2019年07月22日

公安委員会に提出する使用承諾書とは何ですか?

(プレイグラフ2015年3月号「法務相談カルテ」掲載)  

 風俗営業許可の申請の手続の際に添付すべき書面の一つに、「営業所の使用について権原を有することを疎明する書類(使用権限を疎明する書類)」というものがあります。「疎明する書類」とは、その内容が一応確からしいと推測できる程度の書類を意味します。
 つまり、風俗営業の許可を受けようとする者は、営業所の敷地や建物を風俗営業のために使用できる正当な権利があることを疎明する書類を、公安委員会に提出しなければならないということです。

 許可を受けようとする事業者がその営業所の建物を所有しているのであれば、その事業者がその建物の所有者であることを証明する登記事項証明書を提出すればよいでしょう。もし建物の敷地だけでなく駐車場や駐輪場など建物周辺の敷地についても風俗営業のために使用される予定であれば、それらの敷地についても使用権限を疎明する書類を求められることがありえます。

 許可を受けようとする事業者が営業所を他人から借りて営業する場合には、その営業所の所有者が風俗営業としての使用について承諾していることを示す書面が必要です。事業のために建物や土地を賃貸する際には、通常賃貸借契約書を作成していることが多いでしょうから、その写しを提出することができます。但し、疎明されるべき使用権限は風俗営業の種別のどの営業であるかが特定できる内容でなくてはなりません。
 
 たとえば、パチンコ店の営業許可であれば、パチンコ店営業のために使用することが承諾されていることを確認できる賃貸借契約書であることが望ましく、賃貸借契約書における使用用途が明記されていない、又は、用途がパチンコ店営業であるかどうかが明確でない賃貸借契約書は、「使用権限を疎明する書類」として好ましくないとされる恐れがあります。
 かといって、許可申請のために賃貸借契約書を作り直すわけにも行かないので、その代わりとして使用承諾書という書面を作成して提出することがよくあります。

 使用承諾書には、承諾を受ける事業者の名称、承諾をする所有者の住所氏名、使用される営業所の所在地とその構造、使用期間など一定の事項が記載され、承諾者が署名又は捺印しているものでおおむね通用しているようです。使用承諾書は法令で定められた書式ではありませんが、全国で類似した書式が使用されています。
さらには、その使用を承諾した者がその営業所の所有者であることを示す登記事項証明書も必要となります。
使用権限の疎明には、ときに面倒な手配が必要となる場合があります。

 たとえば、営業所を所有者から直接借りるのではなく、所有者から管理や使用を認められた第三者から風俗営業者が借り受ける場合があります。この場合は、その第三者が風俗営業のために転貸する権限があることを疎明できる書類(賃貸借契約書や管理委託契約書の写し等)を用意し、なおかつその第三者から風俗営業のための使用を承諾されたことを疎明できる賃貸借契約書や使用承諾書等が必要となります。

 所有者が複数存在している場合には、その所有者全員又はその過半数以上の持分を有する者から使用を承諾されたことを示す書面の提出を求められることがありますし、所有者が住所を移転していて、その移転の事実がまだ登記されていない場合には、その住所移転の事実を示す証明書の提出を求められることもあります。
所有者が死亡していてまだ相続登記が完了していない場合には、相続関係を示す戸籍謄本など、誰が現在の所有者であるかを示す資料が必要となることがありえます。

 使用権限を疎明する書類は、営業所を拡張した場合にも、その拡張部分の使用の権限についても提出を求められることがあるようです。これらの書類を用意するために長い日数がかかってしまうことがありえますから、使用権限の疎明はなるべく早い段階で準備にとりかかる、必要に応じて行政庁に相談することをおすすめします。
以上
posted by 風営法担当 at 14:32 | 法務相談カルテ

2019年05月20日

退職した従業員の顔写真を店内で掲示していてもよいですか?

(プレイグラフ2015年2月号「法務相談カルテ」掲載)  

