他の都道府県からの人事異動によって店長に就任した場合には、管理者の変更について公安委員会へ届出をしなければなりませんので、管理者として選任されてから10日以内に管轄の警察署へ変更届を提出してください。その際には、転入先の市区町村で交付された「住民票の写し(本籍地の記載があるもの)」と「身分証明書」、ご自分の証明写真、身分の欠格事由に該当しないことについての誓約書、前店長の管理者証等が必要となります。
次に、赴任先の都道府県の風営法施行条例の内容を確認しましょう。都道府県によって規制内容に若干の相違がありますから、早々に目を通しておくべきです。
次には、風俗営業許可に付された条件の有無を確認してください。風俗営業許可証の裏側を見て、もし何らかの記載があれば、それが「許可に付された条件」であるかもしれません。「許可に付された条件」があるならば、その条件に違反しないよう注意してください。許可の条件に違反してしまうと、最悪の場合は営業許可の取消しなどの重い処分を受ける恐れがあります。
もし、「営業所を拡張してはならない。」という許可条件が存在していた場合には、その営業所の範囲がどこまでであるかを理解しておく必要がありますが、そのためには、営業所の許可当時から現在にいたるまでにどのような手続がなされてきたか、現在はどのような設備状況で公安委員会から承認を受けており、どのような経緯で条件が付されたか、といったことなども把握しておきましょう。
それらのことは、許可申請書や構造設備の変更承認申請書に添付されている図面等で確認することができます。ついでに「客室の範囲」についても確認しておきましょう。客室の範囲に影響するような構造設備の変更が行なわれたり、客室の内部に高さ100pを越える設備が設置されたりすることによって、風営法違反となってしまう恐れがあるからです。
営業所周辺の略図も見ておきましょう。営業所の付近に保護対象施設があったり、買取り関与の疑いを受けやすい状況であったりすれば、リスクとして把握しておく必要があります。
次に、赴任先の営業所で過去にどのような違反処分や行政指導を受けたかを確認しましょう。もし指示処分や行政指導を受けていた場合には、その指示や指導がきちんと遵守されていることを確認し、違反行為を繰り返さないよう注意して営業を行いましょう。
つい最近に法令違反に関して行政処分を受けていた場合には、違反行為を繰り返してしまうと営業停止など重い処分を受ける可能性が高くなりますし、営業所が特例風俗営業者としての認定を受けることができるか、又は、あとどれくらいの期間が経過したら認定を受けられるのか、といったことも確認しておくとよいでしょう。
そして、前任者から引き継いだ情報を元に、その営業所に特有のリスクを把握し、リスク回避のために注意すべき点や、リスク発生時の対処法などを検討しましょう。
管理者の業務についても確認しておきましょう。従業者名簿の管理や構造設備の点検等が計画的に行われ、記録が適切に整備されているかどうかを把握してください。もし問題点や不安な要素があれば前任者に確認する必要があります。また、その地域に特有の自主規制や法令違反の傾向、近隣店舗の動向などについても注意が必要です。
最後になりますが、これらのことは、前任者が適切に業務を管理し、引き継ぎのための準備や配慮を行っているからこそ可能なことです。ご自分がこれから去ろうとする店舗においても、新任者が適切に業務を引き継ぎできるよう必要な措置を取っておくことが大切でしょう。
posted by 風営法担当 at 18:29
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