2018年11月05日

海外から労働者を招いて働いてもらうことは可能ですか?

(プレイグラフ2015年1月号「法務相談カルテ」掲載)

 外国人が日本に滞在するためには、出入国管理及び難民認定法(入管法)に定められた27種類の在留資格のいずれかを取得する必要があり、外国人が日本で就労できるかどうかは、その外国人が保有している在留資格で認められている仕事であるかどうかによります。

 例えば、翻訳や通訳の仕事をする場合には、文系の仕事をすることができる「人文知識・国際業務」という在留資格が必要となりますし、エンジニアとして働く場合には、理科系の仕事をすることができる「技術」という在留資格が必要です。

 これらの資格の要件は入管法に基づいて細かく定められています。「人文知識・国際業務」や「技術」の在留資格を得るためには、大学などの教育機関で習得した専門知識や充分な実務経験が必要です。また、外国の料理のコックさんなどが日本で働くための在留資格である「技能」については、その国の料理に特有の調理技能について実務経験や本国での調理師資格の取得などの要件が定められています。つまり、日本で就労するための在留資格を取得するには、高い専門性に見合った学歴や実務経験が必要となります。一方で、工場のラインや建設現場などで単純労働者として働くための在留資格はありません。日本の出入国管理制度では、日本国内の労働者だけではまかなえないほどの高度な専門性を持った人材は受け入れるが、単純労働者は受け入れないという原則があるのです。

 しかし、現実には工場や建設現場で働く外国人を見かけることは珍しいことではありません。なぜなら、27種類の在留資格のなかには「日本人の配偶者」や「定住者」、「永住者」のように、就労に関する制限の無い在留資格があるからです。例えば、日本人の妻や夫、日系二世、三世といった人、また、永住が認められた人などがこれに該当しますが、この人たちは元々日本で生活することを目的として日本での在留が認められており、在留資格での就労制限がないので、工場や建設現場など、どこで働いても大丈夫ということになっています。

 また、最近注目されているのが「技能実習」という在留資格で、すでに多くの工場や建設現場で外国人が技能実習生として働いています。発展途上国には、先進国の進んだ技術や技能、知識を修得して、その国の産業を振興させたいというニーズがあります。そのために労働者を一定期間日本に送り出させて技術や技能を身につけさせることが「技能実習」という在留資格の目的です。

今のところ最長で三年間にわたって日本で在留することが可能ですが、対象となる業種は、2014年4月現在で建設や製造、農業、漁業関係など68職種、126種の作業に限定されており、これに該当する職種であれば、受け入れ可能な人数枠内の技能実習生を受け入れて工場等で働いてもらうことが可能となりますが、パチンコ店営業の技能実習は認められていません。

  なお、飲食店やコンビニなどで外国人留学生がアルバイトをしていることがあります。留学生は日本で留学するための必要経費などを補う目的で、「資格外活動」としてアルバイトをすることが入国管理局から特別に認められることがあるのです。ただし、パチンコ店を含む風俗営業のために留学生が資格外活動を行うことは現在の法令(出入国管理及び難民認定法施行規則)では認められていません。

  パチンコ店営業で外国人が働ける機会は、「日本人の配偶者等」「定住者」「永住者」など一定の身分に基づいてすでに日本に在留している場合に限られています。しかし、パチンコ店を経営している企業であっても、同時に中華料理店を経営しているなどの場合に、その料理店で働く予定のコックが入国管理局から「技能」の在留資格認定証明書の交付を受けて、「技能」の在留資格で入国できるケースがあります。

  つまり、パチンコ店を経営する企業でも業務内容によっては海外から労働者を招聘することはできますし、規制緩和によって外国人労働者が活躍できる機会は今後増えてゆくかもしれません。

(imamura)
posted by 風営法担当 at 14:53 | 法務相談カルテ

2018年01月29日

風営法改正によりパチンコ店の従業者名簿の取扱いはどのように変わったのですか?