A 従業員の顔や姿の写真を人の目に触れる状態にするのであれば、その被写体である従業員から了解を得ておく必要があります。
 その被写体が誰であるかを特定できるような写真が多くの人の目に触れることは、その被写体となった人のプライバシーに影響を及ぼす恐れがあるからです。
 たとえ本人から撮影の承諾を得て撮影された写真であっても、その「承諾」が「店内で掲示されること」までを含んでいるのかどうかが定かではないとすれば、本人にその写真の利用方法について説明し、事前に了解を得ておくのがよいでしょう。
 法律的には肖像権と言われる権利があるとされています。肖像権は個人のプライバシーを守る権利の一種であり、法律でその権利が明確になっているわけではありませんが、誰もが自分の肖像(顔や姿)をみだりに利用されない権利を持っていることが過去の判例において明らかになっています。
 つまり、顔や肖像を勝手に使われて自分のプライバシーが侵害されたと本人が感じれば、それは肖像権の侵害だと言えるわけです。
 肖像権を侵害することは、民法で言うところの「不法行為」にあたり、侵害された人は損害賠償や侵害行為の差し止めなどを請求できると考えられています。
 その写真利用について、たとえ業務上の必要性があったとしても、その社員がモデルとして採用されているならともかく、一般的な事務員や接客スタッフとして働いているのであれば、その従業員の同意がない限りは、会社の一方的な都合で写真を利用してよいということにはならないでしょう。
では、従業員が納得したうえで顔写真をすでに店内で掲示していた場合に、その従業員が退職した後も写真を掲示しつづけてよいのでしょうか。
 退職後も掲示し続けてよいという本人の意思が明らかならばよいのですが、自分が退職した後になってもまだその会社の従業員であるかのように扱われることは、一般的には納得しにくい場合の方が多いと思いますし、会社に対して何らかの不満を持って退職した場合であれば、なおさら否定的に受け止められるでしょう。
 人にはいろいろな価値観や事情があって、他人には推し量れない部分もあります。つまり、原則として本人の意思を確認しておくことが必要だということです。
 その写真の被写体が誰であるかが特定できないほど不鮮明である場合や、被写体が背景の一部に溶け込んでいるためプライバシーの侵害にあたる恐れがない、といった場合であれば、無断で写真を使用することはあってもよいと思いますが、そのような判断には法的に明確な基準がなく、被写体となった本人が迷惑な行為であると感じてしまえば、法的なトラブルに発展する恐れがないとは言えません。
 最近ではテレビ番組の中で、背景となった人物の肖像だけでなく、民家の表札や車両のナンバープレートにまでモザイクなどを使って不鮮明にした映像を放送していることが多くなりました。かつてはそこまでの配慮はされていませんでしたから、人々のプライバシーに関するこだわりや配慮が徐々に強くなってきているということです。
 顔や肖像だけでなく、住所、本籍、電話番号などもプライバシーに関係する個人情報にあたり、本人の意思に反して利用されないよう会社として細心の注意を払わなければなりません。
 逆に考えれば、本人がそのような肖像の利用について納得していればよいわけですから、必要に応じて了解を得ておけばよいし、それが面倒であれば写真の利用を止める、又は、その従業員の肖像を不鮮明にするなどしましょう。
 なお、写真の利用については著作権の問題も生じうることについてご注意ください。
 原則としては、その写真を撮影した人物が著作権を保有していると考えられるので、著作権を保有する人物から、その写真の利用についてあらかじめ許諾を得ておくべき場合があります。
posted by 風営法担当 at 14:58 | 法務相談カルテ

2018年11月05日

海外から労働者を招いて働いてもらうことは可能ですか?

(プレイグラフ2015年1月号「法務相談カルテ」掲載)

 外国人が日本に滞在するためには、出入国管理及び難民認定法(入管法)に定められた27種類の在留資格のいずれかを取得する必要があり、外国人が日本で就労できるかどうかは、その外国人が保有している在留資格で認められている仕事であるかどうかによります。

 例えば、翻訳や通訳の仕事をする場合には、文系の仕事をすることができる「人文知識・国際業務」という在留資格が必要となりますし、エンジニアとして働く場合には、理科系の仕事をすることができる「技術」という在留資格が必要です。

 これらの資格の要件は入管法に基づいて細かく定められています。「人文知識・国際業務」や「技術」の在留資格を得るためには、大学などの教育機関で習得した専門知識や充分な実務経験が必要です。また、外国の料理のコックさんなどが日本で働くための在留資格である「技能」については、その国の料理に特有の調理技能について実務経験や本国での調理師資格の取得などの要件が定められています。つまり、日本で就労するための在留資格を取得するには、高い専門性に見合った学歴や実務経験が必要となります。一方で、工場のラインや建設現場などで単純労働者として働くための在留資格はありません。日本の出入国管理制度では、日本国内の労働者だけではまかなえないほどの高度な専門性を持った人材は受け入れるが、単純労働者は受け入れないという原則があるのです。

