2015年12月30日

内容証明郵便はどんなときに使うのですか?(法務相談カルテ)

(プレイグラフ2013年7月号「法務相談カルテ」掲載)

 内容証明郵便とはその名のとおり、配達した郵便物の内容である文書の内容について証明を受けることができる特殊な郵便のことです。
 たとえば誰かに金銭の支払いを請求したいときに、普通郵便で請求書を送ってしまうと、郵便物は相手のポストに投函されるだけですので、いつ、誰に、どのような内容の文章が届いたのかということを証明することはできません。
 もし相手から「そんな請求書は届いていません。」と言われた場合に、自分が相手に請求書を送った事実を証明する証拠が無ければ困ってしまいます。
 このような問題を解決する方法として、郵便局では郵便認証司という職員が郵便物の差出人、差出日付、宛先、文書の内容について認証する手続を取り計らってくれるサービスがあり、このような認証を受けて郵送される郵便のことを内容証明郵便といいます。
 郵便認証司が認証した日付は「確定日付」と言い、文書の作成日として完全な証拠力を認められた日付として取り扱われます。
 金銭の請求、契約の解除、指名債権の譲渡の通知など、その利用の場面は様々です。
 内容証明郵便を利用したい場合には、まず一定の文字数制限に従った文書を、手書きでもワープロでもよいので3部(一部を作成してコピーしても結構です。)作成し、差出人と受取人の住所氏名を記載した封筒をひとつ用意して郵便局に行きます。
 様式は文房具店などで簡単に購入することもできます。
 内容証明郵便は全ての郵便局で取り扱っているわけではなく、集配郵便局か、支社が指定した特定の郵便局でしか扱われていませんのでご注意ください。
 直前に文書の内容を訂正したり、2ページ以上にわたるため契印を押す必要が生じることがありますので、印鑑を持参されておくとよいでしょう。
 認証を受けた文書には「この郵便物は○年○月○日第○号書留内容証明郵便物として差し出されたことを証明します。」との文言が入ったスタンプと郵便認証司の日付印が押され、その謄本1通を受け取ります。
 料金は郵便の基本料金と書留料金に内容証明分の加算料金(430円)を合計した金額となりますが、文書の2枚目以降は250円ずつ加算されます。
 内容証明郵便は相手方に郵便が配達した事実までは証明されますが、実際に相手に届いたかどうかや相手に届いた日付は証明されませんので、配達証明で郵送されることをお勧めします。
 差出した日から5年以内は、手数料を払えば差出郵便局に保存されている内容証明郵便の謄本の閲覧を請求することができますし、内容証明郵便で配達した文書の謄本について証明を受けることもできます。
 また、電子内容証明といって、パソコン端末からインターネット回線を使って利用できるサービスもあります。電子内容証明なら郵便局に行かないでも24時間好きな時間に内容証明郵便を利用することができます。
 内容証明郵便を利用することで、相手に郵送した文書の内容とその事実を証明することが可能になりますが、その文書の内容が法的に正しいことを保証するものではありません。 
 内容証明郵便は法的紛争の一歩手前の段階でよく利用されますから、相手方に訴訟の予感を与えることになります。つまり、それなりの覚悟を持って慎重に利用する必要があります。
 また、相手に送る文書の内容は本人が自己責任で作成するものであり、その内容が相手に届いたことによって有利に働くこともあれば不利に働くこともありえますから、よく考えて慎重に文章を作成しましょう。





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2015年09月24日

ホールで高校生に遊技させてもよいのでしょうか?