(プレイグラフ2014年12月号「法務相談カルテ」掲載)

「風営法に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(以下では「内閣府令」と言うことにします。)」という法令の改正があり、平成26年10月17日から施行されました。

改正前は風俗営業者等が従業者名簿に記載すべき事項の中に「本籍外国籍の従業者の場合は国籍)」が含まれていましたが、改正後は本籍国籍を記載しないでよいこととなりました。

すでに作成された従業者名簿についても、本籍情報を記載しておくことの法的義務が無くなりましたので、従業者のプライバシー保護を重視するうえでは、既存の従業者名簿から本籍等の記載を削除することが望ましいでしょう。

今回の改正では、従業者名簿の作成にあたって必要となる確認資料に関しても改正がありましたが、この部分についてはパチンコ店を含めた遊技場営業には影響がありません。

従業者名簿を備え付けるべき義務はホール営業を含む風俗営業のほか、性風俗特殊営業、一部の飲食店営業などにも及びますが、生年月日と本籍(又は国籍)等を公的証明書で確認する義務については、風俗営業のうち4号と5号の営業に関しては元々及んでいないからです。

従業者名簿に記載する際に、その本籍情報が正しいことを確認するためという理由で、本籍が記載された住民票の写し等を従業者名簿とともに備え付けていたホールは多かったと思いますが、改正後はその必要が無くなったと言えるでしょう。

しかし、外国人を採用する場合には不法就労にあたらないよう、外国人の在留資格や在留期限を確認しておく必要があり、万が一、風俗営業者が不法就労助長罪で刑事処分を受けた場合には、欠格事由に該当することなり、風俗営業許可の取り消しなどの重い処分を受ける恐れもあります。

従って、従業者が日本人なのか外国人なのか、という区別は採用に際して重要な事柄です。

多くの場合、外国人従業者本人が採用時に自分の国籍を正しく申告してくれるであろうと思いますが、それが疑わしい場合には、その従業者の本籍の存在が確認できる住民票記載事項証明書があれば、その従業者が日本国籍であることが確認できます。

国籍を確認するだけの目的であれば、本籍情報の全てが記載された証明書である必要はなく、本籍情報のうちの都道府県までが記載されていれば充分ですから、そのような住民票記載事項証明書を取り寄せさせて日本国籍の有無を確認するという方法もあるでしょう。

なお、風俗営業の中でも1号から3号までにあたる営業(接待飲食等営業)においては、内閣府令改正後は本籍のうちの都道府県名までが記載された住民票記載事項証明書で確認する義務が明記されました。

ホール営業ではそこまでする法的義務はありませんし、このような証明書を全ての従業員について取り寄せさせるのは大変な手間がかかるでしょうから、実際にどうするかは企業独自のに判断によります。

従業者が提出した履歴書の内容で確認すれば充分だという判断もありうるでしょう。国際化が進む中で外国人従業者の採用に関わる入管法違反のリスクは高まって来ていますから、状勢にあわせて柔軟に対応していただきたいです。

18歳未満の者については夜10時以降の労働が制限されていますから、年齢の確認も相変わらず重要ですし、労働基準法によれば18歳未満の従業者がいる事業所では18歳未満の従業者の年齢の証明書(住民票記載事項証明書等)を備えおく義務があります(労基法第57条)。

なお、従業者名簿は電磁的方法で記録することが認められています。

電磁的方法とは、従業者名簿に記載すべき事項をパソコンのソフトウェアなどを用いてハードディスクに記録するなどの方法であると思われます。

今回の改正を機に従業者名簿の管理方法を合理化するのも方策の一つだと思いますが、電磁的記録として管理する場合には、管理されている情報がいつでも直ちに表示できるようにしておく必要がありますので、ご注意ください。

(日野)


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posted by 風営法担当 at 11:03 | 法務相談カルテ

2017年11月27日

18歳未満の従業員を雇用することはできますか?(法務相談カルテ)

<行政処分等の無料相談(全国対応)>



(プレイグラフ2014年11月号「法務相談カルテ」掲載)

 パチンコ業界では、営業所内に18歳未満の人間を一切入れてはならないと考えている人もいるようですが、それは風営法の次の規定を誤解されているからだと思います。

風営法第22条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
五 十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(第二条第一項第八号の営業に係る営業所にあっては、午後十時(同号の営業に係る営業所に関し、都道府県の条例で、十八歳以下の条例で定める年齢に満たない者につき、午後十時前の時を定めたときは、その者についてはその時)から翌日の日出時までの時間において客として立ち入らせること。)。

 この規定では、18歳未満の者を「客として」立ち入らせることが禁止されていますが、「客として」でなければ立ち入らせてよいということでもあります。ゲームセンター(8号)の場合であれば、たとえ18歳未満の客であっても一定の時間帯であれば入店させてよいことも明記されています。
 つまり、客ではない18歳未満の人間がパチンコ店の中にいたとしても問題にはなりません。しかし風営法第22条では従業者の雇用に関する禁止行為として次の規定もあります。

四  営業所で午後十時から翌日の日出時までの時間において十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。

