A,会社が他の会社と新たに取引をはじめる場合には、新規取引先となる会社の基本的な情報を得るために、その相手方の会社の登記事項証明をみずから法務局で取得したり、相手方の会社から譲り受けたりすることがよくあります。
なお、「登記簿謄本と登記事項証明は違うものですか?」という質問がよくありますが、会社の登記に関する事務がコンピューターで行われているために登記事項が電子データとして保管されている法務局では、電子データの内容を印刷して発行するので「登記事項証明」として発行されます。
紙に書かれた簿冊(いわゆる登記簿)で登記事項を管理している法務局では、登記簿に書かれた内容をコピーして発行するので「登記簿謄本」(謄本とは複写した紙という意味です。)という証明書を発行します。どちらも証明されている内容は同じですが、現在はほとんど全ての法務局がコンピューター化されていますから、基本的にどこで取得しても「登記事項証明」が交付されます。
新たな取引を始める際に取引相手の登記情報を見れば、様々なことを分析することができるので、安全な取引を始めようとするうえで登記情報には重要な意味があります。
もし法務局で登記されている情報が不正確であれば、取引の相手は安全で円滑な取引を行うことはできません。
たとえば契約にあたって、相手側の「取締役」と称する人物が登記されていないような場合には、その「自称取締役」の実在を確認できないので、そのような相手と契約することは危険だと考えることができます。
このように登記情報は企業間の円滑な取引のためにも重要な意味を持っていますので、会社の状況の変化に応じて常に正確な状況を登記しておくことは、会社の信用を維持しておくために最低限行っていなければならないことです。
会社の役員や本店の所在地が変更された場合などにも、変更の登記を行う必要がありますが、変更の内容ごとに登記すべき期間が定められています。原則として、登記の事由が発生したときから、本店の所在地においては2週間以内、登記された支店の所在地においては3週間以内に登記を行う必要があります。(会社法第915条、第930条など)
この期間内での登記を怠って、時間が経過してから登記を申請しても、登記期間を過ぎているという理由だけで登記申請が却下されるわけではありませんが、申請を怠った会社の代表者に過料という制裁がなされる場合があります。過料とは、「あやまち」と書いていることからわかるとおり、行政上行わなければならない義務に違反したりした場合に科される行政罰であって、刑事罰ほどに深刻な処分ではありません。
パチンコ店が風俗営業の許可を受けようとする際に、「一定の罰金刑を受けたことがないこと」といった要件を満たしている必要がありますが、「過料」は刑事罰ではありませんので、過料を受けたことがあっても許可の可否に影響はありません。
登記の遅滞に関する過料の額は、100万円以下の範囲で裁判所が決めることになっています(会社法第976条第一項第一号など)が、実際に100万円の過料の制裁が行われるということはほとんどなく、だいたい3万円から10万円程度となっていることが多いようです。
登記事項証明書に記載されている内容は、現在のその会社の基本的な状況を反映していると考えることができます。ここには、商号、本店所在地、事業目的、資本金額、株式数、役員など法令で定められた内容が記載されています。そのほか会社によっては、新株予約権や種類株式に関することや、有限会社から株式会社に組織変更されたこと、本店の所在地が移転しているといったことなども、登記情報の記載で確認することができますが、これらの変更に関する情報についても、変更後速やかに登記申請を行う必要があります。
以上のとおり、会社の変更登記は会社の信用維持のために重要なことですので、登記手続きを適切に管理して、登記を怠りなく行っていただきたいです。
2021年11月21日
役員変更の登記は変更の都度行うのでしょうか?