回答
風営法は風俗営業者に対し、18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせることを禁止しています(風風営法第22条第1項第5号)。
風営法が年少者の入場を規制しているのは、パチンコ遊技が年少者の健全育成にとって良くない影響を与えるおそれがあると考えられているからでしょう。
風営法違反に問われるのは「年少者である客」ではなく「営業者」です。
「年少者がパチンコ店に入ってはならない」のではなく、「パチンコ店が年少者を店内に入れてはらない」のです。
「年少者を営業所内に立ち入らせない義務」に違反することは、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、行政処分においてはB量定(40日以上6月以下 基準3月)にあたります。
 入店しようとする客がたとえ高校生であっても、すでに「18歳以上」であれば「18歳未満」ではないので、入場させても違法ではありません。しかし、営業者は入店のルールや条件を独自に定めることができますので、すでに18歳以上になっている客であっても、その客がまだ高校生であるという理由で入店を拒否することはできます。
 入場できる年齢を20歳以上に限定することや、刺青のある人、泥酔者、過去に店内でトラブルを起こした人の入店を禁止するなど、合理的な理由があればホールの経営判断で独自の入場制限を設けられます。
つまり、18歳未満かどうかに関係なく、学業に励むべき高校生にパチンコ遊技を行わせないことをホール独自のルールとして定めることは社会への配慮として充分ありえることです。
 但し、こういったことはあらかじめ文章で定めて、入場者にとってわかりやすい方法で店内又は入り口などに掲示しておいた方がよいでしょう。もともと風俗営業者には、18歳未満の者が店内に立ち入れないことを営業所の入り口に表示しなければならない義務もあります(風営法18条)。
 立入り禁止の表示は、客が出入できる全ての入口で、しかも客が入店する際にはっきりとわかるように表示してください。従業員しか使用しない入り口には表示は不要です。
営業所に入る前に、客が「立入り禁止表示」に気がつくような位置に、見やすい充分な大きさとデザインで表示しましょう。一般的に風除室は営業所に含まれますが、他店舗施設等との関係で営業所の入り口が意外な位置に所在している場合がありますので、営業所の範囲がどこまでであるかを、公安委員会に提出した図面等を参考にして入り口を特定してください。
 「外見として18歳未満である可能性がある客」を店内に認めた場合には、身分証明書の提示を求めるなどして年齢確認を行うべきではありますが、あくまで客の任意で行う必要があります。
 店内にはあらかじめ「年齢確認の協力のお願い」などをポスターで掲示し、「年齢を確認できない場合には営業所からご退場いただくことがあります。」などの文言を記載しておくことをおすすめします。
 年齢確認を行った場合は、その記録を管理しましょう。なぜ、いつ、誰が、どのような客に対して年齢を確認し、その結果がどうであったか等を記録しておけばよいでしょう。
 これらは年少者の入店が後日発覚した際に、ホールの日頃の努力をうかがわせる資料としても重要です。
最後に一つご注意いただきたいことは、年少者は体力も判断力も劣っていることがありますので、年少者の安全確保のためにやむをえず入場を認めるべき場合があるということです。
 たとえば、離れ離れになった親を探すために小学生や幼児が入店してきた場合などには、安全確保のために一時保護するなどの措置がありえます。風俗環境や健全育成よりも「人命の安全」の方が重要なのですから。
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2015年09月02日

特例風俗営業者とは何ですか?

(プレイグラフ2013年4月号「法務相談カルテ」掲載)

 風俗営業の許可を受けている事業者のうち一定の要件を満たした風俗営業者は、都道府県公安委員会から特例風俗営業者として認定されると、一定の優遇措置が受けられます。
 その趣旨は、一定の期間にわたり適正な営業を継続してきた営業者について、その実績を評価・称揚するとともに、その遵法意識に期待して一定の規制緩和などの優遇措置を設けることにより、営業者全体を健全営業へ誘導しようとするものです。但し、同じ「認定」でも、遊技機の認定とは別の制度です。
 特例風俗営業者の認定を受けた場合の優遇措置には次のようなものがあります。

A 本来であれば事前承認手続(変更承認申請)が必要な構造設備の変更であっても、変更後の届出だけで済みます。店舗を改装する際には公安委員会へ変更承認申請を行い、工事完了後に構造設備の検査を受けて、問題がなければ構造設備の変更に関する承認を得られますが、その承認の通知を受けるまでは変更部分を使用できないので、構造変更承認を行う際には一時的に営業を中断してしまうことがあります。
 そのような場合でも、特例風俗営業者であれば工事完了後に変更届出書を提出だけでよいので、変更に関する承認通知を待たずに営業を再開できます。

B 同一の管理者について、2度目以降の管理者講習が免除になります。但し、同一人、同一店舗に限ります。 本来であればおよそ3年ごとに管理者講習を受けなければなりません。

C 遊技機の認定申請の際に添付する保証書を管理者が作成できます。メーカーの保証書でなくとも認定申請を行うことができるのです。ただし、管理者は公安委員会が認める一定の能力(遊技機取扱主任者の資格)を持っていなければなりません。 

D 特例風俗営業者であることの認定証明書が公安委員会から交付され、その認定証明書を店内に掲示することができます。

 以上のメリットのうち特に注目していただきたいのは、構造設備の変更の承認が不要となる点です。遊技機の変更については相変わらず承認が必要ですが、店舗リニューアルの際には大きなメリットです。
 営業者が認定を受けるためには、認定を受けようとする事業者が以下の3つ、全ての要件を満たす必要があります。
 (1)風俗営業の許可を受けてから10年以上にわたって風営法による処分を受けたことがなく、受ける事由もないこと。
(2)過去10年間に管理者について解任の勧告を受けていないこと。
(3)過去10年間に管理者講習をきちんと受講していること。