 つまり、風俗営業では夜10時から翌朝の日の出までの時間帯においては18歳未満の者に接客業務をさせてはならないのです。
 接客とは客に接する業務のことですから、料理人や事務員など客と接しない業務は接客にあたりません。風営法だけを見るならば、18歳未満の従業者であっても、夜10時以降に接客をさせなければ労働させてもよいということになります。
 しかし、労働基準法においては深夜の労働について次のような規定があります。

第六十一条  使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によって使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。

 つまり、労働基準法では原則として夜10時から朝5時までの時間帯は18歳未満の者に労働させることができないので、この点については風営法よりも労働基準法の方がより厳しい規制をしていることになります。交替制がこの規定の例外とされていますが、その場合には行政官庁の許可が必要となりますし、許可を受けられたとしても労働させられる時間が30分延長するだけです。

 言い換えれば、夜10時までの時間帯であれば、パチンコ店において18歳未満の従業員に労働させることが可能です。 しかし、年齢を証明する書面として従業員の住民票記載事項証明書等を事業所に備え付けなければなりませんし、児童(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者)を使用することは禁止されています。
 これら関連するポイントに配慮して従業員を管理できるのであれば、18歳未満の者を雇用することは可能だということになります。
 万一、労働基準法に違反して18歳未満の者を夜10時以降に労働させてしまうと、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処されることとなりえますし、風営法に違反して夜10時以降に接客させてしまうと、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金となります。  
これらの違反は、営業停止処分であれば量定A、つまり営業許可取り消しもありえる重大な違反となります。
もし18歳未満の者を採用するのであれば、夜10時以降に絶対に労働させることがないよう徹底した対策が必要ですので、慎重にご検討いただきたいと思います。

posted by 風営法担当 at 12:56 | 法務相談カルテ

2017年10月10日

風俗営業には照度の規制があるのですか(法務相談カルテ)

(プレイグラフ2014年10月号「法務相談カルテ」掲載)

 現在の風営法では風俗営業は1号から5号の種別に分かれており、パチンコ店営業は4号の種別に該当しますが、パチンコ店を含む全ての風俗営業において、店内の照度に関する規制がすでに存在します。
 風俗営業における照度の規制は二種類あります。
一つは<営業所内における実際の照度を一定の基準値内に維持する義務>です。
風営法第14条では、「風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより計った営業所内の照度を、風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める数値以下としてその営業を営んではならない。」とあります。
国家公安委員会規則で定める数値はパチンコ店の場合では10ルクスです(第31条)。
国家公安委員会規則が定める照度の計測方法は、パチンコ店においては次の3つの場所において水平面で計る方法とされています(第30条)。

@営業所に設置する遊技設備の前面又は上面
A遊技設備に対応する椅子の座面及び当該座面の高さにおける客の通常利用する部分(椅子が無い場合は客の通常利用する場所における床)
B通常賞品の提供が行われる営業所の部分

上記の場所における営業中の照度が10ルクス以下であってはならないということです。
「ルクス」は明るさを示す単位ですが、営業所内が何ルクスであるかを肉眼で把握することは困難ですので、正確な照度は照度計を用いて計測しないとわかりません。
一般的なパチンコ店であれば遊技機自体が発する光の影響もありますので、10ルクス以下になってしまう心配は少ないと思いますが、スロットコーナーの隅の椅子あたりで10ルクスに近い暗さになってしまうことはありえるかと思いますし、照明設備の故障や球切れ等によって基準値以下になってしまう恐れがありますので、念のためご注意ください。

もう一つは<照明設備に関する義務>です。
風営法第12条では、「風俗営業者は、営業所の構造及び設備を、第四条第二項第一号の技術上の基準に適合するように維持しなければならない。」とありまして、その「技術上の基準」については、風営法施行規則第8条の中で「第30条に定めるところにより計った営業所内の照度が十ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。」とあります。
つまり、照度が10ルクス以下にならないための充分な照明設備を維持しなければならないので、照明器具が故障したときは必要に応じて照明設備を交換又は新設するなどしてください。照明設備を変更したら、変更後10日以内に公安委員会へ届出を行います。

もし照明設備に照度を調整できる機能が付属している場合はご注意ください。風営法解釈運用基準(第11-8-(3))では「・・・照度の基準に満たない照度に自由に変えられるスライダックス等の照明設備を設けることは認められない。」とあります。つまり、照度を10ルクス以下に変更できる機能が付属している照明設備は、照度を維持するための設備としては認められないということになり、速やかに調光機能を除去するなどしないと構造設備維持義務違反になってしまう恐れがあります。