 しかし、現実には工場や建設現場で働く外国人を見かけることは珍しいことではありません。なぜなら、27種類の在留資格のなかには「日本人の配偶者」や「定住者」、「永住者」のように、就労に関する制限の無い在留資格があるからです。例えば、日本人の妻や夫、日系二世、三世といった人、また、永住が認められた人などがこれに該当しますが、この人たちは元々日本で生活することを目的として日本での在留が認められており、在留資格での就労制限がないので、工場や建設現場など、どこで働いても大丈夫ということになっています。

 また、最近注目されているのが「技能実習」という在留資格で、すでに多くの工場や建設現場で外国人が技能実習生として働いています。発展途上国には、先進国の進んだ技術や技能、知識を修得して、その国の産業を振興させたいというニーズがあります。そのために労働者を一定期間日本に送り出させて技術や技能を身につけさせることが「技能実習」という在留資格の目的です。

今のところ最長で三年間にわたって日本で在留することが可能ですが、対象となる業種は、2014年4月現在で建設や製造、農業、漁業関係など68職種、126種の作業に限定されており、これに該当する職種であれば、受け入れ可能な人数枠内の技能実習生を受け入れて工場等で働いてもらうことが可能となりますが、パチンコ店営業の技能実習は認められていません。

  なお、飲食店やコンビニなどで外国人留学生がアルバイトをしていることがあります。留学生は日本で留学するための必要経費などを補う目的で、「資格外活動」としてアルバイトをすることが入国管理局から特別に認められることがあるのです。ただし、パチンコ店を含む風俗営業のために留学生が資格外活動を行うことは現在の法令(出入国管理及び難民認定法施行規則)では認められていません。

  パチンコ店営業で外国人が働ける機会は、「日本人の配偶者等」「定住者」「永住者」など一定の身分に基づいてすでに日本に在留している場合に限られています。しかし、パチンコ店を経営している企業であっても、同時に中華料理店を経営しているなどの場合に、その料理店で働く予定のコックが入国管理局から「技能」の在留資格認定証明書の交付を受けて、「技能」の在留資格で入国できるケースがあります。

  つまり、パチンコ店を経営する企業でも業務内容によっては海外から労働者を招聘することはできますし、規制緩和によって外国人労働者が活躍できる機会は今後増えてゆくかもしれません。

(imamura)
posted by 風営法担当 at 14:53 | 法務相談カルテ

2018年01月29日

風営法改正によりパチンコ店の従業者名簿の取扱いはどのように変わったのですか?

(プレイグラフ2014年12月号「法務相談カルテ」掲載)

「風営法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(以下では「内閣府令」と言うことにします。)」という法令の改正があり、平成26年10月17日から施行されました。

改正前は風俗営業者等が従業者名簿に記載すべき事項の中に「本籍外国籍の従業者の場合は国籍)」が含まれていましたが、改正後は本籍国籍を記載しないでよいこととなりました。

すでに作成された従業者名簿についても、本籍情報を記載しておくことの法的義務が無くなりましたので、従業者のプライバシー保護を重視するうえでは、既存の従業者名簿から本籍等の記載を削除することが望ましいでしょう。

今回の改正では、従業者名簿の作成にあたって必要となる確認資料に関しても改正がありましたが、この部分についてはパチンコ店を含めた遊技場営業には影響がありません。

従業者名簿を備え付けるべき義務はホール営業を含む風俗営業のほか、性風俗特殊営業、一部の飲食店営業などにも及びますが、生年月日と本籍(又は国籍)等を公的証明書で確認する義務については、風俗営業のうち4号と5号の営業に関しては元々及んでいないからです。

従業者名簿に記載する際に、その本籍情報が正しいことを確認するためという理由で、本籍が記載された住民票の写し等を従業者名簿とともに備え付けていたホールは多かったと思いますが、改正後はその必要が無くなったと言えるでしょう。

しかし、外国人を採用する場合には不法就労にあたらないよう、外国人の在留資格や在留期限を確認しておく必要があり、万が一、風俗営業者が不法就労助長罪で刑事処分を受けた場合には、欠格事由に該当することなり、風俗営業許可の取り消しなどの重い処分を受ける恐れもあります。

従って、従業者が日本人なのか外国人なのか、という区別は採用に際して重要な事柄です。

多くの場合、外国人従業者本人が採用時に自分の国籍を正しく申告してくれるであろうと思いますが、それが疑わしい場合には、その従業者の本籍の存在が確認できる住民票記載事項証明書があれば、その従業者が日本国籍であることが確認できます。

国籍を確認するだけの目的であれば、本籍情報の全てが記載された証明書である必要はなく、本籍情報のうちの都道府県までが記載されていれば充分ですから、そのような住民票記載事項証明書を取り寄せさせて日本国籍の有無を確認するという方法もあるでしょう。