 要するに、10年以上にわたってしっかり法令遵守をしていればよいということですが、営業所としてではなく事業者として、以上3つの要件を満たしていなければなりません。
 たとえば、ある会社が経営している複数の営業所のうち、過去10年以内に指示処分を受けたことのある店舗が一店舗でも存在していれと認定を受けることができません。
 たくさんの営業所を経営している会社であるほど違反処分を受ける可能性が高まるでしょうから、保有店舗数が多い大手ホールほど認定を受けにくいという傾向があります。
 また、せっかく認定を受けられても、会社が法令違反によって行政処分を受けたり、法人として合併や解散などの事態が生じた場合には、特例風俗営業者の認定が取り消されてしまいます。認定を維持することも簡単ではないのです。
 さて、このような特例風俗営業者の制度ですが、認定を受けている営業者は少なく、まだ充分に理解され、利用されているとは言えません。
 皆さんの営業所が特例風俗営業者になれるのかどうか、まだなれないとしたら何時なれるのかということは、定期的に確認しておかれるとよいでしょう。
posted by 風営法担当 at 18:11 | 法務相談カルテ

2015年04月12日

役所から定款を提出して欲しいと言われたのですが、定款って何ですか?

(プレイグラフ2013年2月号「法務相談カルテ」掲載)

官公庁に対する許認可申請や銀行取引などの際に、定款の提出を求められることがよくあります。
 定款とは、「会社など法人の組織が活動を行うための最も基本的な規則」と言うことができます。会社だけではなく社団法人や財団法人、NPO法人にも定款があります。
 定款は法人にとって最も重要な事柄を定めている文書ですので、「会社(法人)の憲法」と呼ばれたりします。
法人には必ず定款(又は定款に相当するもの)がありますが、ここでは一般的な「会社の定款」について説明します。
定款は、最初に会社を設立しようとした発起人が話し合って作成します。定款に必ず記載しなければならない事項として、「会社の商号(会社名のこと)」、「事業の目的」、「本店の所在地(市区町村まででも大丈夫です)」、「設立にあたって出資される財産の価額またはその最低額」、「発起人の氏名又は名称および住所」があります。
これらの内容が書かれていない定款は、その定款自体が有効に成立できないので、絶対に記載しておかなければならないことから、「絶対的記載事項」といいます。
定款に記載する事項には、絶対的記載事項のほか、設立時の取締役を決定したり、株式の内容を定めたり、会社設立にあたって自動車などの現物を出資したりする場合に定款で記載しておくことで効力が生じる「相対的記載事項」や、会社設立にあたって任意に営業年度や株主総会の招集年度や株主総会の招集方法などについて定める「任意的記載事項」などがあります。
このような内容を盛り込んで作成された定款は、発起人の署名や記名押印をした後、公証役場で公証人からの「認証」を受けることによって定款としての効力が生じます。こうして会社設立の際に認証を受けて作成された定款を特に「原始定款」といいますが、最近は、4万円の印紙税を節約できるため、電子定款という電子書面で作成された定款で認証を受けている場合がよくあります。
原始定款には公証人の署名が記載されていて立派に見えるので、原始定款のように公証人の認証を受けた定款だけが正式な定款であると誤解されることがよくありますが、定款は書類ではなくルールだということをご理解ください。
会社の事業が拡大したり、役員の任期を変更したりするなど、会社の体制の重要な部分を変えることが必要になってくると、会社設立時の原始定款の内容を変更する必要が出てきます。このような場合には、定款に定められている手続に従って株主総会を開催し、株主総会の決議を経て定款を変更します。
その変更の内容が登記事項であった場合には法務局で登記を行いますが、登記に際しては変更した定款自体を法務局に提出する必要はないので、会社によっては古い内容の定款をうっかり気がつかないまま使用してしまっていることもあります。
最新の定款の内容が反映されている定款を常に備えておかないと、勘違いによって古い定款が第三者に提供されてしまう恐れがありますのでご注意ください。
行政や取引先が定款の提出を求めるのは、その会社の基本的なルールがどうなっているかを知りたいからです。
定款を行政機関に提供する際には、最新の定款の内容を記載した書面に、会社代表者による奥書と署名、日付等を記入して、その書面に記載された内容が真実の定款の内容として間違いがないことを証明することが一般的です。
特に注意が必要なのは、会社の組織や体制を大きく変更するために大幅な定款変更を行う場合です。 
定款の変更には公証人の認証は必要がないので、登記の手続の際に法務局から指摘を受けるまで、定款に問題があることに気がつかないことがあります。法務局の登記手続の途中で問題が出てしまうと、登記の完了が大幅に遅れたり、場合によっては申請を一旦取り下げることになったりします。会社の定款を大きく変更する場合には、一度専門家にご相談されるとよいでしょう。
posted by 風営法担当 at 15:00 | 法務相談カルテ

2015年03月30日

他社のホールを買い取りたいときの方法は?