照度規制はパチンコ店ではあまり意識されていないポイントですが、構造設備の変更承認申請手続で行われる
構造設備検査の際に、調光設備が行政職員によって発見されて問題になることがあります。もしご存知でなかった方は一度照明設備をチェックしておかれるとよいでしょう。



posted by 風営法担当 at 09:16 | 法務相談カルテ

2017年05月01日

地番表示と住居表示はどう違うのですか?(法務相談カルテ)

(プレイグラフ2014年9月号「法務相談カルテ」掲載)

住所を表示する方法には「地番表示」と「住居表示」の2種類があります。

地番表示は法務局で登記されている土地の番号を意味しており、ほとんど全ての土地について、町名につづいて「1番2」などのように表記されます。特殊な事情によって不動産登記がされていないため番号が付されていない土地がありますが、これを「番外地」とか「無番地」などと言います。

不動産登記では建物に家屋番号という番号を振り当てますが、その表示はその建物の敷地と同じ番号を振り当てることになっていますので、敷地が「1番地2」であれば家屋番号は「1番2」となり、もし同じ土地上に二つ以上の建物が存在することになったときは、二つ目以降の建物について枝番がつけられます。なお、土地の登記簿で土地を表示する際には「1番2」などと表記しますが、建物の敷地を表示する際には「1番地2」のように「番」ではなく「番地」と表記します。正しい地番を確認したいときには、該当する土地の不動産登記情報を閲覧するなどしてください。

地番表示は土地の番号を元にした表示ですから、その土地がとても大きかったり、形状が複雑で隣の土地と入り組んでいたりした際には、その土地上の建物が地番で表示されていても、建物の場所を特定しにくい点が問題です。建物が比較的に少ない地域であれば地番表示でも建物を特定できますが、都市化がすすんで建物が密集している地域では、地番表示を頼りに住所を特定しようとすることはとても難しいため、郵便物を配達する際などにとても不便です。

この問題を解決するため昭和37年に制定された「住居表示に関する法律」では、市町村が市街地のなかで住居表示が必要であると思われる区域を定めて、その区域内の建物ひとつひとつに番号を付すこととなりました。 
これを「住居表示」と言い、一般的には「○○何丁目何番何号」という表記になります。住居表示の中の「何番」の部分を街区番号、「何号」の部分を住居番号と言います。地番表示で用いられる数字と住居表示における数字が似ている場合がありますが、全く異なることもあります。

住居表示は建物の位置をわかりやすくすることが目的なので、表示の割り振りにあたっては地域ごとに一定の法則があります。例えば東京23区の場合は、皇居に一番近い街区を「1番」とし、そこから時計回り又は反時計回りのいずれかで「2番」「3番」と街区が順番に並んでいます。もし正しい住居表示を確認したい場合は、その建物の場所を管轄する市町村に問い合わせてください。

住居表示がまだ実施されていない地域では地番表示を使用するしか方法がありませんが、すでに住居表示が実施されている区域では、住所を表示するにあたって「地番表示」と「住居表示」の二種類の方法が存在しています。しかし「住居表示に関する法律」では、何人も住居表示を用いるように努めなければならないとされていますので、会社の本店所在地や営業所所在地、住所等において住居表示が実施された場合には住居表示を使用するべきということになります。

例えば、風俗営業を行う会社の本店所在地や営業所所在地、法人の役員の住所、管理者の住所などの情報は風俗営業の許可を受けるにあたって営業者から公安委員会に申請されている情報ですので、許可を受けた後で住居表示が実施された場合には、市区町村から交付された住居表示実施証明書を添えて公安委員会に住所等の変更の届出を行う必要があります。正確な情報が監督官庁に通知されないと、行政庁からの通知が届かなくなるなど様々の問題が発生する恐れがあります。但し、営業所所在地の変更については風営法で届出義務が明記されていませんので、営業所所在地で住居表示が実施された場合の具体的な手続の方法や手続の必要性については各都道府県公安委員会の判断に従ってください。

建物の新築、建替え、改築等により建物の出入口が変わったときは、新たに住居表示を決定する必要があるかもしれないので、市区町村へ届出を行う必要があります。また、住居表示は地域によって表示方式が若干異なる事がありますので、行政手続などのために正確な住居表示を確認されたい場合は、その住所を管轄する市町村へ問い合わせて確認してください。



posted by 風営法担当 at 11:26 | 法務相談カルテ