2021年03月22日

未来に問題化する確率

「居酒屋で中高生5人にビールなど30杯提供…運営会社と社員2人を書類送検」

という記事がありました。

「未成年に酒を提供したとして高知県警高知署は19日、居酒屋の運営会社(松山市)とその社員2人を風営法違反容疑で区検に書類送検した。」

と、あります。

事件化したきっかけは、

「5人は約2時間、計30杯ほどのビールなどを飲んで退店。その後、別の少年たちとトラブルになり、事情を聞いた警察官が飲酒に気づいたという。」

30杯も注文を受けて入れば、「怪しいな」と気がつきそうなもんですが、黙認していたんでしょうか。

年齢確認は面倒くさいし、店で騒動が起きなければ大丈夫。と思ったかな。

今月初め、沖縄でも似たような事件がありましたね。

似たようなことは、どこの飲食店でも、コンビニでも、ぱちんこ屋でも、起こりうることです。

え?パチンコ屋が関係するの?

って思った人。

では、深夜まで働いたあとで店長が、

「みんなご苦労さん!ビールあるよ!」

で、そのビールを飲んだスタッフの中に19歳の人が混じっていて、飲んだあと帰宅途中で職質を受けたら。

警察官が

「あれ、この人、未成年だけど酒の匂いがする。どこで入手したのかな?」

ということです。

居酒屋で未成年者が飲酒しているなんてことは、おそらく全国の普通の居酒屋で日々起きていることでしょう。

その多くは当人たち以外に気がつく人がいない。

歌舞伎町のキャバクラの時間外営業もそうですが、

「どこでも起きているけど取り締まられない違反だと思った」→「だから安心」

と考える人がほとんどです。

それが「愚か」であることは、わかっているようで、わかっていない。

少なくとも、経営者や管理責任者がそういう甘い認識では困ったものですが、実際どうでしょう。

たとえば、つい最近、総務省が東北新社の衛星放送の認定を取り消そうとしているというニュースです。

2017年1月に認定を受けた際には、ささいな瑕疵があっても、接待と同様に問題視されていなかったのですね。

おそらくは、「そんなもん」と思う常識、または思い込みたいなものがあって問題視されていなかった。

でも、こうして菅政権の政治問題に発展してメディアに叩かれてしまうと、さかのぼって問題化されるわけです。

こうしたリスクはどこの職場でも官庁でも何かしらあるわけですが、そうしたリスクを把握している経営者さんはどれほどいるのかな。

まあ、いないだろうな。現場がそれをわかっていても、その情報は伝わらない仕組みになっていますよね。

または、こういったリスクを指摘する人がいたとしても、

「君は考えすぎだよ」

という雰囲気にかき消されてしまう。

リスクを生むのは多くの場合、複数人による無関心です。そしてどうせ、無関心だった彼らは責任を取りません。

こういった現象の果てに、無関係の人が命を落としたりもしている。

まあ、そんなもんです。ある程度は仕方ありません。ただ、こういった現象を低減できたらいいですね。
posted by 風営法担当 at 13:21 | コンプライアンス総合

2021年01月18日

意識が事後チェック社会に対応できている?

