち、どれほどの割合の方が風営法の遵守事項や禁止事項をご存知でしょうか。

ガールズバーの定義が法的にあいまいなのは、法規制を受けにくい営業形態が模索された結果として発生した営業なのだから当然のことです。
つまり、取締りを受けにくい営業形態への偽装が今後も続くわけですから、一般の飲食店が行政の立入りや取締りを受けるリスクは徐々に高まってゆく傾向にあると思われます。

そういう意味では、夜間に営業している飲食店にとって、風営法は無視できない存在になってゆきそうです。
いや、法律理論としてはすでに規制がかかっているわけですから、無視できないはずなのです。
このあたりのことは、いずれこちら(月刊総務オンライン)のコーナーで連載する予定です。
posted by 風営法担当 at 18:13 | 飲食店業界

2011年06月17日

居酒屋・カラオケ・ネットカフェも深夜のつきまといは実は犯罪

<行政処分等の無料相談(全国対応)>




ガールズバーが急増する大阪ミナミで、深夜営業の飲食店の客引き一斉取り締まりが実施されたというニュースです。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110617-00000141-mailo-l27



迷惑防止条例なら、接待飲食店や性風俗店などに客を引き込む客引きは防止できますが、風俗営業ではないガールズバーなど、条例の規制対象に盛り込まれていない営業については条例の規制が及びません。



一方、風営法では風俗営業者が客引き及び客引き類似の行為を行うことを禁止していますが、深夜営業の飲食店についても同様に客引き類似行為を禁止しています。



ガールズバーは接待をしていれば社交飲食店などの風俗営業にあたりますが、もし接待をしていないとすれば居酒屋と同じく深夜酒類提供飲食店にあたります。

ガールズバーも居酒屋も、深夜に営業している飲食店なので風営法に違反するため摘発できるのです。

このことは意外と理解されていないことが多いのです。



さらに誤解されやすい点があるのですが、公安委員会への届出対象である深夜酒類提供飲食店だけでなく、風営法上の許可や届出を必要としない一般の飲食店も対象だと言うことです。



つまり、夜12:30にマクドナルドの店員が路上で客につきまとったら風営法に違反するということです。

ラーメン屋でも、牛丼屋でも、ファミレスでも、カラオケでも、インターネットカフェでも、深夜の飲食店営業である限りはガールズバーと同じく摘発対象となりうるということです。



飲食店営業の範囲はとても広いです。

キャバクラやバーでなければ大丈夫だと思っていた人はご注意ください。

大型のチェーン店でも風営法違反を平然とやっているところをよく見かけます。

運が悪いと罰金刑のうえ営業停止処分です。



気になる方は、風営法32条3項と22条をご確認ください。

読替条文なので見にくいですけれど。。。


posted by 風営法担当 at 21:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 飲食店業界

2009年11月19日

ネットカフェ犯罪で有識者懇 本人確認義務付け提言

警視庁が主催する有識者懇談会で、ネットカフェ来店者の本人確認の義務付けなどを提言する報告書がまとめられたというニュースがありました。



ネットカフェが犯罪の温床となっているという理由から、営業を届出制にすべきとの意見も出ているようです。



警視庁での話ですので、青少年保護育成条例の中に盛り込む可能性が高いと思います。

同条例ではすでに「設備を設けて客に主に図書類の閲覧若しくは観覧又は電気通信設備によるインターネットの利用を行わせる施設」として、ネットカフェに青少年の立ち入らせ規制や標識の掲示義務などを負わせており、警察官の立入り権も確保されています。



ネットカフェ規制で気になるのは風適法との兼ね合いです。

個室など、一定の面積に満たない狭い客室空間を持つ飲食店は風俗営業の許可が必要なのですが、風俗営業に該当してしまうと夜12時(地域によっては1時)を過ぎて営業できないし、18歳未満の立入りができないので敬遠するしかありません。



しかし、高さ100センチを超える設備で区画された空間は個室と同様に扱うのが風俗行政の考え方ですので、完全な個室(床から天井までそびえる壁によって囲まれた個室)ではなくとも個室あつかいとなってしまう以上、客室内でいかにして見通しを確保するかが難しいところです。



ネットカフェで発生しやすい犯罪は、インターネットを利用した詐欺や賭博など多岐にわたっているので、性風俗規制の視点だけでは規制として物足りないかもしれません。



すでに出会い系喫茶の法規制が実現しそうな状況ですし、ネットカフェをはじめ次から次へと新しい営業形態が生まれ、それにあわせて様々の規制が作られますが、これらを全てひっくるめて営業判断をすることはなかなか難しいことです。