こたえ (プレイグラフ2013年1月号「法務相談カルテ」掲載)


 他社が経営しているパチンコ店の営業を譲り受ける場合には3つの方法が考えられます。

 ひとつは、他社を法人ごと手に入れる、つまり、他社の株式を取得して経営権を確保するか、又は合併して自社に吸収してしまう方法です。この方法であれば新たに風俗営業許可を取得する必要がありません。

 他社の株式を買い取った場合には、その後の役員交代や店名変更などが想定されますが、これについては公安委員会への変更の届出や許可証書換申請をするだけで足ります。

 他社を合併する場合には、必ず合併の登記を行う前に公安委員会から<合併の承認>を受けておかなければ風俗営業許可を失ってしまうという点に注意が必要です。この場合も、合併登記が終わった後で風俗営業許可証の書き換え申請を行います。

 しかし、他社が複数店舗を経営していて、そのうちの一店舗についてのみ自社へ営業を譲渡させたいという場合では、これらの方法は採用できません。

 そういった場合には、取得対象のパチンコ店の風俗営業を一度廃業して、風俗営業許可証を公安委員会へ返納してもらい、続いて自社が風俗営業許可を取得するという方法があります。

 この方法の問題点は、営業を一時的に中断することが避けがたく、新たな許可が取得できるまでの期間は原則として営業できないということと、もうひとつは、新たな許可が取得できない可能性があるということです。

 許可が取得できない理由としては「場所の要件」の問題が重要です。風俗営業の許可を受けるためには許可審査時点で「場所の要件」を満たしていなければなりません。これは主に<用途地域の制限>と<保護対象施設の有無>にかかっています。

 たとえば営業所が住居専用地域に所在していたり、営業所から一定の距離内に学校が設置されていたような場合には、風俗営業が許可されないことになります。

 既存のパチンコ店の営業許可がすでに交付されているとは言えども、その営業の許可後に用途地域が新たに設定されたり、保護対象施設が新たに開設されるといったことは珍しくありません。最近は保育所や教育施設の新設が風俗営業許可の障害となるケースが増えており、しかもほとんどの都道府県条例では、まだ保護対象施設が存在していない状態であっても<将来保護対象施設として使用されることが決定された土地>であれば、保護対象施設がすでに存在しているものとみなされてしまうこととなっています。

 つまり、新たに許可を取得する方法には重大なリスクがあることを覚悟しなければなりません。

 こういったリスクを避けるために法人を分割する方法もあります。

 たとえばA社が3店舗を保有しており、そのうちの一店舗を第三者に譲渡させたい場合には、A社を分割して<A社+B社>の2社の状態にし、B社に1店舗又は2店舗を経営させることが可能であり、A社の分割後にA社又はB社を売却することによって店舗の経営権を移譲する方法(新設分割)がありえます。

 また、A社が保有する複数店舗のうちの一部の店舗について、既存のB社に事業を承継させる方法(吸収分割)もあります。

 この場合も分割の登記の効力が生じる前に、公安委員会から当該分割についての承認を得ておく必要がありますが、法人を分割する方法であれば、営業を継続しながら風俗営業許可を承継させることが可能です。

 法人の合併や分割は会社法が規定する各種の要件を乗り越えて行うこととなり、手続が煩雑でもあるので、あえて法人の合併や分割を避けて風俗営業許可の再取得を目指す場合が少なくありませんが、許可の再取得においては保護対象施設などが原因で許可が取得できないリスクがあることを念頭に置かなければなりません。

<場所の要件>に関するリスクは正しく理解されていないことが多いので、この点をよくご検討いただきたいと思います。

最後に。

分割、合併、株式譲渡の方法に営業権を承継させる場合には、状況によって公正取引委員会への届け出が必要になり、届け出後に30日の分割禁止期間が設定されます。

詳細は以下をご覧ください。



posted by 風営法担当 at 16:50 | 法務相談カルテ