posted by 風営法担当 at 19:25
| 法務相談カルテ
2021年10月11日
ホール業界のコンプライアンスはどうなってゆきますか?(法務相談カルテ2016年1月号)
日本社会は完璧な法令遵守に向かって着実に変化してきました。その流れは変わらないので、今後もよりいっそう法令順守が徹底されることになりますが、ホール業界もその流れに逆らうことは出来ません。
どこの業界でも、完璧なコンプライアンスを実現することは難しいことですが、完璧な状態に向かって常に変化しています。業界としてのコンプライアンスには波があり、その業界が置かれた環境の変化や、ちょっとしたきっかけによって、コンプライアンスの状況も劇的に変化することがあるものです。
たとえば建設業界であれば、2005年に建物の耐震強度構造計算書の偽装が発覚して、耐久性に問題のある建物の存在や、建築確認制度の形骸化等が社会問題となり、建築基準法の改正などの影響もあって建設着工戸数が減少し、倒産する企業が増加しました。
ホール業界においても、昨年は法的に問題のある遊技機の存在や、遊技機の性能に関連する諸制度の形骸化が懸念される事態となり、業界全体で混乱が見られました。
これらは全て、業界が「本来あるべき姿」に改善されてゆく過程で起きていることであって、改善が進めばいずれ安定に向かいますが、もし不完全な、又は形だけで意味の薄い改善で終わらせてしまえば、時間が経過するにつれて矛盾が表面化し、再び「本来あるべき姿」に近づくための混乱が生まれることになります。
建設業界では昨年(2015年)に杭打ちデータの改ざんが発覚し、傾斜するおそれのあるマンション等の実態が懸念される事態となりました。問題を根本から改善しないで、見せ掛けだけの改善で終わらせても、「見せ掛け」のコストばかりが膨らんだ上、根本的な解決策を見出せなくなって消費者から信頼を失ってしまい、さらに大きな負担を重ねる結果となります。
ホール業界はこれまで法令順守に向かって着実に成果を積み重ねて来ましたが、今はとても大きな課題の解決に取り組んでいるところであり、当然ながらその変化の影響を受けて、企業経営上の混乱が避けがたい状況となっていますが、これらの問題を積極的に解決してゆくことは、業界の発展のために意味があることであり、これを乗り切れば安定した営業を行える状況が待っているものと思います。
ホール営業を規制している風営法は、ぱちんこ営業が社会にとって存在価値のある営業として存続してゆくうえで必要なルールを定めています。もし風営法が無くなれば、ぱちんこ業界は無秩序となって、社会からの期待を無視して利益を追求するだけの無価値な業界へと変貌し、やがて社会の支持と理解を失って存続できなくなります。
ホール業界に所属している皆さんは、風営法の存在意義をよく理解しておかなければなりません。そして、法令や通達をよく確認し、規制の趣旨やその背景にある世論の動向にも配慮することが重要です。
法令には必ず、その法令が達成しようとする目的があります。業界の健全化や合理性の面で、法令が現実にそぐわない部分があれば、その目的を効率よく達成できるよう法令改正の提言を行うことも重要です。利益を追求するだけで、社会から納得を得るための工夫をしないような業界になってしまえば、ぱちんこ業界の存続は難しいと思います。
パチンコ営業は射幸心をそそる営業ですが、その「そそる」ということの程度が社会にとって適度で許容できる範囲であることが絶対に維持されなければなりません。
そのための諸制度が形骸化し、規制が充分に守られないような状況となれば、法に基づいて処罰を受けたり、法規制が強化されたりすることによって、営業が困難になってしまうのもやむをえないことです。
そのようなことにならないよう今も努力が重ねられており、今後の変化に期待したいところですが、その結果がどうであれ、影響はホール営業の現場に及びます。
皆さんには、今起きている様々の変化を前向きに捉えて、遅れを取らないようにしていただきたいです。
娯楽は人間にとって必要不可欠なものです。今年は、社会に本当の楽しみを与える娯楽産業となる道筋を模索する一年になってほしいと期待しています。
