2021年09月17日

規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番) について思う

運転免許証の写真について
https://www.taro.org/2021/09/%e9%81%8b%e8%bb%a2%e5%85%8d%e8%a8%b1%e8%a8%bc%e3%81%ae%e5%86%99%e7%9c%9f%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6.php

↑ 私は河野氏オシということではゼンゼンないのですが、総裁選が話題になっているので、候補者がどんな政策方針なのかなあ〜と思って河野氏の公式サイトを見ていたらみつけました。

免許更新の際に窓口で提出する写真について、免許申請者のために警察庁にいろいろ要請したということのようですが、これのきっかけは、

規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)
https://www.gyoukaku.go.jp/hotline/index.html

に市民から寄せられた要望であり、これにもとづいて河野氏が行政改革担当大臣として警察庁に要請したそうです。

規制改革・行政改革について、広く国民の声をお伺いし、規制・制度の見直しや行政組織・運営の改善に結びつけるため、個人、企業、団体等の皆さんからの提案を受け付ける「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」を設置しております。規制改革や行政改革に関する提案をお寄せください。

*******以下抜粋**************
いただいた提案のうち早期に改革を実現すべき課題については、関係府省庁に対して早期に改革を促していきます。
また、規制改革及び行政改革以外のご意見等については、関係省庁が判明している場合は各省庁に、判明していない国の仕事に関するご相談は総務省が行う行政相談へ送付します。
*******抜粋おわり************

なるほど。それで、免許更新の写真についても改善が期待されるわけですね。

でも、行革担当大臣は要望をどれくらい後押ししてくれるのでしょう。

風営法分野だと、「そんなの関係ねえ」って感じになりそうな予感です。

業界団体からは過去に要望書は出されていますが、現状はこのとおり。

風営法の手続きはますます細かくなっていて、無駄だと思うポイントはたくさんあります。

でも、私は行政手続きの仕事もやっておりまして、我々の業界の本音は

「風営法の手続きは面倒くさくて不透明な方が商売として有利」

なのです。ヒドイですよね。。。でもこれが現実。

業界からの要望もないのに、私が勝手に改善要望を出すのもね。。。。

ともあれ、「縦割り110番」という制度がある。

このことは業界の皆さんに伝えておかないと。

これは皆さんの問題ですもの。
posted by 風営法担当 at 11:52 | 風営法一般

2021年09月13日

「無断駐車は10万円の罰金」と表示したいのですが(法務相談カルテ2015年12月号)

 コインパーキングなどで、よく「無断駐車」罰金○○万円などと書いてあるのをみかけます。もし、こういった駐車場などに無断駐車をしてしまった場合、無断駐車をした人は、その金額を全額支払う必要があるのでしょうか?

 民法では、第420条に損害額の予定についての定めがあり、契約に際して、契約に違反した場合の違約金の額をあらかじめ定めておくことが可能です。駐車場の看板も、これを事前に定められた違約金であると考えれば、違約金として表示した金額を、無断で駐車した人に対して請求することができるようにも思えます。

ところが、ある判例では、コインパーキングに駐車した車両がフラップ版をタイヤで踏んだ状態で駐車し、料金を払わずに出庫してしまったというケースにおいて、その駐車場の看板に表示されていた「罰金10万円」については、「本件車両は、最初から駐車料金を払う意思もないことから、契約の申し込みの意思表示が無く、駐車場を利用するという契約は成立していない。したがって、契約の成立を前提とする違約金は発生しない。」と判断されています(岐阜地方裁判所平成21年10月21日)。

駐車場を利用する人と無人の駐車場の管理者の間で相互に契約を成立させるための意思表示ができていなのなら、まだ契約が成立していない。つまり、利用者がお金を自動精算機に入れるなどの行為があってはじめて、利用者は管理者との間で駐車場を使用する契約に同意したことになる、ということなので、フラップ版を踏みつけるなど、「利用者が最初からお金を払う意思がない」場合には、そもそも駐車場管理者との間での契約が成立していないから、利用者は契約どおりの違約金を払う義務がないということになるのです。

 正直者がバカをみる判決のようにも思えてきますが、ここで注意しなければいけないのは、この判決が「10万円」という罰金(違約金)に対するものであるということです。これが正規の<駐車料金>の請求であれば、全く違う結果になったのではないかと思えます。 
つまり、その駐車場の利用料相当額については、店舗側から無断利用者に対して「使ったのだから払え」という主張はできるわけです。
 では、ホールの利用客に対して無料で利用させている駐車場の場合はどうでしょう。
看板で表示した違約金の請求が認められないならば、無断駐車に対して対抗することはできないのでしょうか。

 店舗専用駐車場は、その店舗を利用する客のために設置したのですから、客ではない人によって無断で駐車されてしまうと、店舗を利用する人が使う駐車スペースが減ってしまい、それによって店舗側は経済的な損害を受けたと考えることができるので、その損害分を請求することは可能だと思われます。
   なお、「罰金」という言葉は、法律的には犯罪に対する刑罰の一種を意味するものです。駐車場管理者が高額な罰金を徴収するという表現は、無断利用者に対していかにも私的制裁を行っているかのようなマイナスイメージをもたれてしまうことも懸念されますし、常識を外れた高額の違約金は公序良俗に反するとして、裁判所が無効と判断することもありえます。
 どの程度の請求金額が常識の範囲なのかは、その駐車場の付近の相場を元に考えることになります。しかし、店舗側が駐車を認めていない状態での無断駐車ですから、一般の相場に基づいた料金を支払わせるだけでは無断駐車を予防できないでしょう。