様々な法的トラブルの種は何年も前にまかれていることが多いです。

昔は昔の常識があった。その時にはそのときの。。。でも、その時にいた人は退職してもういないと。

さて。ここにきて「法務の質」が少し変わったと思います。特に行政手続き。

これはいずれ業界誌か別のコラムかで整理して書こうかと思いますが、少し触れておきますと。

警察に書類を出す役割の人達、たとえば店長さんやその周辺の方々の「意識」のことですが、

「警察から要求された書類を渡せばよい」

と単純に考えていますね。

そして今年から署名も押印も不要になりました。ならば、署名も押印もしないで印刷してそのまま警察に渡す。

ここで問題となるのは、「実態」を確認し、それを証明できる資料を残しているかということ。

今までは行政庁が書類を通じて実態を確認していました。
問題があったら行政からツッコミを入れてくるから、ちゃんと実態に合わせて書類を作らなきゃならない。

ところが、今年からそれをしなくても許可や承認がでてしまいます。
印刷したものを渡せばそれを行政側は一応信じて許可や承認を出します。

これは見方を変えると、「行政庁は書面の真実性をチェックしない」ということです。

ところがですよ。申請時に添付した保証書や誓約書が実はウソであった。

つまり、「実際は保証されていない」「本当は誓約はしていない」けれど、法務の担当者が事実を確認せずに書類を出し、その担当者はすでに他社に転職しています。

で、この<落とし前>は誰がどうつけるのか。

会社の代表者ですね。

でも、そんなことしらんもん。今までどおり任せていただけだから。

はい。今までどおり。でも、世の中が変わっていきます。

行政庁は事前にチェックしてくれず、問題が起きてからさかのぼって責任を取らされる社会。

これが「事後チェック型社会」です。

「書類を出しておしまい」

ではなくて、

「この書類はなんのために警察に提出するのか。それはつまり、どういう実態が背景にあるべきなのか。」

さらには、

「もしこの書面で書いてある通りの実態がないとしたら、後日どんなリスクがありうるのか」

こういったことを<会社のため>に考える社員と、

「今の自分の仕事がまわりさせすればほかはどうでもいい」と考える社員。

この違いはどうやって見分けますか?

こういうことがあいまいなまま時が過ぎ、何年もすぎてからトラブルにつながるということがあります。

これからの法務では、書類よりも<責任の所在>を意識する必要が大きくなってゆきます。

いや、世の中全体で個人が<法的な思考>を要求される社会になってきているのです。

やはり社員教育は重要だと思います。

ルールの暗記ではなくて、「ルールを何のために守るのか」を各自で考えていただかないといけません。

この話、わかりにくいですかね。
posted by 風営法担当 at 11:27 | コンプライアンス総合

2020年12月21日

コンプラ研修について思う

もう長いお付き合いの「月刊総務」さんからまたお声かけいただきまして、<著作権法改正にともなう原稿を書け>とのことで、ひさびさに著作権法のことで頭をひねりました。

対象は法務でなくて「総務」でありますから、小難しい話はほどほどに、事例を元に「考え方」をイメージしやすい内容にしました。

https://www.fujisan.co.jp/product/759/new/
詳細は上記の月刊総務1月号↑をご覧くださいませ。

やっぱり、著作権は身近だし重要だし面白いし、コンプライアンスを考える材料としては<ちょうどよい>とあらためて思いました。

パチンコ業界向けのコンプライアンス研修でも、最初の段階で著作権の話をよく取り上げるのは、

@身近でイメージしやすい

A著作権について知っておいて損はない

B民事刑事の両方が理解できる

Cけっこうあいまいで理論と現実の食い違いがはげしい

というわけで、私にとってはオススメの素材なのです。

この「オススメ」には時代的な背景があります。

その点について、次回このブログで述べようと思います。
posted by 風営法担当 at 16:03 | コンプライアンス総合

2020年09月28日

保険者番号及び被保険者等記号・番号の告知要求制限

改正健康保険法が2020年10月1日から施行されることにより、被保険者証に記載されている<保険者番号及び被保険者等記号・番号>の告知をすることが禁止されます。

告知要求制限
→健康保険事業又はこれに関連する事務の遂行等の目的以外で保険者番号及び被保険者等記号・番号の告知を求めることを禁止する

ということなので、<保険者番号及び被保険者等記号・番号>を聞いたり、コピーを提出させたりすることも禁止されます。

風俗営業等で従業員や客の年齢確認を確認するとして、その確認の裏付け資料として被保険者証のコピーを取ったりもできないということだそうです。

もしコピーを取るときでも、<保険者番号及び被保険者等記号・番号>の部分を黒塗りしてわからなくします。

たとえ本人がOKしてもダメとのことです。

被保険者証の提示を求めることは実際そう多くはないとは思いますが、無くはないと思います。

一応ご注意ください。
posted by 風営法担当 at 18:11 | コンプライアンス総合
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