どこの業界でも、完璧なコンプライアンスを実現することは難しいことですが、完璧な状態に向かって常に変化しています。業界としてのコンプライアンスには波があり、その業界が置かれた環境の変化や、ちょっとしたきっかけによって、コンプライアンスの状況も劇的に変化することがあるものです。
たとえば建設業界であれば、2005年に建物の耐震強度構造計算書の偽装が発覚して、耐久性に問題のある建物の存在や、建築確認制度の形骸化等が社会問題となり、建築基準法の改正などの影響もあって建設着工戸数が減少し、倒産する企業が増加しました。
ホール業界においても、昨年は法的に問題のある遊技機の存在や、遊技機の性能に関連する諸制度の形骸化が懸念される事態となり、業界全体で混乱が見られました。
これらは全て、業界が「本来あるべき姿」に改善されてゆく過程で起きていることであって、改善が進めばいずれ安定に向かいますが、もし不完全な、又は形だけで意味の薄い改善で終わらせてしまえば、時間が経過するにつれて矛盾が表面化し、再び「本来あるべき姿」に近づくための混乱が生まれることになります。
建設業界では昨年(2015年)に杭打ちデータの改ざんが発覚し、傾斜するおそれのあるマンション等の実態が懸念される事態となりました。問題を根本から改善しないで、見せ掛けだけの改善で終わらせても、「見せ掛け」のコストばかりが膨らんだ上、根本的な解決策を見出せなくなって消費者から信頼を失ってしまい、さらに大きな負担を重ねる結果となります。
ホール業界はこれまで法令順守に向かって着実に成果を積み重ねて来ましたが、今はとても大きな課題の解決に取り組んでいるところであり、当然ながらその変化の影響を受けて、企業経営上の混乱が避けがたい状況となっていますが、これらの問題を積極的に解決してゆくことは、業界の発展のために意味があることであり、これを乗り切れば安定した営業を行える状況が待っているものと思います。
ホール営業を規制している風営法は、ぱちんこ営業が社会にとって存在価値のある営業として存続してゆくうえで必要なルールを定めています。もし風営法が無くなれば、ぱちんこ業界は無秩序となって、社会からの期待を無視して利益を追求するだけの無価値な業界へと変貌し、やがて社会の支持と理解を失って存続できなくなります。
ホール業界に所属している皆さんは、風営法の存在意義をよく理解しておかなければなりません。そして、法令や通達をよく確認し、規制の趣旨やその背景にある世論の動向にも配慮することが重要です。
法令には必ず、その法令が達成しようとする目的があります。業界の健全化や合理性の面で、法令が現実にそぐわない部分があれば、その目的を効率よく達成できるよう法令改正の提言を行うことも重要です。利益を追求するだけで、社会から納得を得るための工夫をしないような業界になってしまえば、ぱちんこ業界の存続は難しいと思います。
パチンコ営業は射幸心をそそる営業ですが、その「そそる」ということの程度が社会にとって適度で許容できる範囲であることが絶対に維持されなければなりません。
そのための諸制度が形骸化し、規制が充分に守られないような状況となれば、法に基づいて処罰を受けたり、法規制が強化されたりすることによって、営業が困難になってしまうのもやむをえないことです。
そのようなことにならないよう今も努力が重ねられており、今後の変化に期待したいところですが、その結果がどうであれ、影響はホール営業の現場に及びます。
皆さんには、今起きている様々の変化を前向きに捉えて、遅れを取らないようにしていただきたいです。
娯楽は人間にとって必要不可欠なものです。今年は、社会に本当の楽しみを与える娯楽産業となる道筋を模索する一年になってほしいと期待しています。
posted by 風営法担当 at 14:02
| 法務相談カルテ
2021年09月13日
「無断駐車は10万円の罰金」と表示したいのですが(法務相談カルテ2015年12月号)
コインパーキングなどで、よく「無断駐車」罰金○○万円などと書いてあるのをみかけます。もし、こういった駐車場などに無断駐車をしてしまった場合、無断駐車をした人は、その金額を全額支払う必要があるのでしょうか?