 なお、鉄道の旅客運送規則では不正乗車についての追徴金が正規料金の2倍以上となっている場合が多いことから、通常料金を含めて3倍の料金を請求することは常識の範囲内であろうと思います。
 なお、駐車場の無断利用は建造物侵入として犯罪にもなりえますので、警察に通報するなどの措置を警告の材料として使うこともありえると思います。
posted by 風営法担当 at 17:02 | 法務相談カルテ

2021年09月06日

時間外営業が発端で懲役刑に

https://news.livedoor.com/article/detail/20795451/

上記のネット記事を見ただけなので詳しいことはわかりませんが、歌舞伎町の有名なYOUTUBERさんのお店が摘発された件は、当初摘発された店とは別の店かと思われますが、時間外営業から始まったことが無許可営業での起訴にまで発展し、検察官は「懲役6か月、罰金100万円などを求刑」したと報道されています。

「2店舗で比較的長期間にわたり無許可営業におよんだ」

にしても、略式起訴にならず、求刑とはいえ懲役刑とは。

おそらく罰金で済むのだろうと想像しますが、ずいぶん厳しい結末になってしまいました。

こう言ってはなんですが、最初は<時間外営業>だったのです。

違反処分の軽重については一般の方にはわかりいくいでしょう。

世間からは厳しい非難を浴びているようですが、私は同情しております。

「逮捕されるような違法なことだと思わなくて、ずっと無許可営業を続けてしまった」

と語っているそうですが、たしかにそうだろうなあ、と思います。

誰か、親身になって忠告してあげる人がいなかったのか。忠告があっても聞く耳を持たなかったのか。

真相はよくわかりませんが、同じような油断をしながら今日も営業している人は世間にいくらでもいるでしょうね。

軽微な違反が端緒になって大事件に発展してしまったのには、基本的な部分での判断ミスがあったのだと想像します。

基本的なことほど、ネットで調べてもでてきません。よく考えてみればわかりそうなことですけれどね。
posted by 風営法担当 at 16:08 | 風営法一般

2021年08月31日

許可条件付加のため弁明通知書が交付されたのですが(法務相談カルテ2015年9月号)

弁明通知書と聞くと、法令違反よって処分を受けてしまうのかと想像されがちです。確かに弁明通知書は、公安委員会が営業者に対して不利益な処分を行う際に、営業者に対して弁明の機会を与える目的で交付されるものですが、法令違反に関係が無い場合でも、「許可条件の付加」のような不利益な処分が行われる場合がありえます。
 「許可条件の付加」は風営法第三条第二項に基づいて行われる行政処分のことです。

風営法第三条第二項
 公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、前項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。

  公安委員会が風俗営業を許可するときに、その許可に特定の条件を付けることがあります。例えば、許可される営業所の照明設備に調光機能の一部が残存しており、それが照度に関する基準にただちに抵触してはいないものの、開業後に照度規制違反が懸念されるような場合には、「照度の基準に満たない照度に変えられる設備を設けないこと。」といった条件が付加されて営業が許可されることがあります。
 ホール営業においては、遊技機について「ハンドルを固定させた状態で客に遊技をさせてはならない。」といった趣旨の条件が付加されていることがあります。

 そして最近多くなっているのは「営業所を拡張してはならない。」という条件の付与です。これは、許可後に営業所所在地が建築基準法の用途規制を受けたり、営業所周辺に保護対象施設(学校・病院・児童福祉施設ほか)が開設されたりしたことによって、その営業所の所在地では新たに風俗営業を開業できくなった場合に、公安委員会が既存の営業所の拡張を阻止する目的で営業許可に条件を付加するものです。
 営業許可後に付加される条件は、公安委員会が必要と認めたときに公安委員会の判断で行われますが、店舗改装などにともなって行われる構造設備の変更の承認の直後に行われるケースがよくあります。これは構造設備の変更承認申請手続において提出される「営業所周辺の略図」によって、最新の用途規制や新たな保護対象施設の存在が公安委員会によって把握されることが多いからでしょう。
 「営業所を拡張してはらない。」という条件が付加されているにも関わらず、それを知らずに、又は無視して営業所を拡張してしまうと、許可条件違反として営業許可の取り消しや営業停止(量定C)などの行政処分を受けることとなりえます。

 営業許可に条件を付加されることは営業者にとっては不利益なことなので、許可に条件が付与されるにあたっては、その処分に対して意見陳述(弁明)するための機会が営業者に与えられますが、その際に交付される書面が弁明通知書です。営業者が弁明通知書を受領してから一定期間が経過したら、営業者は風俗営業許可証を公安委員会に提出し、風俗営業許可証の裏面に許可の条件に関する記載を追加されるか、又はすでにある記載を変更されることとなります。つまり、許可の条件の有無は風俗営業許可証の裏面を見ることで確認することができます。

 構造設備について変更承認申請が必要となるような変更を行おうとする場合には、用途規制や保護対象施設の状況をあらかじめ調査しておき、許可の条件が付与される可能性について検討しておきましょう。
もし許可に条件が付される可能性がある場合には、それによってどのようなデメリットが生じうるかといったことを含め、事前に対策を講じておくことをおすすめします。
posted by 風営法担当 at 09:09 | 法務相談カルテ
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