風適法だけでもすでに複雑なのですが、

・インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律

・青少年保護育成条例

・デートクラブ営業の規制に関する条例

なども組み合わせ、さらにパチンコ営業を特別法として分離すべきだという意見も出始めていることを考えると、風俗規制は今後どんどん複雑になって、わけのわからないことになってゆくのではないかという気がします。



hino
posted by 風営法担当 at 20:32 | TrackBack(0) | 飲食店業界

2009年09月10日

カラオケ店で風適法違反!?そしてカラオケ業界が秘める法的問題

シダックスと言えば大手カラオケチェーンですが、風適法違反容疑で書類送検されたそうです。

詳細はこちら↓

http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009090801000841.html



カラオケ店と風適法がどう関係するのか不思議に思われるかもしれません。



今回のケースの違反の根拠ですが、未成年者が飲酒、喫煙することは未成年者飲酒禁止法と未成年者喫煙禁止法で禁止されています。



未成年者飲酒禁止法

未成年者自身が飲酒することを知りながら、未成年者に対して、酒類を販売・供与した営業者に対して、50万円以下の罰金を科す(3条1項)。

未成年者の飲酒を知って制止しなかった親権者や監督代行者に対して、科料を科す(3条2項)。



未成年者喫煙禁止法

第5条

未成年者が自分自身で喫煙することを知りながらたばこや器具を販売した者は、50万円以下の罰金に処せられる。



どちらも、店などが未成年者に酒やたばこを提供販売することを規制しています。

ところが、風適法では風俗営業者に対し、それらの法律よりもさらに厳しい罰則を定めています。



 1年以下の懲役又は百万円以下の罰金、併科。(風適法50条1項4号)



罰金は2倍だし、懲役もありうるということです。



今回はより厳しいほうの法律が適用されたわけですが、カラオケ店が風俗営業者だとは、世間も、シダックスさん自身もまさか考えてはいないでしょう。



それでは風適法の罰則が適用されてしまったのはなぜかと言うと、あまり知られていませんが実は風適法は一般の飲食店営業についても規制を定めているのです。



用語の読み替えが複雑なので、風適法の条文をみてもわかりにくいのですが、一般飲食店に適用されうる規制は次のとおりです。



@深夜営業に関する客引き禁止

A深夜営業に関する客引きのための通行妨害やつきまといの禁止

B18歳未満の者に夜10時から日の出時までの時間に接客させることの禁止

C夜10時から日出時までの時間に18歳未満の者を営業所に立ち入らせることの禁止(保護者同伴の場合を除く)

D営業所で20歳未満の者に酒、たばこを提供することの禁止



@からCまでの禁止は夜間営業に限られますが、Dについては昼であろうと夜であろうと関係なく全ての一般飲食店に適用されうる規制です。



たとえば以前に大手餃子店チェーンでも、おなじように風適法違反(未成年者への酒の提供)で立件された事例がありました。



法律違反に変わりないことなので、事業者にとっては風適法違反か未成年者飲酒禁止法違反か、と言う点はどうでもよいことなのかもしれません。



ただひとつ、今回のケースで気になるのは、カラオケ店は本当に「一般の飲食店」扱いでよいのか、という点です。



この事件では、酒類が提供されている時間が深夜であり、泥酔して救急車の要請が必要になるまで店は放置したと思われても仕方がないでしょう。



放置というと言いすぎかもしれませんが、それは個室、つまり店側から目が届きにくく、客を規制しにくい「隔離された狭い空間」で発生している現象です。



実は風適法ではこのような現象をあらかじめ想定しています。

ですので、深夜に酒類を提供する飲食店に対して「深夜酒類提供飲食店」としての開業届出を公安委員会に行うことと、構造設備基準を維持することを義務付けています。



さて、本件で店舗が公安委員会に届出をしていたかどうかは知りません。

しかし、もし深夜酒類提供飲食店であるなら次のような構造設備基準があります。



<客室が複数存在する場合には1室の床面積が9.5平米以上でなければならない>



この条件を一般的なカラオケチェーンが全店全室でクリアしているのだろうか、という点が気にかかっています。

というのも、かつて、とあるカラオケチェーン店の個室をみたときに、「あきらかに9.5平米には足りないなあ」と思ったことがあるからです。



さらに、もう10年近く前の話になりますが、ある警察幹部の方にこのことを聞いてみたことがあるのですが、「もし社会問題にでもなれば無視できない」というようなお答えをいただいた気がします。



つまり、カラオケ店業界として潜在的に風適法違反のリスクがあり、ということにならないだろうかという疑問です。

現状ではこの問題について行政は執着を示していません。

すでに社会に定着し、特に問題が起きていない営業について、違反として取り締まるのはしのびない、という感覚は私には理解できます。



しかし、カラオケ店における違反やトラブルが社会問題として取りざたされてゆくと、やがて行政も腰をあげざるを得ないと思うのです。



このように、風適法には「使われる部分と使われない部分」があって、それは一般の市民感覚からすると、「トンデモナイ」というとらえられ方をされるかもしれません。



しかし、こういった現象はなにもカラオケ店業界だけのことではなく他の飲食業界でもありうることであり、風適法に限ったことでも、警察行政に限ったことでさえもありません。