民法では、第420条に損害額の予定についての定めがあり、契約に際して、契約に違反した場合の違約金の額をあらかじめ定めておくことが可能です。駐車場の看板も、これを事前に定められた違約金であると考えれば、違約金として表示した金額を、無断で駐車した人に対して請求することができるようにも思えます。
ところが、ある判例では、コインパーキングに駐車した車両がフラップ版をタイヤで踏んだ状態で駐車し、料金を払わずに出庫してしまったというケースにおいて、その駐車場の看板に表示されていた「罰金10万円」については、「本件車両は、最初から駐車料金を払う意思もないことから、契約の申し込みの意思表示が無く、駐車場を利用するという契約は成立していない。したがって、契約の成立を前提とする違約金は発生しない。」と判断されています(岐阜地方裁判所平成21年10月21日)。
駐車場を利用する人と無人の駐車場の管理者の間で相互に契約を成立させるための意思表示ができていなのなら、まだ契約が成立していない。つまり、利用者がお金を自動精算機に入れるなどの行為があってはじめて、利用者は管理者との間で駐車場を使用する契約に同意したことになる、ということなので、フラップ版を踏みつけるなど、「利用者が最初からお金を払う意思がない」場合には、そもそも駐車場管理者との間での契約が成立していないから、利用者は契約どおりの違約金を払う義務がないということになるのです。
正直者がバカをみる判決のようにも思えてきますが、ここで注意しなければいけないのは、この判決が「10万円」という罰金(違約金)に対するものであるということです。これが正規の<駐車料金>の請求であれば、全く違う結果になったのではないかと思えます。
つまり、その駐車場の利用料相当額については、店舗側から無断利用者に対して「使ったのだから払え」という主張はできるわけです。
では、ホールの利用客に対して無料で利用させている駐車場の場合はどうでしょう。
看板で表示した違約金の請求が認められないならば、無断駐車に対して対抗することはできないのでしょうか。
店舗専用駐車場は、その店舗を利用する客のために設置したのですから、客ではない人によって無断で駐車されてしまうと、店舗を利用する人が使う駐車スペースが減ってしまい、それによって店舗側は経済的な損害を受けたと考えることができるので、その損害分を請求することは可能だと思われます。
なお、「罰金」という言葉は、法律的には犯罪に対する刑罰の一種を意味するものです。駐車場管理者が高額な罰金を徴収するという表現は、無断利用者に対していかにも私的制裁を行っているかのようなマイナスイメージをもたれてしまうことも懸念されますし、常識を外れた高額の違約金は公序良俗に反するとして、裁判所が無効と判断することもありえます。
どの程度の請求金額が常識の範囲なのかは、その駐車場の付近の相場を元に考えることになります。しかし、店舗側が駐車を認めていない状態での無断駐車ですから、一般の相場に基づいた料金を支払わせるだけでは無断駐車を予防できないでしょう。
なお、鉄道の旅客運送規則では不正乗車についての追徴金が正規料金の2倍以上となっている場合が多いことから、通常料金を含めて3倍の料金を請求することは常識の範囲内であろうと思います。
なお、駐車場の無断利用は建造物侵入として犯罪にもなりえますので、警察に通報するなどの措置を警告の材料として使うこともありえると思います。
民法では、第420条に損害額の予定についての定めがあり、契約に際して、契約に違反した場合の違約金の額をあらかじめ定めておくことが可能です。駐車場の看板も、これを事前に定められた違約金であると考えれば、違約金として表示した金額を、無断で駐車した人に対して請求することができるようにも思えます。
ところが、ある判例では、コインパーキングに駐車した車両がフラップ版をタイヤで踏んだ状態で駐車し、料金を払わずに出庫してしまったというケースにおいて、その駐車場の看板に表示されていた「罰金10万円」については、「本件車両は、最初から駐車料金を払う意思もないことから、契約の申し込みの意思表示が無く、駐車場を利用するという契約は成立していない。したがって、契約の成立を前提とする違約金は発生しない。」と判断されています(岐阜地方裁判所平成21年10月21日)。