なお、風俗営業の中でも1号から3号までにあたる営業(接待飲食等営業)においては、内閣府令改正後は本籍のうちの都道府県名までが記載された住民票記載事項証明書で確認する義務が明記されました。

ホール営業ではそこまでする法的義務はありませんし、このような証明書を全ての従業員について取り寄せさせるのは大変な手間がかかるでしょうから、実際にどうするかは企業独自のに判断によります。

従業者が提出した履歴書の内容で確認すれば充分だという判断もありうるでしょう。国際化が進む中で外国人従業者の採用に関わる入管法違反のリスクは高まって来ていますから、状勢にあわせて柔軟に対応していただきたいです。

18歳未満の者については夜10時以降の労働が制限されていますから、年齢の確認も相変わらず重要ですし、労働基準法によれば18歳未満の従業者がいる事業所では18歳未満の従業者の年齢の証明書(住民票記載事項証明書等)を備えおく義務があります(労基法第57条)。

なお、従業者名簿は電磁的方法で記録することが認められています。

電磁的方法とは、従業者名簿に記載すべき事項をパソコンのソフトウェアなどを用いてハードディスクに記録するなどの方法であると思われます。

今回の改正を機に従業者名簿の管理方法を合理化するのも方策の一つだと思いますが、電磁的記録として管理する場合には、管理されている情報がいつでも直ちに表示できるようにしておく必要がありますので、ご注意ください。

(日野)


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posted by 風営法担当 at 11:03 | 法務相談カルテ

2017年11月27日

18歳未満の従業員を雇用することはできますか?(法務相談カルテ)

<行政処分等の無料相談(全国対応)>



(プレイグラフ2014年11月号「法務相談カルテ」掲載)

 パチンコ業界では、営業所内に18歳未満の人間を一切入れてはならないと考えている人もいるようですが、それは風営法の次の規定を誤解されているからだと思います。

風営法第22条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
五 十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(第二条第一項第八号の営業に係る営業所にあっては、午後十時(同号の営業に係る営業所に関し、都道府県の条例で、十八歳以下の条例で定める年齢に満たない者につき、午後十時前の時を定めたときは、その者についてはその時)から翌日の日出時までの時間において客として立ち入らせること。)。

 この規定では、18歳未満の者を「客として」立ち入らせることが禁止されていますが、「客として」でなければ立ち入らせてよいということでもあります。ゲームセンター(8号)の場合であれば、たとえ18歳未満の客であっても一定の時間帯であれば入店させてよいことも明記されています。
 つまり、客ではない18歳未満の人間がパチンコ店の中にいたとしても問題にはなりません。しかし風営法第22条では従業者の雇用に関する禁止行為として次の規定もあります。

四  営業所で午後十時から翌日の日出時までの時間において十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。

 つまり、風俗営業では夜10時から翌朝の日の出までの時間帯においては18歳未満の者に接客業務をさせてはならないのです。
 接客とは客に接する業務のことですから、料理人や事務員など客と接しない業務は接客にあたりません。風営法だけを見るならば、18歳未満の従業者であっても、夜10時以降に接客をさせなければ労働させてもよいということになります。
 しかし、労働基準法においては深夜の労働について次のような規定があります。

第六十一条  使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によって使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。

 つまり、労働基準法では原則として夜10時から朝5時までの時間帯は18歳未満の者に労働させることができないので、この点については風営法よりも労働基準法の方がより厳しい規制をしていることになります。交替制がこの規定の例外とされていますが、その場合には行政官庁の許可が必要となりますし、許可を受けられたとしても労働させられる時間が30分延長するだけです。

 言い換えれば、夜10時までの時間帯であれば、パチンコ店において18歳未満の従業員に労働させることが可能です。 しかし、年齢を証明する書面として従業員の住民票記載事項証明書等を事業所に備え付けなければなりませんし、児童(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者)を使用することは禁止されています。
 これら関連するポイントに配慮して従業員を管理できるのであれば、18歳未満の者を雇用することは可能だということになります。
 万一、労働基準法に違反して18歳未満の者を夜10時以降に労働させてしまうと、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処されることとなりえますし、風営法に違反して夜10時以降に接客させてしまうと、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金となります。  
これらの違反は、営業停止処分であれば量定A、つまり営業許可取り消しもありえる重大な違反となります。
もし18歳未満の者を採用するのであれば、夜10時以降に絶対に労働させることがないよう徹底した対策が必要ですので、慎重にご検討いただきたいと思います。

posted by 風営法担当 at 12:56 | 法務相談カルテ