ただ世間の印象と実際の法の運用にはズレがあるなあと考えるキッカケとなる話だったので、ここでアップしてみました。



hino


posted by 風営法担当 at 11:09 | TrackBack(0) | 飲食店業界

2009年04月27日

カウンター越しでも接待 ガールズバー経営者逮捕

下着にYシャツ…ガールズバー経営者、風営法違反の疑い



ガールズバーについては過去幾度か触れてきました。



「カウンター越しなら大丈夫」という誤解がよくありまして、捜査関係の方からさえそういった解釈を聞いたことがありますが、風適法と解釈基準を見る限りは「カウンター越しなら大丈夫」と解釈できる根拠はありません。



あくまで取締り側の都合と判断で取り締まらなかったということだと私は認識しています。



接待であれば許可が必要。

「接待とは何か」を考えてみれば答えはおのずから出るはず。

そういう説明を何度しても、「でも小さければいいだろ」とか

「カウンターがあれば大丈夫だろ」とか言われますが、まあ仕方がないのです。



風適法には解釈に幅のある部分が多く、お客さんから「大丈夫?」と相談されればグレーな話をしてしまうのですが、<過去の摘発事例がない>とか<ほかの店は経営し続けている>ということと「法理論上違法かどうか」ということが、ゴチャゴチャに理解されて勝手な解釈をされてしまうことがよくあります。



<いやいや、「大丈夫」という意味ではなくて、状況次第でいろいろありえるのだから・・・>

と説明しても、その部分はすぐに忘れられ「大丈夫」の言葉だけが脳裏に深く刻み込まれたり、意味が根本的に誤解されていることがよくあります。



そういう人の中には、残念ながら「何べん説明しても理解してくれない」タイプの人もいます。

たまたま運がよいだけのことを、「自分の判断が正しいから大丈夫だった。」と思い込んでいる人がいまして、私などからすると「いつか痛い目にあうなあ」と感じるのですが、説明しても無駄なことが多く、これもいたし方のないことです。



人間誰しも、自分にとって都合のよい状況に合わせて解釈をねじまげてしまうものです。

経営の当事者ともなれば、リスクばかりを考えているわけにも行かないのでしょうから。

それでもリスクに対して厳しく見て、腹をすえて経営する人と、偏見や思い込みのまま気軽に経営する人とでは、いろいろと違いが出てくるものです。



かといって、相談にのる側からしてみると、希望的観測や期待を完全に無視したところで話をするしかありません。

いや、たまに判断の甘い同業者がいます。



気軽に「大丈夫」と言ってみたり、責任の重い調査を安い金額で請け負ってみたりするのは、たいてい経験の浅い同業者です。

10年以上この法律を専門で扱っている私でも、いまだに「コワイ」「油断のできない」と感じている分野なのです。

「99パーセント大丈夫」と言われて安心する人は多いでしょうが、私は不安になります。

リスクが1%ということは、100件に1件は事故が起こるということで、私にとっては許容できない確率です。

この1%のリスクを甘く見ているなら、それはその人がプロではないからです。

でも経営者にしてみると、「大丈夫」と言ってくれる行政書士の方が頼りになるのでしょうか。

ただ「大丈夫」の言葉がほしいだけの理由で、行政書士をチェンジする人がいるのも事実。

経験が浅くても、ネットで宣伝されるときには行政書士の善し悪しが見えません。おかげ様で、ウチの事務所のお客様の多くはご紹介の縁でおつきあいしております。



まともな行政書士なら法令を根拠にして、リスクの考え方を様々の視点からきちんと説明するはずなのですが、リスクの話を「面倒くさい」とか「わからない」ということにしてリスクを無視してしまいたいのは、心理学的にはつじつまのあう現象です。

「大丈夫か大丈夫でないか。それだけを教えてくれ」

と思っている経営者の方は、リスクの考え方を間違っています。

間違っていることを率直に「間違っている」と言う勇気があるかないか。

これはプロかどうかの基準のひとつでもあります。



<常にリスクはある>というのが現実であって、お客さんの希望にあわせた回答など、まともな者ならできるはずも無く、注意してリスクを覚悟してがんばってください。としか私には言えません。



ガールズバーのことでも、「大丈夫なんでしょ」とか「だってみんなやってるじゃん」的な発想で質問されることがよくありました。



「無許可営業だからリスクあります。」と説明しても、

「でも実際には大丈夫だろ。コイツはわかってない行政書士だ。」

なんて思われたりもします。



でも、警察は業界の状況に合わせて常に変化しているのです。

その予測しがたい変化の様子を私は見てきました。

だから「1年前は一昔、となりの所轄はよその国」

変化に対して柔軟に対応し、適切なリスク判断のできる人でなければやっていけない業界なのです。

その現実に目を背ければ、いつか報いを受けるときが来るでしょう。
posted by 風営法担当 at 11:36 | TrackBack(0) | 飲食店業界