駐車場を利用する人と無人の駐車場の管理者の間で相互に契約を成立させるための意思表示ができていなのなら、まだ契約が成立していない。つまり、利用者がお金を自動精算機に入れるなどの行為があってはじめて、利用者は管理者との間で駐車場を使用する契約に同意したことになる、ということなので、フラップ版を踏みつけるなど、「利用者が最初からお金を払う意思がない」場合には、そもそも駐車場管理者との間での契約が成立していないから、利用者は契約どおりの違約金を払う義務がないということになるのです。
正直者がバカをみる判決のようにも思えてきますが、ここで注意しなければいけないのは、この判決が「10万円」という罰金(違約金)に対するものであるということです。これが正規の<駐車料金>の請求であれば、全く違う結果になったのではないかと思えます。
つまり、その駐車場の利用料相当額については、店舗側から無断利用者に対して「使ったのだから払え」という主張はできるわけです。
では、ホールの利用客に対して無料で利用させている駐車場の場合はどうでしょう。
看板で表示した違約金の請求が認められないならば、無断駐車に対して対抗することはできないのでしょうか。
店舗専用駐車場は、その店舗を利用する客のために設置したのですから、客ではない人によって無断で駐車されてしまうと、店舗を利用する人が使う駐車スペースが減ってしまい、それによって店舗側は経済的な損害を受けたと考えることができるので、その損害分を請求することは可能だと思われます。
なお、「罰金」という言葉は、法律的には犯罪に対する刑罰の一種を意味するものです。駐車場管理者が高額な罰金を徴収するという表現は、無断利用者に対していかにも私的制裁を行っているかのようなマイナスイメージをもたれてしまうことも懸念されますし、常識を外れた高額の違約金は公序良俗に反するとして、裁判所が無効と判断することもありえます。
どの程度の請求金額が常識の範囲なのかは、その駐車場の付近の相場を元に考えることになります。しかし、店舗側が駐車を認めていない状態での無断駐車ですから、一般の相場に基づいた料金を支払わせるだけでは無断駐車を予防できないでしょう。
なお、鉄道の旅客運送規則では不正乗車についての追徴金が正規料金の2倍以上となっている場合が多いことから、通常料金を含めて3倍の料金を請求することは常識の範囲内であろうと思います。
なお、駐車場の無断利用は建造物侵入として犯罪にもなりえますので、警察に通報するなどの措置を警告の材料として使うこともありえると思います。
posted by 風営法担当 at 17:02
| 法務相談カルテ
2021年08月31日
許可条件付加のため弁明通知書が交付されたのですが(法務相談カルテ2015年9月号)
弁明通知書と聞くと、法令違反よって処分を受けてしまうのかと想像されがちです。確かに弁明通知書は、公安委員会が営業者に対して不利益な処分を行う際に、営業者に対して弁明の機会を与える目的で交付されるものですが、法令違反に関係が無い場合でも、「許可条件の付加」のような不利益な処分が行われる場合がありえます。
「許可条件の付加」は風営法第三条第二項に基づいて行われる行政処分のことです。
風営法第三条第二項
公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、前項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。
公安委員会が風俗営業を許可するときに、その許可に特定の条件を付けることがあります。例えば、許可される営業所の照明設備に調光機能の一部が残存しており、それが照度に関する基準にただちに抵触してはいないものの、開業後に照度規制違反が懸念されるような場合には、「照度の基準に満たない照度に変えられる設備を設けないこと。」といった条件が付加されて営業が許可されることがあります。
ホール営業においては、遊技機について「ハンドルを固定させた状態で客に遊技をさせてはならない。」といった趣旨の条件が付加されていることがあります。
そして最近多くなっているのは「営業所を拡張してはならない。」という条件の付与です。これは、許可後に営業所所在地が建築基準法の用途規制を受けたり、営業所周辺に保護対象施設(学校・病院・児童福祉施設ほか)が開設されたりしたことによって、その営業所の所在地では新たに風俗営業を開業できくなった場合に、公安委員会が既存の営業所の拡張を阻止する目的で営業許可に条件を付加するものです。
営業許可後に付加される条件は、公安委員会が必要と認めたときに公安委員会の判断で行われますが、店舗改装などにともなって行われる構造設備の変更の承認の直後に行われるケースがよくあります。これは構造設備の変更承認申請手続において提出される「営業所周辺の略図」によって、最新の用途規制や新たな保護対象施設の存在が公安委員会によって把握されることが多いからでしょう。
「営業所を拡張してはらない。」という条件が付加されているにも関わらず、それを知らずに、又は無視して営業所を拡張してしまうと、許可条件違反として営業許可の取り消しや営業停止(量定C)などの行政処分を受けることとなりえます。
営業許可に条件を付加されることは営業者にとっては不利益なことなので、許可に条件が付与されるにあたっては、その処分に対して意見陳述(弁明)するための機会が営業者に与えられますが、その際に交付される書面が弁明通知書です。営業者が弁明通知書を受領してから一定期間が経過したら、営業者は風俗営業許可証を公安委員会に提出し、風俗営業許可証の裏面に許可の条件に関する記載を追加されるか、又はすでにある記載を変更されることとなります。つまり、許可の条件の有無は風俗営業許可証の裏面を見ることで確認することができます。
構造設備について変更承認申請が必要となるような変更を行おうとする場合には、用途規制や保護対象施設の状況をあらかじめ調査しておき、許可の条件が付与される可能性について検討しておきましょう。
もし許可に条件が付される可能性がある場合には、それによってどのようなデメリットが生じうるかといったことを含め、事前に対策を講じておくことをおすすめします。
「許可条件の付加」は風営法第三条第二項に基づいて行われる行政処分のことです。
風営法第三条第二項
公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、前項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。
公安委員会が風俗営業を許可するときに、その許可に特定の条件を付けることがあります。例えば、許可される営業所の照明設備に調光機能の一部が残存しており、それが照度に関する基準にただちに抵触してはいないものの、開業後に照度規制違反が懸念されるような場合には、「照度の基準に満たない照度に変えられる設備を設けないこと。」といった条件が付加されて営業が許可されることがあります。
ホール営業においては、遊技機について「ハンドルを固定させた状態で客に遊技をさせてはならない。」といった趣旨の条件が付加されていることがあります。
そして最近多くなっているのは「営業所を拡張してはならない。」という条件の付与です。これは、許可後に営業所所在地が建築基準法の用途規制を受けたり、営業所周辺に保護対象施設(学校・病院・児童福祉施設ほか)が開設されたりしたことによって、その営業所の所在地では新たに風俗営業を開業できくなった場合に、公安委員会が既存の営業所の拡張を阻止する目的で営業許可に条件を付加するものです。
営業許可後に付加される条件は、公安委員会が必要と認めたときに公安委員会の判断で行われますが、店舗改装などにともなって行われる構造設備の変更の承認の直後に行われるケースがよくあります。これは構造設備の変更承認申請手続において提出される「営業所周辺の略図」によって、最新の用途規制や新たな保護対象施設の存在が公安委員会によって把握されることが多いからでしょう。
「営業所を拡張してはらない。」という条件が付加されているにも関わらず、それを知らずに、又は無視して営業所を拡張してしまうと、許可条件違反として営業許可の取り消しや営業停止(量定C)などの行政処分を受けることとなりえます。
営業許可に条件を付加されることは営業者にとっては不利益なことなので、許可に条件が付与されるにあたっては、その処分に対して意見陳述(弁明)するための機会が営業者に与えられますが、その際に交付される書面が弁明通知書です。営業者が弁明通知書を受領してから一定期間が経過したら、営業者は風俗営業許可証を公安委員会に提出し、風俗営業許可証の裏面に許可の条件に関する記載を追加されるか、又はすでにある記載を変更されることとなります。つまり、許可の条件の有無は風俗営業許可証の裏面を見ることで確認することができます。
構造設備について変更承認申請が必要となるような変更を行おうとする場合には、用途規制や保護対象施設の状況をあらかじめ調査しておき、許可の条件が付与される可能性について検討しておきましょう。
もし許可に条件が付される可能性がある場合には、それによってどのようなデメリットが生じうるかといったことを含め、事前に対策を講じておくことをおすすめします。
posted by 風営法担当 at 09:09
| 法務相談カルテ

